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【ぶらり散歩in台湾】九份は束の間の夢の世界
見ると行くとでは大違い。
どんなに事前にYouTubeやブログで現地の様子を予習したところで、街の息遣いまではわからない。スケール感、匂い、気温に湿度、人々の会話、足を伝う地面や階段の感触。。。実際に旅をしてみると、「エアトラベル(写真や映像を見て行ったつもりになる擬似体験旅行)」だけでは得られない多くのものに気づかされる。
九份は、それこそ膨大な事前情報を得ていたにも関わらず、想像を遥かに上回る高揚感を与えてくれた。なんというエネルギーだろう!
4泊5日の台北旅行のメインイベントである九份・十分廻り。
夕方5時前にツアーバスで出発し、先に十分でランタン上げをした後、九份へ。
16:45 台北駅に集合
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18:00〜18:40 十分でランタン上げ
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19:20〜20:40 九份観光
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21:40 士林夜市で下車
台風が近づいていたこの日、そうでなくとも年間の3分の2は雨天という九份は、訪れた時間帯だけ奇跡的に晴れた。
完全なる異世界 九份
初めての九份探訪は雨上がりの夜だった。これがまた、街全体の色艶を増幅させ、妖艶な気配を纏った一帯に、妻もいるというのに千尋よろしくなぜかポツンと一人迷い込んだ気分になる。まさにあの映画の雰囲気そのものだ。
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生温く吹き抜ける風が怪しげな声色で「ようこそ」とささやく。傾斜がきつく段差のまちまちな石階段に体のあちこちの筋肉を軋ませながら、それでも心は頭上に延々と連なるオレンジの提灯に完全に奪われている。
一度は寂れた金鉱の小都市は、台湾の映画と例のジブリ映画の力で一躍人気観光スポットへと転身し蘇った。人の営みとは身勝手なもの。それでもその営みがその土地の魅力を引き出したことは事実だ。
山の斜面に張り付くように広がるこぢんまりとした階段の街は、さながら映画の舞台装置。シャッターを下ろした商店街を含め、どこを切り取っても懐かしくて温かく、そしてそこはかとない切なさをも漂わせている。
休日の日中ともなれば、人混みで身動きが取れなくなるほどの混雑ぶりを呈するそうだが、今夜の九份は行き交う人すら風景に見え、まるでボクが独り占めしてしまったかのようだ。
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ところで、九份は「份」、十分は「分」と書く。
このことについて意外にも言及している情報が少ないのだが、世の人は気にならないのだろうか?
そう思って、Threadsで爆増した台湾人フォロワーに質問を投げかけてみたところ、台湾人でも意識していなかったなど、なかなか面白い展開になった…..そんな話もまた近いうちに披露しようと思う。
絶景をハントする
よくよく考えると、「こんなシーン、千と千尋にあっただろうか?」と疑問なのだが、油屋のモデルとなったと言われる有名な阿妹茶樓が一番人気のフォトスポット。「九份行って来ました」という人のインスタを見れば、ああここで撮ったのかとすぐにわかる。日本人に限らず欧米や韓国・中国の観光客が入り混じって無言で撮影のアングルや順番を探っていた。
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阿妹茶樓自体でお茶を楽しむのも良いのだが、阿妹茶樓を正面から撮りたいなら、向かいの海悅樓景觀茶坊のバルコニーが一押しだ。
※海悅樓景觀茶坊の利用者でないと入れないので気をつけてください。バルコニー側の入口の手前に階段がありますが、チェーンがかかっていてそこを通過できないこともあります。
ここからの景色は….筆舌に尽くし難い美しさだ。
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ひとしきり徘徊して街の空気を十二分に堪能したところで、思い出に…と土産物店を探すも、ほぼ閉店。この景色自体が十分な土産だよなと思いつつ、かろうじて空いていた江家餅舗というパイナップルケーキ屋をのぞいてみた。元気なお姉さんに勧められるまま試食。うん、品がある。
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手際よくお婆さんができたてのケーキを箱詰めしていく。その様子を見ていたら無性に食べたくなって、味見もせず2箱購入した。砂糖を加えたものと無添加のものがあるが、後者を選択。シンプルで、うまい。何より食べる度に脳内で九份が蘇る。
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滞在時間は80分ほどだったが、物足りないようでありつつ、ちょうど満腹でこれ以上食べてしまうと美味しく感じられるか微妙というギリギリのライン。このクライマックス状態でバツっと立ち去るのが最も麗しい思い出になると思った。
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おかしな話だが、この街をまた訪れようという気持ちは今はない。それは失望とは真逆で、2度訪れることにより感動が減衰してしまうことが怖いから。あれは夢だったのか?そう思うくらいがちょうど良い。束の間迷い込んだ千尋の気持ち。心の片隅でたまに懐かしく思い出しながら今を生きていきたい。
*
さて、九份のぶらり散歩はいかがでしたでしょうか?ノスタルジックという言葉では陳腐すぎて到底伝えきれない魅力あふれるこの夢の世界、是非あなたの五感フル稼働で訪れてみることをお勧めします!
よかったよと思っていただけたらスキをお願いします。本当に励みになります!そして、また別のぶらり散歩でお会いできるようフォローもしていただけたら最高です。ではまた!