夫婦を楽しむために(「少婚化」考)

少子化の大きな原因は「少婚化」ではないだろうか。
私は団塊ジュニアだけど、結婚していない同世代は多い。
私は幸運にもYouMeさんと結婚できたが、結婚する前から、YouMeさんからは「必ずしも結婚したら幸せとは限らない」と言われていた。なんと意味深な。

YouMeさんによると、結婚してもメリットと思われることが現代では必ずしも多くないとのこと。結婚しなくても、働いて自活することはできる。時間も自分の自由になる。ところが結婚すると非常に多くのことを犠牲に捧げなければならない。

結婚して子どもが生まれれば、それまで続けてきた仕事が続けられない現実がある。保育園に預けたくてもなかなか見つからないとか、熱を出したときに休まなきゃいけないとか、二人目、三人目ともなると育休を取り続けるのもためらわれたり。それで仕事をやめざるを得なくなると。

今度は夫から「俺が働いて稼いでる、俺が養ってる」と上から言われ、屈従を強いられる話が多い。結婚せず、独身でいればそんな屈辱的な言葉をぶつけられずに済むのに、立場がそこに追いやられた上でそんなことを言われるのだとしたら、怖くて結婚などしたくない、と思われても仕方ない、と。

もし私が女性の立場だとしたら、を考えると、なるほどそれは耐え難い。結婚に二の足を踏むというか、いや、下手に結婚などしたくない、と思うのはむしろ当然だろう、と思う。

私は子育てと家事、仕事は等価だと考えている。いやむしろ、子育てと家事の方が重要かもしれない。子育ては子どもの成長に関わることだから最重要。家事は子どもの成長を支える基盤だから、やはり最重要。ところが仕事は、要は稼いてくればいいだけ。家族から見たら、そこまで重要でもない。

夫婦はチームだと思う。キャッチャーのいないピッチャー、ピッチャーのいないキャッチャーでは、バッテリーは組めない。どちらの機能が欠けてもしんどい。自分にできない機能を相手が補完してくれる。相手に感謝こそすれ、相手より自分が上だとドヤ顔するのは意味がないどころか有害。

バッテリーとしてよいパフォーマンスを発揮するには、普段から意見交換し、いろいろ試行錯誤し、意思疎通をしておく必要がある。それができずに、片方が「俺のお陰でお前は成り立つ」などと言うようでは、もう片方の心が離れ、バッテリーとしては機能できなくなる。

私とYouMeさんはよく話し合う。本音もぶつけ合う。まあ、大体私が反省しなければなりないことが多いのだけど。そして「じゃあ私がこうするから、shinさんはこうして」と提案される。よし、それで試してみよう!と、試行錯誤する。結果が出たら、改めて相談し、次の方針を決める。その繰り返し。

そうした、一体としての試行錯誤を繰り返せるなら、夫婦でいることはかなり楽しい。一人では経験できなかったことが見えてくるし、自分にはない視点を与えられてかなり面白い。私が書いた最初の4冊の本は、YouMeさんが半分書いたようなものだと言うのは誇張ではない。

また、結婚して子どもが生まれるかどうかは「たまたま」だと思う。私達夫婦は二人とも四十歳前後で結婚したため、子どもは鼻から諦めていた。不妊治療も考えなかった。特別養子縁組や里子の制度を調べていたが、夫婦二人でおもしろおかしく生きてもよいだろう、と話し合っていた。

そしたら、たまたま子どもが生まれた。子どもが生まれたからには子ども中心で物事を捉え直し、夫婦で相談しながらやってきた。でももし子どもが生まれなくても、YouMeさんとはそれなりに楽しくやっていたのではないかと思う。もちろん、子どもが生まれたことで予想外のことがたくさん起きて楽しいが。

今の日本に結婚の制度がある以上、結婚して楽しいと予想できることが大切。夫婦で協力して試行錯誤していけるのが楽しそう、と思えることが必要。誰かが主で片方が従僕、という関係を想像したら、とても楽しいものとは思えない。

女性は結婚観がかなりアップデートされてる人が多い一方、男性は旧バージョンの人が多いかもしれない。私も偉そうに言えない。YouMeさんと結婚してからバグが見つかり、アップデートの必要を感じてからパッチを当ててる感じ。YouMeさんにはそれで容認してもらっている。

大切なことは、バグが見つかったときに開き直ったり居直ったりすることではなく、話し合い、適切なパッチを当てることだろう。夫婦で互いにバージョンアップしていく。その試行錯誤のやりとりが楽しいのだと思う。

夫婦とは、互いに試行錯誤しながら相手を補完し合おうとすることのように思う。
相手に求めてばかりでもダメ。自分は努力してるのに、だけでもダメ。相手と相談することを欠かさず、相手の苦手を自分が補い、相手の得意で補ってもらったら感謝する。感謝と同時に、別の面で補完を頑張ろうとする。

そうした歴史を積み上げることができるなら、結婚はかなり面白い。一人ではできないことだから。試行錯誤。補完し合う関係。感謝し、その分、今度は自分が補完する。そうした補い合いの関係が、面白いのだと思う。

追伸
結婚した夫婦が生む子どもの数は四十年前から変化がない、結婚する若い夫婦が減っている、という記事。
https://toyokeizai.net/articles/-/644174?page=5

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