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北へ、とにかく北へ vol.27

《クマ出現 注意!》

そんな看板も意に介さず、春先の雪道を2人はドンドン進む。竹田はついていくのがやっとだ。ツナギ一枚で寒いと思っていたが、汗をかいてきた。

しばらく進むと

《梵珠七観音》
と書かれた白い看板が見えてきた。

「ここです。」

雪に半分埋もれた観音様の顔が
7つこちらを向いている。

(ここが 空軍基地?
ロンダキと会うのもここ?)

シュウトが1番左側の観音様に触れた。

と思ったら、観音様の顔をグルっと時計周りに回した。

ジュリーレッドは右端の観音様の顔を反時計回りに回している。

石像のはずなのに、リコリスキャンディみたいにグニャグニャだ。


すると、真ん中の5体の観音が

ズズズズと前方へ動きだした。
と思うと同時に


ポンッ
ポンッ
ポポポンッ

と空中に飛び出し3人を取り囲んだ。

フワーっと空気が変わり、半径5メートル程
ドーム型の透明な膜で包まれているのを感じた。

「入口です。どうぞお入りください。」


ザワッと人間の気配がした。

道の反対側から、登山の格好をした人々が現れたのだ。

(えっ、絶対ヤバい!)

ジュリーレッドはティアドロップのサングラスをクイっと下げて、目だけで微笑んだ。

「大丈夫です。そのためにアナタにはブルーのツナギを着てもらいました。映画のCG技術みたいなものです。あの人たちには、ワタシタチは見えません。この状況も見えていません。」

(でも迷彩は、、?)

「umm...オシャレだから着ましたけど、、。
双子コーデ。ワタシとシュウトは色はなんでも構いません。最初から、あの人たちには見えません。手違いがあってもブレイン ウォッシュするので、問題ないです。」

「ブレイン ウォッシュ?」

「洗脳だよー。じゃあ、先に行くねー」

シュウトは観音像のあった場所に立ち

フッと消えた。

登山客も竹田たちの登ってきた方向へ消えて行った。


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