しの

1972年生まれ。東海大学文学部卒業。学習塾講師、私立通信制高等学校教諭を経て現在千葉県立学校教諭。日本一周を二度達成した。

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1972年生まれ。東海大学文学部卒業。学習塾講師、私立通信制高等学校教諭を経て現在千葉県立学校教諭。日本一周を二度達成した。

最近の記事

目指せ出版! 日本史のセンセイと行く全国制覇の旅22 隠岐諸島と島根県

 続いては二神が三番目に産んだ隠岐島(おきのしま、島根県)について(四国・九州・本州については大きすぎて離島とは言わないので省略しますね)。隠岐と言えば鎌倉幕府の打倒を図った後鳥羽上皇と後醍醐天皇が島流しにあったところ。隠岐は平安時代から流刑の島として知られていたようです。(百人一首に治められている参議篁(さんぎたかむら)の歌、「わたの原 八十島かけて 漕ぎ出でぬと 人には告げよ 海人の釣り船」は平安時代に小野篁が沖に流されたときに詠んだと言われています)。隠岐島には人の住ん

    • 目指せ出版! 日本史のセンセイと行く全国制覇の旅21 島国日本

       国土地理院の発表によると、日本には1万4125の島があるらしい(2023年)。ぼくはかつて小学生たちに「日本には6852(1987年)の島があるよ」と教えてきたのだけれど、測量技術の向上によって大きく数が増えることになりました(それにしても増えすぎ。なんでやねん! って突っ込みたくなる)。ということで日本は名実ともに島国と言えるのだけれども、古事記の神話でも最初は「国産み」といって、イザナギとイザナミが8つの島を産むところから始まるんだ。その8つの島は生まれた順に淡路島、四

      • 目指せ出版! 日本史のセンセイと行く全国制覇の旅20 会津戦争と北海道を行く

         徳川慶喜が二条城(京都府)で大政奉還を行って江戸幕府が倒れた後、明治時代がスムーズにやってきたわけではありません。戊辰戦争という大規模な内戦が始まったのです。鳥羽伏見の戦い(京都府)、上野戦争(東京都)に続いて新政府軍が旧幕府軍を追い詰めて起こったのが会津戦争(福島県)です。白虎隊の悲劇で知られています。白虎隊は16~17歳の少年兵で組織された部隊で、元々は城下町の警備を担当していましたが、前線へと送られて戦いました。飯盛山で会津若松城(福島県)周辺から煙が上がっているのを

        • 目指せ出版! 日本史のセンセイと行く全国制覇の旅19 関ケ原と潜伏キリシタン

          【天下分け目の関ケ原】  日本史上の戦争、乱の中で小学生でも知っている戦いナンバーワンといえば、やはり1600年の関ケ原の戦い(岐阜県)ではないでしょうか。勝利した徳川家康がその後、260年にもわたる徳川時代を創出するきっかけとなった天下分け目の戦い。豊臣家に忠義を誓う石田三成と、諸大名の人間模様。大谷刑部の三成に対する友情、島津の退き口、小早川の揺れる心情、真田に足止めを食わされる秀忠など、誰かに感情移入できる、そんな魅力的ないくさですよね。  岐阜県関ケ原町には「関ケ原古

        • 目指せ出版! 日本史のセンセイと行く全国制覇の旅22 隠岐諸島と島根県

        • 目指せ出版! 日本史のセンセイと行く全国制覇の旅21 島国日本

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          目指せ出版! 日本史のセンセイと行く全国制覇の旅18 源平合戦

           一ノ谷を追われた平氏軍はつぎに讃岐国の屋島(香川県)に陣を張ります。中学校2年生の国語の教科書にも載っている「扇の的」、屋島の戦いです。  海上から矢をいかける平氏軍。陸から攻める義経軍。両者決定打がないまま夕方となります。そのとき平氏方から美しい女官が乗った船が一艘、金の日輪(太陽)を描いた真っ赤な扇を竿の上につけて前に出ました。 「この扇を射ることができる武者は源氏方にはいないだろう、できるものならやってみろ」というメッセージだと受け取った総大将の義経は、弓の名手を探

