目指せ出版! 日本史のセンセイと行く全国制覇の旅5 土偶と長野と弥生時代

 続いては縄文時代にもう一つの代表選手、土偶について。土偶は縄文期に作られた人形で、豊作を祈るための道具にされたのか、女性をデフォルメしたものが多くなっています。特に東日本で多く出土していて、その数は15000以上に上るそうです。そして全ての土偶の中で国宝に指定されているのは5つ。その5つの中の2つが長野県茅野市から出土しているんです。それらが見学できるのが茅野市尖石(とがりいし)縄文考古館(長野県)。ここでは「縄文のビーナス」と「仮面の女神」の2つの国宝土偶を実際に見学でき、しかも撮影することもできる博物館。興奮しますね。
 みなさんは土偶といえばどのくらいの大きさを想像するのかな? 縄文時代に作られたものだから、ぼくはずっと小さなぬいぐるみくらいの大きさなのだと思っていたのだけれど、縄文のビーナスは27cmで2.14kg、仮面の女神に至っては34cmで2.7kgもあるんです。想像していたものよりも2周り以上大きい! この考古館では土偶が発掘されたときの状況を再現したコーナーもあるので、どうやって埋まっていたかも分かります。
 古い時代の歴史はイメージがしづらいけれど、博物館や資料館などをしっかり見学することで分かることがたくさんあります。遺跡は意外と身近にあるので、住んでいる場所の近くの遺跡から見に行ってみることをオススメします。
【長野県に行ったなら】
 日本の春といったら桜。本当にいたるところに桜の木が生えていて、私たちの目を楽しませてくれます。家の近くの公園や小学校にもきれいな桜が咲きますが、「日本三大桜の名所」というのがあるのを知っていますか? 三大桜は人によって挙げるのが異なることがありますが(それだけ名所が多いということです)、青森県の弘前公園、奈良県の吉野と並んで、長野県・伊那市の高遠城址公園も非常に有名です。特に高遠は「天下第一の桜」と呼ばれているほど。高遠城は武田信玄の息子・武田勝頼が城主になるなど、戦国時代において重要な城でした。春の二週間ほどのシーズンに、全国から観光客がやってきます。大混雑していますが一見の価値あり! 今年の春、見に行ってみませんか。
【木工製品の文化】
 登呂遺跡(静岡県)は2023年に発見から80年を迎えました。発見当時は戦時中だったので、本格的な発掘は戦後になって行われたのですが、弥生時代の水田の遺構が発見されたのはこの時が初めてで、住居跡や倉庫跡も一緒に確認されたことで、
「日本は戦争に負けたけれど、2000年前からこんな立派な文化を持っていたんだ」
と全国の人々を勇気づけた遺跡だったようです。魚を取るのに使った道具や火おこしの道具、占いに使ったと思われる骨などが出土し、「古代史を神話でなく科学的に研究する」ことが始まったきっかけでした。
 古代史を学ぶときに出てくるキーワードが「打製(磨製)石器」、「縄文(弥生)土器」と、イメージがどうしても石器と土器に行ってしまいがちだと思うのだけれど、加工のしやすさで考えたら当時の道具の中心はもちろん木工品だったはず。でもみなさん、教科書で木工製品の写真や図を見た覚え、ありますか? 資料集などにはバッチリ載っているんだけれど、どうしても地味で目立たないよね。ただ登呂遺跡博物館では出土して重要文化財に指定されている木工製品の数々を複製にして、いつでも触れるようにしてあります。この触れるってのがいいんだよね。重さや大きさをストレートに把握できるので、ぜひ触ってみてください。あぁそうそう、忘れちゃいけないのがミュージアムショップで売られているお土産。竪穴住居や高床倉庫の作成キットが売ってるので、作って部屋に飾ろう!

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