先回りすると興味を失う、後回りして驚くと興味を示す

子どもが興味関心を失う大きな原因に「先回り」があるらしい。
自分が子どもの頃、大好きだった図鑑があって、「これ、お父さんが大好きでよく読んでいたんだ」というと、一つも読もうとしなかった。
ところが知人がくれた図鑑は擦り切れるほどに何度も読んで、私にその知識を披露してくれた。

私の勧めた図鑑を手にとろうとしなかったのは、私がその図鑑の内容について詳しいからだろう。ということは、その図鑑から知識を仕入れて親に披露しても、親は「ああ、知ってる知ってる」という反応しかしないだろう、それどころか追加の知識も披露して自慢するだろう、と嫌気がさしたのかも。

「名探偵コナン」が大好きな息子。そこにたびたび三国志エピソードが挟まるのに興味をもち、「三国志読んでみたい」と言い出した。三国志好きな私はそれで嬉しくなってしまい、熱く語ってしまった。そこから息子はマンガ三国志を読まなくなってしまった。私が詳しいことを察したからだろう。

自分が子どもの頃ハマったものに、自分の子どもが興味を示さず困ってる、という話をよく聞く。もしかしたら、「先回り」してしまっているのかも。子どもは親がはるか先を走っている、ということに気がつくと、その分野に興味を示さなくなる傾向があるらしい。親がその分野では驚かないことに気づいて。

驚くどころか、子どもに自慢しかねないことに気がつくのだろう。それにウンザリして興味を失うらしい。
他方、親に汚染されていない分野は未開拓分野。ここで親の力を借りずに知識を得たら、それは自分のもの。それを親に披露したら親も驚くだろう。そう考えて、別の道を歩もうとするらしい。

私はことのほか数学が苦手で、理系ならわきまえておくべきとされる数学もろくに身につかなかった。そのためか、子どもがどのように数字と向き合うのか、興味関心があった。教えないでどう獲得していくのだろう?と観察していると、教えもしないのにいろいろ数の概念を獲得していくのに驚いた。

私が驚く様子を見て、息子は「数字のことなら親を驚かせられる」と思ったようで、ますますのめり込んだ。私が「先回り」せず、「後回り」して驚いたから、興味関心が湧いたのだろう。
親の先回りはまあ、残念なことになることが多い、という話。

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