普通じゃないから
本当はちゃんと書きたいのだが、仕事の依頼が多く立て込んでいて、ちょっと忙しい。でも書きたいのでざっと書く。
成功者と出会ったときの話
僕の母親はそろそろ70歳になろうとしているのに、タクシードライバーをやっている。
母から突然電話がかかってきて
「やっほー元気ぃ?昨日ね長距離に乗ってくれたお客さんで7つ会社を運営しているって人と知り合ったよ~”うちの息子も経営者なんです。お忙しいと思いますがお話の機会ありましたらぜひぃ”って言っといた~、名刺送る~」
とのこと。
実家がそう遠く離れていないのもあってか、35歳になっても、母親は今でも僕を気に掛けてくれる。
僕も、面白そうな人だと、名刺をもらって、翌日連絡。
会うことになった。
御馳走するとはいえ、うちの事務所にわざわざ来てもらって、カフェで色々話を聞いた。
彼は、60歳くらいで、ガタイの良い男性で、凄く面白い半生を生きている人だった。
人のやらないことをやりな
彼は20歳のころ、勉強ができず、野球だけで有名大学に入ったが、入学式前日に身体を痛めて、入学式初日で退学。
翌日、TOYOTAにアポなし面接に押し掛ける。
面接官は「アポなしで来る奴なんて”普通”いないから、自分のミスで面接者とのアポを忘れていたのかも」と思い込んでしまったらしく、偶然面接をしてもらった。
面接官「履歴書は?」
本人「ありません」
面接官「なんでウチを志望したの?」
本人「自分は学もない人間ですが、こんな私の耳にも入る有名な会社が御社だったからです」
・・・
面接官「君面白いね。いつから働きたい?」
本人「明日からでも」
面接官「給料は普通の新卒の子よりも安いけど良い?」
本人「いくらですか?」
面接官「〇〇万円だけど」
本人「そんなにもらえるんですか。ぜひ働かせてください」
面接官(こんな薄給なのに熱意のある子だなぁ)
・・・
色んなやり取りをしたそうだが、その人は野球一筋で、勉強をしてこなかったから、馬鹿だったのかもしれないが、熱意を感じた面接官は、即採用。
失礼極まりないが「馬鹿すぎて」給料が新卒よりもうんと安いのに、喜んだわけ。
でも、その真っ直ぐな性格が好感だったみたいだ。
就職の面接に「馬鹿だったから」アポなしで行ったわけ。
普通だったらそんなのありえないでしょう?
でも、だからこそ、高卒で学歴もないのに天下のTOYOTAに入社できた。
彼はTOYOTAの車種すら知らなかったが、営業部に配属されることになった。
その春、普通の新卒の人たちは、営業の研修を受ける。
しかし、特別枠で入社した彼は、彼らと一緒に研修を受けることなく、営業の現場に放り出されることになった。
彼は高校を卒業したばかりで本も読まず「何も知らなかった」から、当然営業の仕方も知らなかった。
だから、とにかく、がむしゃらにやった。
1件1件の家を周り、とにかく話を聞いてもらうためだけに、何百件も回った。
名刺も当時、印刷機やパソコンも一般的じゃないから、手書きで、何百枚と書いて、不在ならポストに投函して回った。
「何もわからないから」何百件の家を営業回りに行くとき、手書きのメモで「どういう家で、子どもがいそうだな、何時には不在だな」とストーカーばりにメモして回った。
そんな営業マンいるだろうか?普通じゃない。
そんなやり方だから、入社して数か月営業にまわったけど、結局1台も車を売れなかった。
ピカピカの新入生が研修を終え、話を聞いたら自分よりもずっと給料が高いことを知る。
悔しい気持ちを抱えながらも、数か月そんな営業を続けたある日のこと。
1本の電話が上司から入る。
上司「お前、営業で何やらかした」
本人「え、なんのことでしょうか」
上司「大変な人が来てるぞ、とにかく急いで来て」
不安な想いで、本部に戻ると、初老の男性が、名刺の束を持って、営業本部で待っていた。
お客様「君かね、うちのポストにこんなに名刺を置いてったのは…」
本人「それは…僕の名刺ですね…ご迷惑をおかけしました」(これがクレームというやつか…)
4,50枚はあろう名刺の束を見せて、彼が謝ろうとしたとき
お客様「こんな営業見たことないよ俺。こんな下手な字で、何度も何度もうちに投函してさ。俺はさ、車買う必要もないけどさ、こういう人からなら車買ってもいいよ。」
本人「えっ!?!?!?本当ですか!ありがとうございます!」
上司の慌てようと、お客様の様子から、まさか契約になるとは思いもよらなかった。
お客様「僕のことわかる?どこどこのあそこの家のものなんだけど」
本人「はい、わかります。いつも何時にはお帰りになっていますよね。赤い車に、お庭が広いあそこのうちですよね」
