他人の得が自分の損

 付き合ってから数年経って、このタイプだということ気づいてしまって引いてしまい別れたことがある。

"自分が損をしてでも他人の得を阻止したい"

 というようなことを話し始めた日があった。
「なんで?」と聞くと「だってズルいじゃん」と。

 その日まで人間性に気づけなかった自分の見る目がなかったのか。それとも付き合っているうちにそういう人間になってしまったのか。
前者だった場合は見る目のなさを反省しないといけないし、後者だった場合はそういう人間になるのを防げなかったことを反省しないといけない。

 何がそんなに?と思う人もいるかもしれないが、面と向かって"他人の得を阻止したい"というような発言されるのは僕にとってはかなり大きな問題のように感じた。

Twitterでバズった思考実験がある。

"ある部屋に実験者Aと被験者Bがいる。
BはこのあとAから無条件で100万円を受け取ることができる。
(Aはその100万円を損とは考えてないものとする。)
あなたは干渉できない場所からそれを見ているが一つだけ干渉できることがある。
100円を支払えば被験者が100万円を手に入れることをキャンセルできる、というものだ。
なおAやBとの交渉は一切できない。

あなたは100円を払いますか?"

 この実験で100円を払って阻止する方を答える人がまぁまぁいるらしい。
いや、でもその空間での合理的な最適解は払わずに100万円を受け取らせることだ。
誰も損をせず得だけが100万円生み出される空間になる方がいいじゃないか。

 自分が100円を払うと被験者の得はゼロになるし(これは決して誰の損でもないが)、自分は100円の損をすることになる。
自分が身を切ってまで他人の得を防ぎたいという精神状態は正直、健康とは言えないと思う。

 自分はなんなら100万円をもらって喜んでいるBが見たいので払わないし、その子とは別れて正解だったと思っている。


THURSDAY'S YOUTH
篠山浩生

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