欠点は長所の裏返し

(うまくいく家庭がうらやましい、という意見に対し)

よそと比較しないことが大切です。お子さんには、親は親しかいません。親から残念がられると、子どもは立つ瀬ありません。きっとお子さんは、私から見たら素晴らしいものをお持ちだと思います。欠点に見えるのはきっと長所の裏返しです。欠点と見ずに「特徴」と捉えて見てください。

私は小学生の頃、勉強はできないし同級生とよくもめるし先生には逆らうしで、問題児でした。ついに担任の先生が私をクラスのみんなの前で罵るように。そのようすを察知した父が、初めて学校の面談に向かいました。

面談の際、担任の先生は私の問題行動を列挙し、いかに私が問題児なのかを伝えたそうです。父は一通り話を聞いた後、次のように言ったそうです。
「先生、それらは息子の長所です。どうか息子の長所をつぶさないでください」
先生は、欠点を挙げたつもりなのに長所と言われてキョトン。

「世の中にはいろんな仕事があります。ビルやダムの夜の見回りはたった一人で行います。世の中の仕事の一定数は、孤独の中で行われます。もしみんなに協調性を求めたら、誰がその孤独な仕事をしてくれるでしょう。息子は孤独に強い。これは息子の長所です。どうか潰さないで下さい」。

欠点を長所と話されたことに先生はびっくりして、クラスの他の子の問題行動も父に相談してみました。すると、それらはみんな長所の裏返しでしかないという話になり、先生は仰天。次々に相談するので、面談待ちの保護者の列が、父は気が気でなかったそうです。

翌日から、先生の私への接し方がガラリと変わりました。それまでは頭ごなしに命令したり叱ったりしていたのですが、私の様子をよく観察し、こう声かけしてみたらどうだろう?というのを試すようになりました。すると、集団行動が全くできなかった私が、次第にクラスに溶け込めるようになりました。

マラソン大会のとき、先生は私の母を見つけて面談のときのお礼を言い、「篠原くんのお父さんは、心を2つも3つも持った方ですね!」と言ったそうです。
私がその後、大阪市の小学校に転校することになったとき、先生は「ようやく篠原くんのことがわかりだしたところなのに」と残念がってくれました。

欠点は長所の裏返し。臆病は、慎重に物事をよく観察するから。落ち着きがないのは、何でもまずはやってみる挑戦心があるから。欠点は必ず長所の裏返しです。
人と比較せずに、その子の「特徴」を見てください。その特徴は、きっと長所です。その長所を、驚き、面白がってみてください。

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