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夏のお菓子[香魚]
[香魚]は"和三盆糖"と"やまのいも"を練り合わせた落雁で、特製の餡を包んで焼き上げた、「鮎の塩焼き」を模したお菓子です。
和菓子の形
京都のお菓子といいますと琳派の影響を受け、簡略化された記号的な意匠が多く、その可愛らしいさが"京都らしい"と言われております。
そのようなお菓子は大体江戸時代末に意匠として完成している場合が多く、当時のお茶人様や通人様の「お好み」が反映されているのだと思います。
ちょうど砂糖が普及した時代でもあり、和菓子文化が花開き、現在の「京菓子」の基礎が形作られたのです。
工芸菓子
それとは別の文脈で京菓子界隈では「工芸菓子」と呼ばれる花鳥風月を再現するような飾り菓子の流行がございました。当時の菓子職人が腕を競いあいました。写実的に表現する=しかし全てお菓子でできているといったものです。
「まるで○○のような」というのは、他のジャンルでもあり、例えば陶器で竹かごを作ったり、といった超絶技巧、職人技を使った作品が存在しますので、そういったお遊びといいますか「洒落」の聞いた作品を面白がる、そういった風土が日本いあったのだと思います。
木型と製法
さて、当店の[香魚]はご覧の通り、「鮎の塩焼き」を模したお菓子です。木型自体はいつの物か分からないということで、鮎の木型を使ったお菓子は昔から存在しておりました。現職長の釜本輝雄が、40年ほど前に、塩焼きを模した形状でお届けできるような製作方法を考案いたしました。釜本は工芸菓子の分野で賞をいただいていた事もあり、その製作で培われた技法を使い、[香魚]を生み出しました。
香魚のいわれ
それ以来,夏といえば[香魚]と、茶人様、通人様にご贔屓いただいております。
ちなみに[香魚]という名前は、鮎の別称でございます。天然の鮎は清流に住み、苔を食べて暮らしております。捕まえて料理をしようと捌くと爽やかな香りがすると言われており、そこから[香魚]という名前がついたそうです。
お召し上がり方
写真をご覧になって何か違和感がございませんか?通常お料理でお出しされる鮎はお客様からご覧になって左側が頭になっております。 それは、お箸をお使いになる事が前提でそのように配置されるのですが、こちらは、お菓子、お団子と同じように、右手で串を持ってお召し上がりいただけるようになっております。
お楽しみ
また、当店の名物である[真盛豆]は、秀吉公の北野大茶会において、千利休亭にてお出しされたとの言われがございます。お召し上がりになられた細川幽斎様は、秀吉公の栄華を讃え「苔のむす豆」と古今和歌集の「苔のむすまで」に合わせて例えられました。そのため、苔のお菓子とも言われております。
[鮎と苔]合わせてお楽しみいただけましたら幸いでございます。