西洋と東洋の融合
現在、小牧市中央図書館のイベントスペースで開催されている展覧会に行って参りました。
HPもとても素敵です。
どこかで見た絵だな…と思っていたら、雑誌やご本の表紙絵で何回か拝見しているのでした。昔、梨木香歩さんのご本をよく読んだので、『村田エフェンディ滞土録』の表紙の方か!と気が付きました。
ご本の表紙はとてもカラフルで、しかもパステル調の温かい雰囲気なのですが、今回の展示は『黒い森』というテーマ。モノクロームで描かれた絵が中心でした。
木の板、あるいは木片。黒を背景として、白の絵具で描かれた絵は、西洋を題材にとりながらも、宗教的ではなく生命の豊潤さに溢れています。
海外の古い教会には、三連祭壇があることが多く、そこにはキリストの一生が描かれています。信徒たちにその絵を見せながら、聖書のお話をするのですね(ここらへん、日本のお寺で曼陀羅を前に説教するのと同じ)。
家庭用にはミニ祭壇があり、大抵はキリスト誕生のベツレヘムの夜の情景が描かれていることが多いように思います。
聖書ではイブは悪魔(蛇)の使いのような役割を果たしており、「楽園」からの追放で話がスタートします。人々はその「原罪」を意識し、神に祈ります。キリストは人々の罪を肩代わりしてくれた尊い存在なのです。
なので、基本的にキリスト教的な世界観では「自然」というのは、絵画では重視されてきませんでした。「自然」は人間と敵対するものであるからです。
しかし、東洋においては、果実や蛇のような生き物とともに存在する「女性」は地母神の役割を果たしています。本来は、世界は人間のものではなく、たくさんの生命が溢れる場所なのですから。
今回の展示会の作品は、西洋と東洋を融合させた豊かな生命観に溢れた作品が多くあるように感じました。
私が、西洋の絵画(?)で好きなのは、クリュニー中世美術館に収蔵されている『一角獣と貴婦人』のシリーズです(日本でも以前に展覧会がありました)。これを見ると、中世には西洋でも「自然」を描くことが流行したのかもしれませんが、時祷書などみると、西洋と東洋との「自然」のとらえ方の違いがよりはっきりとすると思います。
(図書館では、時祷書や写本の紹介がされていました)
図書館の後は、美味しいランチを。小牧市で、一番美味いイタリア料理店をこっそりご紹介します。ランチは要予約。
展覧会は、9月16日までです。