          目指せ出版! 日本史のセンセイと行く全国制覇の旅18 源平合戦

          目指せ出版! 日本史のセンセイと行く全国制覇の旅17 古戦場を見に行く

           貧富の差・身分の差がなかったころから時代が進み、食料を保存できるようになったり、農作業における指示命令役が出てきたりすることで身分の上下が生まれるなどして、人々は集団で争うようになった。つまり「いくさ」の始まりだ。縄文後期~弥生時代の遺跡から発掘される甕棺墓(かめかんぼ、大きな甕に遺体を入れて葬る墓)からは、首のない人骨や矢が刺さった人骨も出土している。そうして人々の集落は少しずつ大きくなっていくわけだけれど、戦いの跡、つまり古戦場はその性質からいって後の時代に何か証拠が残

          目指せ出版! 日本史のセンセイと行く全国制覇の旅17 古戦場を見に行く

          目指せ出版! 日本史のセンセイと行く全国制覇の旅16 法隆寺と薬師寺

           建物のうち世界最古の木造建築物である金堂など55件が国宝・重要文化財、仏像彫刻だけで600以上、この情報だけで法隆寺が日本初の世界文化遺産にふさわしいということが分かると思います。1949年に金堂の壁画が焼損、これをきっかけにして文化財保護法が制定されました。この金堂壁画がいかに素晴らしいものだったかは、1918年に奈良を旅した和辻哲郎が「古寺巡礼」(ちくま学芸文庫から出ている文庫を買えば、初版のものが読めます)のなかでこう言っています。    本尊やその左右の彫刻には目も

          目指せ出版! 日本史のセンセイと行く全国制覇の旅16 法隆寺と薬師寺

          目指せ出版! 日本史のセンセイと行く全国制覇の旅15 興福寺と元興寺

           七大寺2つ目の興福寺と言えば、思い出すのが芥川龍之介の「竜」という作品。初めて訪ねて猿沢池と五重塔を見たときに「ここが『竜』の舞台かぁ」と感慨深かったことを覚えています。興福寺を見学する前にはぜひ読んでほしい作品。「鼻」という作品を先に読んでから「竜」を読むと面白さが増しますよ(「鼻」も「竜」も岩波文庫に入っています。別々の本なので2冊買ってね)。  「菊の香や 奈良には古き 仏たち」と詠んだのは松尾芭蕉。この俳句にピッタリなほど、興福寺にも多くの仏像があります。東大寺も

          目指せ出版! 日本史のセンセイと行く全国制覇の旅15 興福寺と元興寺

          目指せ出版! 日本史のセンセイと行く全国制覇の旅14 大仏さまの秘密

           前回に引き続き東大寺についてみていきたいと思います。シカを見て、南大門を見て、灯籠を見てついに大仏殿(金堂ともいう)です。この大仏殿、源平合戦の後にも戦国時代に一度焼失しているので、私たちがいま見ているのは3代目ということになります。江戸時代になって再建した時、元々の大きさと同じにするには、それだけの木材がなかったそうで、天平時代・鎌倉時代に造られた大仏殿は現在のものよりも大きかったと考えられています。それでも現存する木造建築物では世界最大の大きさを誇っているというのだから

          目指せ出版! 日本史のセンセイと行く全国制覇の旅14 大仏さまの秘密

          目指せ出版! 日本史のセンセイと行く全国制覇の旅13 奈良には古き仏たち

           いまの奈良県は昔から日本の都だった。初代天皇の神武天皇が造った都も奈良県の橿原(かしはら)市だったというのだから、伝説の時代からの都だと言える。「大和は国のまほろば」というくらいだから都を造るのに適した場所だったのでしょうね。その長い歴史を背景に、いまでも多くの社寺が残っていて、私たちはそれらを観光して回ります。その一つ一つが魅力にあふれています。前回までで神社の話が一段落したので、今回からはそんな奈良の寺院について書いていきたいと思うので、旅の参考にしてくれると嬉しいな。

          目指せ出版! 日本史のセンセイと行く全国制覇の旅13 奈良には古き仏たち

          目指せ出版! 日本史のセンセイと行く全国制覇の旅12 天皇弥栄

           正月2日のテレビを見ていると、必ず皇居の新年一般参賀のニュースが取り扱われるよね。新しい年を迎えたことを祝い、天皇陛下はじめ皇族方が祝賀をお受けになり、天皇陛下からお言葉があるのを知っているだろうか。多くの人が日の丸を振っている場面、見たことのある人も多いんじゃないかな。「一般の人が皇居に行くなんて、ニュースにもなるくらいだから特別なことなんでしょ」と思いがちだけれど、実は皇居も、京都にある御所も見学することができるんだ。  まずは予約なしに入れる一般公開されているエリア

