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絶望熱病3日間集中受験必勝法

部活も引退した高校3年生夏、歯科医師になりたいと願っていたが、絶望的に勉強ができなかった。
正確に言うと、1年2年3年とどんどん成績直滑降の底辺生だった。
「現代国語」と「古文」だけは平均点だったが、他の教科はみるも無残な有様、これで国立大学理系を受けると言うのだから担任教師も面談で「う〜ん」と困るしかない。周囲は勉強好きが多く、賢くて有名な大学を受ける、などと言っていた。そんなことを口にする連中が無茶苦茶秀才、とも思えず、それだったら自分も本気でしっかり勉強すれば志望する地方国立大学くらい受かるんじゃないかなぁ、と(今思えば)軽んじていた。(大学様すみません)
果たして受験、不合格だった。
むむむ、仕方がない、勉強不足だ。親に謝り、浪人して来年こそ合格します、私は予備校に通った。通いながらも深夜ラジオハガキ職人やら古本屋通いやら現実逃避もスパイスね、と勝手に自分を甘やかした末、これなら合格ギリギリというレベルでよし今年こそ、と臨んだ翌年同じ大学を受験、なんと、と言うかありのままと言うか、不合格だった。
あわわ。これは・・・とんでもないことになってしまった・・・母は半狂乱、父はもう違う道に切り替えたらいい勉強だけが人生じゃない、と。おおおおおお願いです、もう一度、もう一度だけチャンスをください!圧倒的な成績にして受験当日風邪で熱があっても逆立ちしても受かるようにしますから!と言い残し不合格当日から3日間自宅トイレに籠城し「英単語5000」なる本を泣きながら、燃えるように、脳から煙が出るまで隅から隅まで完璧に覚えたのでした。
このままトイレの中でミイラになってもいい・・・それは熱病のようでもありました。
悲しいかな熱病はトーンダウンすると決まっているようで3日後ふらつきながらトイレから出ました。
しかし、私は、な、なんと、受験英単語全覚えマンへと生まれ変わっていたのです。試しに入試問題など解いてみると、な、なんと英語の問題全てがすいすい頭に入ってきて設問に至っては作成者が解答者に答えさせたい意図がぐいぐい入ってきたのです。えっ?なにこれ?全部読める!全部解ける!問題作成者の苦労までわかる!解答用紙を全て確信的に埋めることができる現実に酔いしれました。これが俺なのか?バカザキと失笑され苦笑いしていた自分よさようなら。
こうして劣等生の私は志望大学へと進学できることになったのです。
絶望熱病3日間集中。これが自分に合った勉強法だと悟りましたが、絶望が前提だとまた不合格しなければならないので実質この勉強法は幻の勉強法なのであります。なは。


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