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フランス紀行 九日目《パリから帰国、そして》

今日はなんだかそわそわして何度も目が覚めてしまった。

20:00のフライトなので、ちょっと早かったが、14:00にタクシーを呼ぶことにする。

最後の食事は、お馴染みのモンテ・カルロで。大好きだったマッシュポテトを山盛りにしてもらった。ここにはもう4回は来ている。いつものスーパー。いつもの薬局。いつものレストラン。お馴染みと呼べる店がパリにできたことがなんだか誇らしい。

お店でお互いに感謝を伝え合っているうちに相方が泣いてしまって、私も少し目頭が熱くなった。あなたのおかげだよ、という相方に、違うよ、『私たち』だから、出来たんだよ、と返した。たくさん迷惑もかけたけれど、本当に一緒にいてくれてありがとう。

タクシーに荷物を積み込み、私たちは出発した。

空港についてからはスタバを買いに行ったのに商品を受け取るのを忘れるなど、多少のドタバタはあったが行きよりは落ち着いていた。

飛行機が離陸する。みるみる小さくなっていくパリの街が虹色の夕陽に照らされている。

たのしかったね。
うん。たのしかったね。

多くの言葉を語ることはなかった。夕陽に重なる相方の横顔が綺麗で、美しいと思った。

帰国したらやることが山ほどある。それは本当に嬉しいことだ。楽しみでしかない。それを旅の前には少し重荷だと感じていた。それが今はすっかり軽く思える。いや違う。軽いんじゃなくて、持ち上げる力がついたのかもしれない。

無事に着けば、恋人が空港に迎えに来てくれている。早く会いたい。

相方と分かれるのはなんだか名残惜しい。九日間もまるまる誰かと生活したのは人生で初めてのことだ。本当に感謝しかない。いつでも貴方の味方でいられるように、私はもっと誇れる自分になりたい。

恋人や家族には寂しい思いをさせてしまったので、たくさん、たくさん、あったことを話したい。ここに、このノートに書ききれないほどたくさんのことがあったんだ。

お土産を買う時、旅先で思い浮かべる人々の顔。その顔はみんな笑顔だ。パニック発作を起こすときに思い浮かべる顔は皆怖い顔をしていたけれど、でも、私はもう大丈夫だ。

日本に帰って会いたい人がこんなにもいるってことがわかったから。

2024/09/18

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