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異端の資格
先日に引き続いて、備忘録代わりに『異端の時代』の一節を書き写しておく。
古今東西の歴史に見る異端は、みな志の高い人びとである。知的に優秀で、道徳的に潔癖で、人格的に端正で、人間的に魅力のある者だけが、異端となる資格を持つ。そうでない者は、安んじて正統にとどまるがよい。
真正の異端はまた、一人よがりの正義を振り回したりはしない。デューラーの騎士は、単独ではあっても孤立はしていない。その目線はまっすぐに目的地へ向けられており、その歩みは思い上がり(ヒュブリス)とは無縁の着実さを示している。
彼は同志を募り、信頼する友をもち、共同作業を委ね、自分も分業体制の中で限定された位置をもつ。そうしてこそ、腰の据わったアイデンティティが生まれ、粘り強く理想を実現するための戦いを続けることができるのである。