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【生きにくいあなたへ】“自分が好きじゃない”を抜け出す! 自己肯定感の基礎&高め方まとめ
こんにちは。キャリアカウンセラーのしんです。
「どんなに頑張っても自分には何かが足りない」「周囲がどんなに褒めてくれても素直に受け取れない」――こうした状態が続くと、仕事でもプライベートでも息苦しさを感じてしまうものです。そんな悩みの背景には自己肯定感が深く関わっています。
自己肯定感(Self-Esteem)とは、「自分は大切な存在だ」と思える感覚のことです。今回は、自己肯定感とは何かを改めて整理し、「自己効力感」などの似た概念との違いも交えながら、具体的な高め方をご紹介します。
「自己肯定感は今からでも上げられる」ということにぜひ希望をもって本書を読んでいただけると嬉しいです。
1. ケース:29歳の中村さん(仮名)の“自分が好きではない”というもやもや
まずは身近なケースとして、中村 彩乃さん(29歳・女性)のもやもやを見てみましょう。
仕事:広告代理店の営業職・6年目
成果は出ているのに、自分では「まだまだ」と思い続け、いつも何かが物足りなく焦っている。
周囲との比較
同僚や友人の華やかなSNSを見るたびに落ち込む。そのくせに目を離せなくてついつい見てしまう。
ほめ言葉に抵抗
上司が「いい仕事ぶりだね」と言っても「いえいえ、たまたまです…」と否定してしまう。「失敗は自分のせい、成功は周りの人のおかげ」と自然と考えている。
プライベートでも自信が持てない
「私なんか…」が口癖。自分が何か迷惑をかけていないかが気になり、出会いの場でも萎縮してしまう。
中村さんのように、何らかの成果や評価があっても、心から「自分はこれでいい」と思えない――これは自己肯定感が低い状態かもしれません。ここでカギになるのが、自己肯定感(Self-Esteem)という概念です。
2. 自己肯定感とは? 似た概念「自己効力感」との違い
◆ 自己肯定感(Self-Esteem)
定義:「自分は価値のある存在だ」と感じる心の土台
特徴:
失敗や批判があっても、自分そのものまで否定しない
「どんな自分でもOK」と受け入れ、自分らしさを大切にできる
具体例:「営業でノルマを達成できなかったけど、私はまだ学ぶ余地があるし、存在価値は変わらない」
◆ 自己効力感(Self-Efficacy)との違い
定義:「この行動(仕事・課題)をうまくやり遂げられる」という確信
特徴:
具体的なスキルや方法論に対する“できそう”という感覚
たとえば「プレゼンなら練習すれば大丈夫」と思える状態
違い:
「自己肯定感」は自分全体の価値を肯定する感覚、「自己効力感」は特定の行動を成功できると信じる感覚。
自己効力感があっても、「やればできるけど、自分は大した存在じゃない」と思ってしまう場合、自己肯定感は低いまま。
◆ その他の似た概念との違い
自信(Confidence)
スキルや経験値に基づく“成功の見込み”の感覚。自己肯定感が低くても、一時的に自信が持てる場合もある。
自己コンパッション(Self-Compassion)
自己の苦しみや失敗に対して優しく接する態度。自己肯定感との共通点はあるが、自己コンパッションでは「ダメな自分も赦す」部分がより強調される。
3. 自己肯定感が低いと起こりやすいこと
些細な批判で極端に落ち込む
仕事やプライベートで少し否定される(実際はそうでない場合も多い)と、「やっぱり私はダメだ」と自分全体を否定してしまう。またはその思考を止められない。
褒められても受け取れない
「私なんか…」「ただ運が良かっただけ」と、プラスの評価をスルーしてしまい、自己肯定感を育むチャンスを逃す。もったいない!
他人の成功がまぶしすぎる
自分を卑下していると、他人を心から祝福できず、嫉妬や劣等感で苦しくなる。
行動にブレーキがかかる
「どうせ私なんて…」と考え、結果的にチャレンジしないまま現状維持に甘んじる。
4. 自己肯定感を高めるための具体的アクション
自己肯定感は“根拠のない自信”と混同されがちですが、実際は「どんな自分でも存在価値がある」と日常の中で再確認することで育まれていきます。以下のアクションを取り入れてみましょう。
(1) “根拠作り”を意識する
小さな成功体験を積む
まずは根拠があって大丈夫です。達成すると「案外できるじゃん」という感覚が、“自分は価値ある”という思いにつながりやすい。自分に甘く”なんでも成功”と考えて大丈夫!
