役立つことしか認めない窮屈さが夢中になる力を失わせる
〈「夢中になれるもの」が、金を稼ぐ仕事に結びつかない場合、世間からは「努力」とは認められない〉とする意見に対し。
役に立たないことに意味はないという価値観に囲まれたとき、夢中になる心は押しつぶされるんですよね。
役立つとか頓着せずに夢中になれる環境で育った子は、「ついでに」役立つ、儲かることにも夢中になるんですよね。これに気づいていない人があまりにも多い。
役立つこと以外に価値を認めない接し方は、「アルプスの少女」で出てくるロッテンマイヤーさん。ハイジは彼女からあれしてはダメ、これしてはダメとダメ出しばかりくらい、ついに心を押しつぶし、夢遊病になってしまう。ロッテンマイヤーの指示する生き方以外を許されなくなって、心が死んでしまった。
その後、アルムおじいさんのもとに戻ったハイジは、ペーターのおばあさんに本を読んであげる喜びを知り、学習にも前向きに。元気にヤギと遊び回りながら。色んなことに夢中になれる子は、勉学も遊びの一つとして夢中になれる。
でも、役立つことしか許されない環境に置かれると、役立つこととは押しつけられたこと。そして人間は、押しつけられたことが嫌いになるように心はできているらしい。その結果、好きなことに夢中になれてるなら勉学にも夢中になれるはずだったのに、そこにしか道を開けてもらえなかった子は。
大人の思惑という臭みを感じて、その道を拒否する。結果、夢中になれることを見失ってしまう。夢中になるには、自分から選び取ったという感覚が必要。それが失われると、人から強制されてやむをえずになると、それには夢中になれなくなってしまう。
飛び抜けて優秀な子どもって、マンガもテレビも結構楽しんでいたりする。それらに夢中になるついでに、学習もする。知識を得るのが楽しくて。それも夢中になれる遊びの一つだから。