彼はメモ帳に一つ一つの家の記録を繰り返し書いてきたから、お客様のことを良く知っているようだった。
お客様「なんでそこまで知ってるの?」
本人「営業先のことはちゃんと調べていますから」
お客様「分かった。それで?どの車がおすすめなの?」
本人「いや…僕車のことわからないんです…」
お客様「え?TOYOTAの営業なのに!?笑」
営業をとることに夢中で、車のこともわからなかったが、彼は結局、当時で一番の高級車を買ってもらうことになった。
実はこのお客様は、健康機器メーカーの超大手企業の会長さんだった。
こんな営業するやつ他にいないからと大いに彼を気に入ってくれた。
お付き合いを重ね、会長さんの車のみならず、彼は超大手企業の社用車まで何百台も獲得。「息子にも」と彼から車を買った。
彼は、それから数年であっという間に新卒の子たちを追い越して、営業部長まで行ってしまった。
あれよあれよと、新卒の子たちを率いる位に出世してしまったのだ。
・・・・
まるで、ドラマみたいな話だけど、彼は大まじめに僕に話してくれた。
そのあとの半生もドラマみたいに面白くて、僕は聞き入ってしまった。
彼は僕にこうアドバイスしてくれた。
僕は大きくうなずいた。
心当たりがあったからだ。
金も知識も経験もない僕が、大学を卒業して10年、今でも経営していられたのは、何度か普通じゃないことをしてきたからだった。
彼も、そんな20代を過ごして、40年近く、人と違うことをして、今では7つの会社を経営して大成功している。
自分もそうだったかもしれない
僕も起業する前、駅前徒歩1分にお店をだした。
知識も貯金も計画も経験もないのに、あるのは
「お店とかすごい。やってみたい。」
そんなバカな想いだけだった。
ボロ屋を自分で改装して、OPENした。
結局お店はうまくいかなかったけど「駅前に」「若い子が」「面白いことやってる」って行政から経営者から、色んな人が来てくれて、仕事につながった。
そんな経験がある。
こんな大きなビルの屋上に事務所を構えられたのもそうだ。
以前ビルのオーナーに「なぜ自分みたい小さな会社に、こんな大きな屋上の事務所をこんなに安く貸してくれたんですか?」と聞いたことがあった。
オーナーはこう答えた
「ほかにそんなこと望んでくる人がいなかったからだよ。」
僕は目をまん丸くした。
「人柄が良かった」とか「期待しているから」とかそういう答えが返ってくると思ってた。
でも、一番の理由が「他にそんな人が誰もいなかったから」だなんて。
だから、7つも経営しているすごい人の話は、自然と受け入れられた。
そのあと彼とは「一緒になんかしよっか」と言ってくれて、何度かご飯をご一緒したり、新しいビジネスの調査とお店を回ったりして、色々と今でも話を聞かせてもらっている。
この出会いが、この先また面白いことになりそうでワクワクしている。
母親からの、7つ会社経営をしている怪しそうな人からの名刺をもらって、すぐ会いたいってアポイントとるのも普通じゃないのかもしれない。
普通なら「怪しい」って、会う連絡もしないのかもしれない。
この普通じゃない人と出会えたのも、僕が普通じゃないからなのかもしれない。
普通じゃないことをしたいなら、普通じゃないことを得たいなら、普通のことをしていたら得られない。
彼のエピソードからそう学ばせてもらった。
おわりに
僕はADHDだったから「このADHDをなんとかしたい」って、そう想ってこのnoteを始めた。でも自分と向き合っていくうちに「ADHDだからダメ」なんてことはないんだって分かったんだ。
彼のエピソードのように、彼は「馬鹿だったから」成功できた。
自分の求めるものに率直に、全力で向かっていった。
バカって、普通じゃないからね。
僕だって成功者じゃないけど「ADHDだったから」経営者になれたのかもしれないし、多動でバカだったから、普通じゃないことして、上手くいったんだと思う。
物事って本当は良い面も悪い面もある。
なのに物事に”レッテル”を貼って、決めつけていたらその面しか見れなくなる。
「自分はバカだから”できない”」と言えば、そうなる。
「自分は〇〇だから”ダメ”」と言えば、そうなる。
なぜなら、物事は良い面も悪い面もあるのに、悪い面しかみられないから。
人は自分のフォーカスしたものしか手に入れられないんだ。
なんでも楽観的にって話じゃなくって、あまりにも悪い面にフォーカスするのはやめようよって僕は考えている。
障害も、ADHDも、普通じゃないかもしれないよ。
でも普通じゃないからこそできることもある。
普通じゃないからこそ、得られるものもたくさんあるはずだよって。
そう思っている。