ファーストマン

【右脳めし】極限状態の音響効果にしびれる|ファースト・マン(映画)

アポロ11号が月面着陸に成功したのは1969年7月16日のこと。
その数ヶ月前に、ぼくは生まれました。

生まれ年に成し遂げられた偉業には無関心で要られません。
子供の頃は宇宙に関する本を読み、宇宙を舞台にしたアニメ・漫画・映画に夢中になりました。当時あこがれていた職業の1つは「宇宙飛行士」です。

だから、1978年〜79年に東京・晴海で宇宙科学博覧会、通称「宇宙博」が開催された時は、父に懇願して連れて行ってもらいました。

サターンロケット、アポロ司令船、宇宙服、月の石...初めて見る実物に釘付けにななったことは、今でも覚えています。
前年の1977年に『スターウォーズ エピソード4/新たなる希望』が大ヒットしたこともあり、会場は大混雑でしたが、全く苦になりませんでした。
(今は人混みが大の苦手です)

そんなぼくにとって、アポロ11号の船長ニール・アームストロングは、歴史的偉業を成し遂げた偉人の一人であり、ヒーロでもあります。
この映画を観ないわけにはいきません。

映画『ファースト・マン』とは

映画『ファースト・マン』は、その名の通り、初めて月に降り立った人物、アポロ11号の船長ニール・アームストロング( 1930年 - 2012年)を描いた映画です。

 映画で描かれいるのは、彼がテストパイロットをしていた1961年から、アポロ11号で月面着陸に成功した1969年まで。
その8年間をドキュメンタリー風に描いています。

この映画が用いていたドキュメンタリー風の描写には、2つの特徴があります。

1.客観的なショットを控えている

宇宙ロケットの打ち上げには、NASAの職員を始め、大勢の人が関わっています。
しかし、この映画でフォーカスしているのは、主人公のニール・アームストロングと、その妻ジャネット・アームストロングです。

だから、ニールがロケットに乗り込めば、ロケット内の描写が中心になります。
NASAの打ち上げ管制センターと無線でやり取りしても、管制センターの様子はほとんど描かれません。

ぼくの記憶では、管制センターが描かれたのは、映画中盤にあるジェミニ8号の時だけ。後半のアポロ11号の時には(おそらく1カットも)一切描かれていません。
映画を盛り上げるためにありがちな、「月面着陸に成功した時に、管制センターで歓声があがる」みたいなシーンは、ありませんでした。

2.音響効果によるリアルな雰囲気づくり

音響効果で圧巻だったのは、ジェミニ8号の打ち上げシーンです。
カウントダウンから宇宙空間に到達するまで、ドキュメンタリー風に描かれた宇宙船内には、様々な音が響き渡ります。
ロケットのエンジン音、機体が軋む音、船内の振動音、宇宙服の振動音、ヘルメット越しの声、歓声センターの無線ごしの声、計器の音、スイッチを押す音...。

おそらくこれらの効果音は、このシーンにふさわしい臨場感を出すために、本来は聞こえない音を加えたり、逆に本来は聞こえるはずの音をカットして、バランスをとっているはずです。
実際に、パンフレットを読むと、ロケットが発射される時には、ライオンの咆哮や、馬の群れのひづめの音が使われていると書かれていました。

効果音が素晴らしい時は、BGMは不要、むしろ無い方が良いと感じました。

見所は音響効果

前述通り、打ち上げのカウントダウンから宇宙空間に到達するまでの、音響効果による臨場感は、過去に見た映画の中で最高峰です。

そして、映画のクライマックスに当たるアポロ11号の一連のシーン。
月着陸船「イーグル」が着陸に成功し、ハッチを開けて目の前に月面が開けた時のシーンでは、演出に飲まれて息苦しくなったほどです。

この映画を鑑賞される時は、ぜひ、dtsX対応のシアターでご覧になって下さい。

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