地熱発電の可能性
日本は火山国なので、地熱発電への期待が強い。しかし調べてみると、地熱発電は伸びるどころか縮小している。2020年度でわずか0.3%。太陽光発電などが伸びる中、どうして地熱が伸びないのだろう?
これはあくまで私の仮説だが、「溶岩の粘り気が強い」ことが大きな原因ではないか、と考えている。
地熱発電で有名なのはアイスランド。電力の約3割を供給している。これに7割の水力も含めて、ほぼ100%が再生可能エネルギー。日本もアイスランドの地熱発電を見習いたいところだが、何が違うのだろう?
アイスランドは、流れる溶岩が観光資源になっていることからわかるように、溶岩の粘り気が少ない。
溶岩の粘り気が少ないと、爆発的な噴火が起きにくい。だから、比較的安心して地熱発電の立地を探しやすいのではないか。しかも水力発電が盛んなことからわかるように、水も豊富。地熱発電を行う条件が整っている。
しかし日本は溶岩の粘り気が非常に強く、火山が噴火すると爆発的になりやすい。粘り気のある溶岩が火口にフタをし、水蒸気爆発が起きやすい。危険なため、噴火する恐れのある場所から相当離れておく必要がある。これは地熱発電を行う上で、好適な立地を見つけにくくなる大きな原因になり得る。
噴火口から十分離れ、程よく安全に地熱も得られ、また、タービンを回すための水蒸気の元となる水も確保できるところが地熱発電の好適立地となる。しかしこういう立地は、必ずと言ってよいほど温泉地がある。温泉は重要な観光資源で、地熱と食い合いになるのは避けたいところ。
地熱発電を行うには、大量の水が必要。特に日本の地熱発電の方式は、水を地中に流し込んで、沸騰させ、その水蒸気でタービンを回す方式らしい。これだと、温泉とお湯の取り合いになる。お湯は有限な資源で、枯渇すると温泉にとっても死活問題。
もし地熱発電を行うなら、水を使わずに済む、別の気化しやすい液体を用いてタービンを回す方式が望ましい。しかし日本のメーカーはあまりこの方式を採用していないらしい。それに、やはり噴火の危険がない立地だと、十分な熱を得ることが難しくなるらしい。
そんなこんなで、日本は地熱資源が世界第三位と豊かにある割に、地熱発電しにくい条件がいろいろとある様子。特にどうも、「溶岩の粘り気」が、日本では噴火の激しさ、危険性を高めているので、立地選びを難しくしている様子。なかなか、思うようにいかないようだ。