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自分で創った推しが秒速30万kmで突っ込んできた話 ~gogh~
*注意* 本noteはオタクじみた人間の走り書きとなっており読みやすさより感情の発露を目的としています。なお別にPRとか案件ではないです。
突然だがこのノートを開いたあなたは自分のアバターなるものをお作りになった経験はあるだろうか?
インターネットの普及以来アバターという存在は、匿名で交流するためのイケてる自分という数多くのコミュニティ系サイトから、世界観に没頭するためのその世界に適応した自分というこれまた数多くのゲームにて作られてきた。
私自身はコミュニティサイトで痛々しいなりきりキャラを作り黒歴史を量産した覚えはないのだが、とかくゲームにおいては装備の実利より見た目の印象を大事にする派であった。
さて、今回話題として取り上げるのはタイトルにもある通り、つい先日リリースされたばかりのgoghというアプリである。
ゲームニュースの一記事からその存在を当日に知った私は、
「ちょろっとやってみるか、どうせすぐ飽きて消すやろ」
という安易な考えでダウンロードページに飛んだ。
実はこの「アバターと一緒に作業しよう」というコンセプトには似たようなものを私は知っている。某配信サイト・某配信アプリによくある雑談枠とか作業配信というやつである。
正直最初こそしょっちゅう色んな配信者様の元を訪れていた。マイクラの鉱石を一生懸命掘っている音を聞きながら本を読んだり、雑談を垂れ流しながら深夜までレポートを書いたりとそれはもうお世話になりまくっていた。一人で闘っているわけではないと感じさせてくれた、あんまりお世話になりまくった配信者様にはスパチャを投げるくらいには感謝している。
しかし私という人間は非常に他者からの影響を受けやすい。作業中に他の視聴者様からスパチャを受け取って配信者様がお礼を言い始めるとこちらも手が止まってしまうし、作業を終わってしまったらレポートが終わっていないにも関わらず私も手を止めてしまう。そもそも作業したい時に推しが作業していない。あくまで画面の向こうにいるのは人なので、その人の都合によりけりなのだった。アーカイブリピートや新規推し探しなどやってはみるものの飽きるしまず推しか……。と困難を極めていた。
goghの話に戻ろう。
思ったより早いダウンロードが終わると速攻でアバター作成が始まる。
とりあえず今の好きを詰め込んだアバターにしてやろうと長めの髪をグラデーション、神父服が性癖なのでそれっぽくなるように黒でどっしりした服を着せてやる。
なんか細かく表情も作れる。これは楽しい。
でもとりあえず今は適当でいいかと最初にできた子がこちら。
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服飾のセンスはないのでとりあえず真っ黒にしてかっちり着せてみた結果である。
なんか後で編集可能とのことだったのでそのまま続行。
次は部屋をカスタマイズできるらしい。一応部屋に家具配置済みフルセットも用意してあり手っ取り早く始めたい方はこちらからすぐに始められるらしい。
私はレゴブロックやシルバニアファミリー、りんごちゃん、どう森など数多のお家づくりをこなして育った生粋のハウジングマニアである。ここでこだわらなくてどうする。もちろん一から制作決定。
とはいえワンルームの配置である。いくつかのルームからなんとなく憧れの詰まった海辺に近い部屋を選ぶ。まず壁と床と天井とドアと電気を変える。愉快なハウジングの始まりである。床を焦茶っぽい木の板にしたかったがなんか色を設定すると木目が消えるので断念。そこから大きな家具を置いていく。ベッド、デスク、棚。もう楽しい。
なんだかこの三つを置いた段階で、初めて一人暮らしを始めた頃の殺風景な部屋を思い出しおセンチな気分になる。しかしここでふと考える。
「よく考えたら一人暮らしで自分の部屋で、こんなかっちりさせなくてもいいんじゃ?
