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長文感想 森見登美彦『四畳半神話大系』

以前読了した『夜は短し歩けよ乙女』で、その世界観にハマった森見登美彦氏の著書。
さらに沼にハマるべく手にした次第(笑)。

今回の主人公も、京都市内の◯都大の学生と思われる、ちょっと理屈っぽい青年です。そして彼を取り巻く群像劇が展開するお話、なんですが…。


4部構成の本作、第1章は、一回生の春に興味を引かれた、とある”サークル活動(?) 4種” から映画サークルを選択したものの、そこで出会った悪友「小津」にからめとられ、後悔の2年間を過ごしたところから始まります。

血気盛んな若者が抱きがちな、「薔薇色のキャンパスライフ」、そして「黒髪の乙女」との交際(ここは森見センセーのこだわり😆) への彼の夢は儚く消え、映画サークルも追放されることに。

3回生となった春、腹黒い小津にそそのかされて件のサークルへの意趣返しを画策した晩、彼はとある「神さま」を名乗る人物と出会い―――


森見センセーは、ここからファンタジー(嘘くさい、とも言う・笑) の調味料を振りかけつつ 、物語はスラップスティックムービー的展開を見せて読み手を巻き込みます。

今作の主人公の彼は、『夜は短し~』の主人公同様、阿呆な妄想と、ちょっとした下心との間でしばしば葛藤する普通の青年です。

ただ、ちょっとネタバレになりますが、この本の中で、何度か悪友小津に悪事? の片棒を担がされそうになるものの思いとどまるなど、それなりの矜持の持ち主で好感が持てますね(笑)。


そんな彼のドタバタストーリが展開して第1章が幕を閉じると、次の第2章は…あれ? 前章と似たような文と展開が。。。

また三回生の春から物語がスタートしている!👀

ただ、細かい設定が異なっています。
彼は、第1章の冒頭に登場した”サークル活動(?) 4種” の中のひとつ、謎のチラシ「弟子求ム」の発行者の弟子となっています。

そして、ちょっとだけ兄弟子のポジションにいるのが小津、なんです。

なんと、この本は章ごとにパラレルワールド的な構成になっているのです。。。
森見センセー、なんとも自由な発想をされるじゃ、あーりませんか!( ゚Д゚) 

第一章に登場した人物たちも、ちょっとシチュエーションを変えて登場して、ある意味1粒で4度おいしい、と申しますか、読み手にとってはちょっとクドイと思われるかも知れません😅

ただ、味付けを変えた4つの短編を並べただけ…と言う訳ではもちろんなく、それぞれの章が少しずつ関連してきて、最後に怒涛の展開を迎えるのです。

うーん、森見センセー、凝りすぎ(笑)。
もうこれ以上はしゃべれません(;^ω^) あとはご自身でオチをお確かめくださいませ。

【以下、余談(ちょっとだけネタバレ?)】



それぞれの章を通じて、共通するキーワードがいくつか登場しますが、それを探すのもまた面白いポイントですね。

それが最後の章で、とんでもない帰結につながるわけですが。。。

それにしても、それぞれの章の先のストーリーを「唾棄すべきもの」なんてひと言で片付けるなんてズルい!(笑) 

君、大切なパートナーにそれは失礼なんじゃないか?(笑)

さすがに森見センセー、それではなんだからと、最後の最後に、ほんのちょっとだけ雰囲気をにおわせるなんてまたズルい(;^ω^)


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