          目指せ出版! 日本史のセンセイと行く全国制覇の旅12 天皇弥栄

          目指せ出版! 日本史のセンセイと行く全国制覇の旅11 湖上に浮かぶ島と滋賀県

           「神の斎(いつ)く島」の関係でいうと、琵琶湖(滋賀県)に浮かぶ島、竹生(ちくぶ)島も名前の由来が同じ島です。「いつくしま」が「ちくぶしま」に変わった、ということね。  日本一の琵琶湖も世界の湖と比べると、比べ物にならないくらい非常に小さな湖なのだけれど、一つ有名なのは世界で三番目に古い湖だということです。湖というのはその地理的性質上、周囲から土砂が流れ込んで、だいたい一万年くらいで消えてしまうものが多いのだそうだけれど、琵琶湖はできてからおよそ440万年! 最初から今の位

          目指せ出版! 日本史のセンセイと行く全国制覇の旅11 湖上に浮かぶ島と滋賀県

          目指せ出版! 日本史のセンセイと行く全国制覇の旅10 日光東照宮から栃木と茨城を考える

           神社紹介の3番目はこれまた世界遺産の日光東照宮(栃木県)。大坂の陣で勝利し戦国時代を終わらせた、江戸幕府初代将軍である徳川家康をまつった神社です。家康は亡くなるとき、 「自分が死んだら久能山(静岡県の久能山東照宮)に葬れ。一周忌を迎えたら、日光に小さなお堂を建ててまつれ」 と遺言しています。3代将軍・徳川家光は祖父である家康を心から尊敬していたため、小さなお堂ではなく、遺言とはそぐわない大規模な社を建てることとします。それがいまの日光東照宮です。東照宮は家康を「東照大権現」

          目指せ出版! 日本史のセンセイと行く全国制覇の旅10 日光東照宮から栃木と茨城を考える

          目指せ出版! 日本史のセンセイと行く全国制覇の旅9 安芸の宮島・厳島神社

           教科書に出てくる神社として二番目に取り上げたいのが厳島神社(広島県)。安芸国の一宮で、世界遺産にも指定されている。日本三景の一つ「安芸の宮島」にある有名な神社だ。この厳島は「神に斎く(いつく、心身を清めて神に仕える)島」として島全体が信仰の対象だった。だからその島を傷つけないように、土地の上ではなく海上に神殿が造られたとされています。この神社は推古天皇のころに創建されたと言われているんだけれど、現在とほぼ同じ規模に修築したのは平安時代の末期、平氏政権のころです。平清盛が大輪

          目指せ出版! 日本史のセンセイと行く全国制覇の旅9 安芸の宮島・厳島神社

          目指せ出版! 日本史のセンセイと行く全国制覇の旅8 宇佐八幡神託事件

           まず最初に紹介するのが宇佐八幡(大分県)。現在の名前は宇佐神宮と呼ぶことが多いんだけれど、本殿は国宝に指定されていて、大分県の観光スポットナンバーワンだといえる。豊前(ぶぜん)国の一宮で、全国にある八幡神社の総本宮。一宮とは、かつて薩摩国とか尾張国とかのように分けられた、日本全国六十六か国(壱岐と対馬を入れて六十八か国と数えることもある)のそれぞれに所在した、その国のもっとも格式の高い神社のこと。国司が任命されて現地に赴任した後、まず最初にお参りしなければならなかったという

          目指せ出版! 日本史のセンセイと行く全国制覇の旅8 宇佐八幡神託事件

          目指せ出版! 日本史のセンセイと行く全国制覇の旅7 神社について

           教会はキリスト教、お寺は仏教、日本では数は多くないけれどモスクはイスラム教。じゃあ神社はなんて宗教? と聞くと、初詣に行ったり七五三でお参りしたりするのに、意外なことに答えられない人が多い。神社って日本全国に8万以上あるのに考えたことがないんだね(全国のコンビニの数は6万店弱)。日本固有の宗教である「神道(読み方は「しんとう」とにごらずに発音します)」について知らないのは、日本のことを知らないのと同じことだと思うので、非常にもったいない。ここでしっかりと勉強しておこう。  

          目指せ出版! 日本史のセンセイと行く全国制覇の旅7 神社について