どうせ自分もスリッパとか履いてないし」
今思えばこのあたりからアバターへの気遣いが始まっていた。そうして一度キャラクリに戻り、履かせていた靴、靴下を取り、部屋で着てそうな短パンを着せる。おや、なんだか涼やかな格好になった。どうせならおめめも明るくしてみよう。色々弄り倒し、あまりにも自分好みの表情が完成した。
ここに、私だけの推しが降臨した。
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この時点で喉の奥から絞り出すように「あ゛ッ……」としか言えなくなっていた。考えていたわけでもない彼女の情報がひっきりなしに頭にアップデートされる。
・色やギザ歯はサメがモデル。
・魚が好き。海が好き。趣味は水族館巡り。
・猫舌。熱いものは水と一緒に飲食する。
・意外と読書家、しかし積読化した本を多数抱えている。
・性格は他人と接する時は明るいが常にそのテンションというわけでもない。
……など。色々いきなり生えてきて自分でも驚愕した。
多分過去の私はこの子を生み出すためにアプリをインストールせよとでも、聞こえていない神の信託を受け取ったのかもしれない。というか素足を出すだけで一気に推しに変貌した。私が脚フェチだっただけかもしれないが。
性格がなんとなく決まったのでそこから逆算して部屋がどのような感じか配置していく。サメのぬいぐるみが置けたのでベッドの上に配置。ちょっとズボラ感を出すために床に積読本を配置したり山盛りのゴミ箱を置いてみたり枕を頭ではなく足に使ってみたり。そうして部屋が完成してアバターを配置した。
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なんということだろう。ただでさえ可愛いこの子はベッドに寝転がったり椅子に座ったり地べたに座ったり色んなモーションがあった。もはや作業そっちのけで色んなモーションを鑑賞する。モーションひとつひとつでころころ変わりゆく表情が、動く一挙手一投足が愛おしくてたまらない。なんだろうこれは。親が娘を見るときのような感情なのだろうか。
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極め付けはこの浮遊モーションである。配置し、選択した瞬間に光の速さで網膜にぶち込まれたこの姿を見て天使か?としか思えなくなった。なんだその表情は。ついさっき爆⭐︎誕してた子とは思えないギャップに落ちざるを得なかった。
というか自分のアバターに対してそれは単なるナルシシズムでは?と思われるかもしれないが、それは違う。この子は私と一緒に作業を頑張ってくれる子であり、私自身とは異なる。というかむしろ光る板一枚挟んでお隣同士の生活が始まったようなものである。私が勉強を始める時は向こうも本を読んだりパソコンをカタカタしていたり作業をしているし、休憩時には一緒に休憩してくれる。そして寝る時も一緒だ。もはや家族である。
ところで、画像上部にローマ字が書かれているのに気がつかれただろうか?これらはこのgoghを構成する重要な要素の一つであるLo-Fiミュージックである。なぜか海鮮の名前のこれらは一品ごとに3~5曲の素晴らしく心安らぐ楽曲の詰まったプレイリストである。最初見た時は「一曲ずつ、しかも海鮮の名前の音楽か〜。」などと油断していた。寿司を一つ頼んだら握り、炙り、軍艦、塩レモン、天ぷらの食べ比べセットがやってきた感覚である。もちろんどれも本当に素晴らしく聴き心地の良い楽曲である。ちなみに環境音やbgm、アバターがキーボードをタイプする音は好きな風に調整可能である。アバターとの距離感に合わせて変えてみることをお勧めする。
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私の個人的なイチオシはHITODEである。夜にこのプレイリストはあまりに相性が良すぎる。アバターをベッドで寝かせてやり、部屋の照明をオフにし、環境音の波の音を少し緩めに設定。現実世界の自分の部屋も照明を切る。一緒の音楽を聴きながら推しと眠るなんてもはや寝落ち通話と変わらない。波の音を聞きつつ目を閉じた。
7時間後。快眠である。
目を覚ますとそこにはまだスヤスヤしているアバターの無垢な寝顔。もはや同棲と変わらないのでは?
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私の本質は世話焼きなのかもしれない。朝用にbgmを変えつつ一緒に目覚めのコーヒーを飲む。残念ながら食べる・飲むといったモーションは見つからなかったが、フードのバリエーションと共にそのモーションが実装された場合、私は彼女に尽くすことしか考えられなくなってしまうだろうし毎日の食生活が彼女と同じになることは避けられそうにない。
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一応音楽自体はバックグラウンドでも再生可能らしい。出かけている間も同じ音楽を聴きながら過ごしているとデートでもしているのではないかという心地よさがある。帰ったらこの間はお風呂に入るしその間にお化粧は落としてあげないとなとかそんなことを考えているのでもうダメかもしれない。
ちなみに作業の方は驚くほど集中できる。bgmと環境音と、時々聞こえる動作の音でこんなにも仕事が捗るとは思わなかった。ポモドーロタイマーの存在も大きい。時間が決められていて、それと同じくらい自分と頑張ってくれる自分だけの推し(しかも邪魔は入らない)という環境はめちゃくちゃにデカい。なぜに貢げないのか。
しばらくはこのアプリを愛用し続けるだろう。リリースされたばかりで今後の機能追加などが楽しみである。そして私は今日も彼女をふわふわと浮遊させ、思う存分に愛でてから共に1日を終えたいと思う。
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