「率先垂範」考
リーダーシップを語る記事なんかだと、部下をうならせる手際のよさ、深い洞察力、幅広い知識を見せつつ模範的な正解を指し示すことだと勘違いさせることを率先垂範と呼んでる気がする。でもだいたい、部下は表面上「さすが」とほめそやすけど、内心白けてると思う。
生産者の現場へスーツにネクタイで行くと、なんとなくそっけない態度。問題の箇所に着いたとき、上着脱いでネクタイ挟んで袖まくって手の汚れも気にせず手をつっこんで原因と思われるものを取り上げ、説明して以降、非常に丁寧に、真剣に対応してくれた。あ、率先垂範とはこれなのか、と思った。
リーダーはしばしば、きれいな服着て空調のきいた部屋で快適に過ごしてるというイメージが少なくない。そんな快適な環境に過ごしながら模範演技を見せられてもただの嫌みにしか思えない。
率先垂範は、多くの人がちょっとためらったり嫌がったりするようなことにためらいなく作業してみせることでは。
諸葛亮孔明のライバル、司馬懿は、大軍を率いるリーダーでありながら、兵たちと一緒になって自ら土を運んだ。すでに高齢だったから大して力になりはしない。しかし快適な環境に身をおいて命令だけするようなよくあるリーダーとは違い、精一杯運ぶ様子を見て兵たちは奮起、あっという間に工事終了。
率先垂範とは、重労働だったり汚れる仕事だったり面倒だったりする仕事に率先して取り組む姿勢のことであって、上手な見本を見せることではないのだと思う。率先垂範がどうも勘違いされてる気がするので、改めた方がよいと思う次第。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?