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フランス紀行 六日目 《ヴェルサイユ宮殿》

ヴェルサイユ宮殿に行く時は、注意が必要だ。
なぜなら、Navigo Easy(ナヴィゴ ・イージー)が使えないから!しかも罰金35€を取られるからだ!!

という、波乱の幕開けとなった今日だが、説明しよう。Navigo Easyが使えるのはパリ市内だけ!ヴェルサイユはパリの外なので、そのまま出てしまうと無賃乗車とみなされ、ヴェルサイユの最寄駅(Versailles Chateau Rive Gauche)で待ち構えている駅員にペナルティを課されるのだ!!

それを知らなかった私たちは、まんまといいカモとなった。ぜったい、あれ、ポケットマネーになってるって、などとぶつぶつ文句を言い合いながらヴェルサイユ宮殿に着く。

私は、美しいのはもちろんなのだが、ヴェルサイユ宮殿がなぜか怖いと感じた。理由はわからないが、なぜかずっとはいられない感じがあった。鏡の回廊も、美しかったがそわそわしてしまうような感じ。うまく言い表せないが、なんとなく、こわい。そんな感じだった。

ヴェルサイユ宮殿内のレストラン・アンジェリーナでも私はあることをやらかした。

ウェイターさんを手を挙げて呼んでしまったのだ。

フランスでは手を挙げてウェイターを呼ぶことは厳禁である。どれくらい失礼かというと中指を突然立てるくらい。私は文化を知らないがゆえに失敗を犯してしまった。

手を挙げて呼んだあとあからさまにウェイターさんが怒っている様子だったのでGoogle翻訳で謝りに行った。

「文化を知らず、あなたを傷つけてしまった。本当にごめんなさい。」

ウェイターさんは一度は首を振られ受け入れられない様子だったが、私が諦めて席についたのを見てもう一度こちらにきた。

「手を挙げて呼ぶことは、とても失礼なことだ。国が違えば文化も違う。これからは気をつけて。もう大丈夫だから」

というようなことを、フランス語混じりの英語で言ってくださった。

寛容なそのウェイターさんのおかげで許されたが、今後どんなトラブルになるかわからない。本当に気をつけようと心に誓った。

ホテルに戻ろうとしたら、なぜか凱旋門付近のメトロもバスも止まっていた。調べるとオリンピックのイベントか何かで止まっているらしい。

しかもフランスの旗を持った集団が真横を何度も通る。警官も通る。デモかな、なんだろう、と話しながら凱旋門付近まで到達した。

私たちのホテルは凱旋門のすぐ近くだったので、歩いて行こうとしたら今度は規制線にぶつかった。近くには銃を持った警官がたくさん。怖すぎる。

ホテルがそこなんだけど、通してくれないですか?と聞くと、全身をくまなくボディチェックされる。そしてホテルに電話してくれた。私本人ということがわかったので、ようやく解放された。

夜になって、凱旋門がやけに騒がしくなった。例えるならディスコやダンスホールのような。ホテルの窓から凱旋門を見た相方が、プロジェクションマッピングやってる、と叫んだ。

凱旋門に向かって、私たちはパジャマのまま駆け出した。めちゃくちゃに走って、警官にびっくりされながら走って、笑った。この時の相方の言葉を借りるなら、「人生のハイライトすぎる!」。まさに、走馬灯で見る1ページになったに違いないと思った。

凱旋門近くで、デモだと思って警戒していたあの旗をスタッフが配っていた。何をやっているのかスタッフに訊くと、オリ・パラリンピックの最後のセレモニーだという。凱旋門を大きな表彰台に見立て、メダリストたちがパレードをしたり、著名な音楽家たちのライブがあるそうだった。

私たちはチケットを持っていなかったので入ることはできなかったが、その熱狂は外の柵からも十分に伺えた。

会場の中と中のみんなで、オ・シャンゼリゼを歌った。フランスの旗を振りながら、みんな笑顔だった。花火が23:00に上がり、名残惜しそうに皆が帰っていくのを見ていた。

深夜0時を回った頃、ホテルのロビーで恋人と電話をした。眠気がピークになって、部屋に戻ってすぐに寝てしまいそうだ。

おやすみなさい、また明日。

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