クスクス?クスクス!
私はその日、どうしてもクスクスが食べたかった。
日本人が毎日お寿司を食べないように、モロッコ人が毎日クスクスを食べるわけではない。
どこのレストランへ行っても「今日はないよ」の連続で、
メディーナの石畳の上で途方に暮れながら、クスクスの味を思い浮かべていた。
すると目の前に、クスクスがいっぱいに入ったボウルを頭に乗せた女性が通り過ぎた。
私は突然「クスクスだ!」と声に出してしまい、それを聞いた女性は立ち止まってこちらを見た。
「クスクス?」と彼女は言い、「クスクス!」と私は