例:「朝少しでも早起きしてえらい」「苦手な業務の入門書を1週間で読めてえらい」
過去の成功や頑張りを振り返る
「あのときは大変だったけど乗り越えた」などを手帳に書き出す。そこに「自分なりに工夫した点」も記載すると、再現性のある“成功パターン”として意識化できる。
(2) 自分の長所だけでなく“存在そのもの”を肯定する
長所リストと“存在肯定”リストを分けて書く
長所リスト: 「計画力がある」「フットワークが軽い」など具体的なスキルや特性。
存在肯定リスト: 「生きていていい」「欠点があっても私」「私の意見には意味がある」など、どんな状態でも自分が大切な存在であることを言葉にしてみる。書き出してみると案外心に染みるものです。
できることと、できなくても良いことを区別
何でも“できる”自分であろうとするとプレッシャーになる。長所を伸ばすと同時に、「苦手を認めつつ、それも含めて自分」と受け止める意識を持つ。
(3) 「否定ワード」を少しずつ手放す
口癖の把握
「私なんて」「どうせ無理」といった言葉が頻繁に出ていないかチェック。考え事をしているときに脳内で繰り返しでてくる言葉もチェックしよう。
肯定ワードに言い換える練習
「私なんて…」→「私は今これができるようになりたい」
「どうせ無理」→「まだ方法を探っている最中」
最初は違和感があっても、習慣化すると意識や行動が変わってくる。
(4)人との交流の仕方を設計しなおす
家族や友人、同僚など信頼できる人を頼る
自画自賛が苦手でも、自分が信頼できる人から言われた言葉は素直に受けやすいものです。自分の好きな人たちがあなたのことを好きでいてくれるのであれば、そんなあなたのことを否定しないで上げてください。
思い切ってSNSブロック
SNSはついつい見てしまいますよね。ブロックまでしなくても「SNS断ち」は可能です。たとえば、Instagramには「ストーリーをミュート」という手段もあります。日常の仕組みを整えることはじわじわとあなたの生活を豊かにするかもしれません。
(5) 【発展】自己効力感も意識し、“行動への自信”を補強する
自己効力感の強化と併用
「自分の存在価値」に加えて「行動を成功させる力がある」と感じられれば、より揺るぎない心の軸を作りやすい。
小さなチャレンジを設計
「週末に1人で新しいカフェに行く」「社内で新プロジェクトへの参加を申し出る」など、成功イメージを持ちやすい行動を組み合わせる。
5. 自己肯定感が育つと得られるメリット
揺るぎない安心感
失敗しても「自分の価値そのものが消えるわけじゃない」と思え、精神的ストレスが軽減される。
他者への優しさも育つ
自分を受け入れられると、他人に対しても寛容になれる。成功者を見ても素直に応援できるように。
行動範囲が広がる
「やっぱり私には無理」と思わず、一歩踏み出してみようという意欲が湧く。
長期的なキャリア形成にも好影響
自分を大切にしながらスキルアップや転職を考えられるため、根拠ある挑戦がしやすくなる。
6. まとめ:自分らしく進もう
自己肯定感は、「どんな自分でも価値がある」と思える大切な基盤。一方で自己効力感は、「今の自分にできることをうまくやり遂げられるはず」と行動を促す感覚。それぞれ異なる角度ですが、両方が育つと、まさに“最強の自分”に近づけるはずです。
・自己肯定感が低いと感じるときは、「存在そのもの」に目を向けてみる
・小さな成功体験や行動目標を設定し、自己効力感も同時に高める
・他人と自分をむやみに比べず、「私だからこそできること」を再確認していく
これまで自己肯定感が低く悩んできたあなたは、きっと自分を責める声と戦った寝れないつらい夜を乗り越えてきたはずです。人の感情に敏感に寄り添えるあなたの共感はしらずしらず隣人の救いになってきたと思います。
もし自分を肯定するのが苦しくなったら、コメント欄やお問い合わせでぜひご相談ください。あなたの自己肯定感をじっくり育てながら、新しい一歩を踏み出すお手伝いをさせていただきます。
参考文献
Rosenberg, M. (1965). Society and the Adolescent Self-Image. Princeton University Press.
Baumeister, R.F. (Ed.). (1993). Self-Esteem: The Puzzle of Low Self-Regard. Springer.
Bandura, A. (1977). Self-efficacy: Toward a Unifying Theory of Behavioral Change. Psychological Review, 84(2), 191-215.
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、法的・医療的アドバイスではありません。個別の状況によっては専門家(医師・弁護士・公的相談機関等)にご相談ください。