ギアをあげよう
先週から当院でも毎日複数名の陽性患者さんが見つかるようになり、第3波を肌で感じるようになりました。90歳を超える高齢者さんから、妊婦さん、3ヶ月以下の乳児まで、1波2波よりも年齢層が幅広く、市中への感染が広がっている印象です。院内から思わぬ陽性者も出てくるようになりました。今するべきことは、これ以上流行が広がらないよう、予防のギアを1段上げること。広がってから自粛を強化しても、経済や市民生活への影響が大きくなります。
行政側も無策で傍観しているわけではなく、外来での擬似症届けの廃止や、数が限られた発熱外来からかかりつけ受診への変更、検査能力の大幅な拡大と、次々と手を打っています。どっちかと言えば、医療側が変化に追いついていないような印象です。拡大防止には各自の行動変化に加えて、早期発見と隔離がかかせません。
第一波は検査能力が足らず、誰に検査をするかのトリアージが必要で、「入院以外は検査無しで自己隔離」という戦略で切り抜けました。今や検査能力は整っています。十分な検査キャパがあり、陽性だから必ず入院という縛りもありません。医療側も、患者が増えるのを指をくわえて見てるだけでなく、疑わしきは早めに検査して早期隔離につなげる。という積極的な戦略がとれると思います。
でも、まだコロナの検査が十分に受けられる体制では広がっていません。「インフルエンザやその他迅速だけ検査して、陰性なら自宅待機で」と言われた患者さんは、結局コロナの検査ができるとこを探して2つ目の受診をするだけです。医療者の暴露リスクも変わらない以上、より多くの一般的な外来で、疑わしい人は早めに検査を受けれるように。コロナは誰もが対応できる当たり前の感染症に変えていく、医療側の意識の変化が必要です。
どれだけ発熱、咳で導線を分けようが、入院患者さん全員にスクリーニング検査をしようが、水際をすり抜ける「まさか、あの人がコロナ」は必ず出てきます。そしてダメージが大きい。「検査しなければコロナはいない建前」はもう終わりにしましょう。どこにでもいる。陰性でも標準的な感染対策は緩めることができない以上、普通に対策して、普通に検査した方がいい。あの人がコロナだったんだね。と自分たちでちゃんと認識したほうが安全です。
もちろん、検査なんで、本当はコロナでも初回の検査は陰性なんてことはよくあります。極端に走って、無症状の人に検査を広げると、偽陽性に振り回されます。だから検査だけに頼らない。でも、「かもしれない」と思った人は検査を受けれる。陰性でも症状あれば休むのは絶対必要です。続くとき、悪化するときはまた検査を受ける。結局普通の感染症対策に落ち着いていきます。
コロナだけに振り回されず、すべての超過死亡を抑えるために。誰がコロナでも感染を広げない組織づくりを積み上げつつ、みんなが自分のできることをする。
さあ、ギアを上げよう。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?