おすすめの展覧会 ~東京編#07~ 蜷川実花 瞬く光の庭 @東京庭園美術館 | 2022.6.25-9.4
こんにちは!Webデザイナーのしいのきです。
2022年の目標の一つ「見る目を鍛える」べく
月一で展覧会に行くを目標にしています。
今回は第7回目、2022年7月30日に見に行った写真家蜷川実花さんの展覧会「瞬く光の庭」の感想です。
拙い文章ですが、お付き合いいただけますと幸いです😊
展覧会近くのおすすめのランチとカフェを毎回最後に紹介していますので、そちらも楽しんでもらえると嬉しいです!
▼展覧会情報
蜷川実花 瞬く光の庭
東京庭園美術館 (目黒駅徒歩5分)
2022.06.25-09.04
01 | 結論
面白かったです!
元々蜷川実花さんは映画のイメージで
「毒々しい色彩感覚の人」と思っていたのですが、
今回の展覧会で「すごく純粋な人なんだ」というイメージに変わりました。ここまで「花」にこだわって撮るって好きじゃないと無理ですよね・・。
地面に咲いてる花の下からの構図の写真とか、どう考えても寝そべって撮ってる写真があって、これは撮ってる蜷川さんを撮って展覧した方が面白いんじゃないかと思ったのですが、
最後にちゃんとインタビュー映像があって、そこでは地べたに寝そべって撮っている蜷川さんがちゃんと映し出されていて「やっぱりそうやって撮ってたのか」と失礼ながら凄く可愛らしく見えました。
02 | 純粋な「花」への愛情
蜷川さんといえば独特の加工方法で、
彩度とコントラストがめちゃめちゃ高くて、少し青みがかった加工のイメージでいわゆる「蜷川実花っぽい」写真になるわけですが、
最後のインタビューでご自身でもそれに言及していて、
「蜷川実花っぽい写真は撮れる。それを更新していかないといけない。」と仰っていて、確かに今回は蜷川さんっぽいだけではなく、ご自身の人間味の部分というか、「花」に対する愛情を感じられる写真と構成だったというように感じました。
03 | 目に見えた情景を写真に残す技術
以前ポートレート写真を撮ってもらったことがあって、
それ以来自分でも写真を撮ってみたりしているのですが、
素人なりに難しいと感じたのが
「今自分にはこういうふうに見えてるのに、カメラで撮るとそれが表現できない・・!」ということでした。
自分が見ている情景はその前に食べた美味しいプリン、
一緒にいる大好きな人、最高の天気で気分がいい。
そんな感情から、凄く輝いて見えているんです。
でもカメラで撮る風景にはそれが反映されない。
「自分が見たあの時の光景」を再現するために、自分なりに加工を施して実際に見た情景を他人に共有するというのが「センス」で「技術」だと思うのですが、蜷川さんのフィルターで見ている「花」のある景色がこんなにも美しく輝いているのは、ご本人が本当に「花」を愛しているからなんじゃないかと思ったわけです。
蜷川さんのフィルターで見ている花の生命力を共有してもらえていると思うと、こんなに愛するものが輝いている世界はなんて幸せに溢れているんだろうと思いました。
04 | 展示方法と庭園美術館との相性について
展示方法は写真がガラスの板に入っている?のか、
写真の上にガラスが乗っていて、蜷川さんの写真が光の反射とガラスの透明感でより輝くようになっていました。
本などで写真を見るよりも一層キラキラと輝いて見えました。
とても相性のいい展示方法で、美しさが増していたと思います。
東京庭園美術館という独特な場所での展示は難しかったと思うのですが、
建物の雰囲気にもマッチするように展示されていて、「瞬く光の庭」という主題に合っていたと思います。
素敵な空間でした。
05 | 映像作品 「胡蝶のめぐる季節」
最後の映像作品「胡蝶のめぐる季節」は、
その名の通り、見ている人が蝶の目線になって四季の花の中を飛んでいるような感覚を味わえる作品になっています。
「胡蝶になった夢を見ている」という不思議な鑑賞体験を味わうことができます。
こちらもとても素敵な作品で、何層にも重なったスクリーンには美しい花の映像が流れ、その中を観覧者が歩くことで作品が出来上がるという仕掛けになっています。
蜷川さんならではの発想だなぁと思いつつ、スクリーンを重ねることで生まれる透け感というか、幻想的な表現が素敵だなぁと思いました。
ちゃんと映えも意識されています。さすがです・・!!
06 | まとめ
今回この展覧会に誘ってくれたばたこさん(@btbtbtk3)は蜷川実花さんが大好きで花の写真を「可愛い!!!」と言っていたのですが、
私は「綺麗」と思っても「可愛い」とは思わなくて、
「そうか、これを可愛いと思う人がいるんだ・・!!」という発見がありました。
それは「自分には女子力がない」とかそういうことじゃなく、私が蛍光色のド派手なものを「可愛い!!」と思う感覚と同じく、「可愛い」は自由なんです絶対的に。
自分は食わず嫌いで接してこなかった作品に触れさせてもらえてとても感謝です。ぜひぜひ「可愛い!」を共有してもらいたいです。
あと何と言っても今学んでいる「エモい」を感じることができました。
商業的なデザインばかりしてきた自分にとって「説明せずに相手に感じ取らせる表現」というのはとても難しく、なんでも説明しすぎてしまうんです。
蜷川さんの作品はまさに「エモーショナル」でした。
感情の動き、季節のうつろい、花という生物の儚さ、全てを説明せずに相手に感じ取らせる表現でした。
「こ、これがエモいってやつですか・・!!」とたじろぎました。
蜷川さんのインタビューで印象的だったのが
「今回初めて気づいたんですが、私自然に咲いている花にはあまり興味がわかないんです。「人の手が入っている」花に興味がそそられるんです。」 という言葉。
「誰かが誰かに「見てもらいたい」と思って世話をしていたり、綺麗に植えているというその背景に興味がそそられるんです。」
全文ママではないですが、そういった意図のことを話しておられたのがとても印象的でした。
蜷川さんほど「花」と向き合ってきた方が、
今やっとそれに気づいたというのがとても面白かったです。
今回の展覧会に向けて初めて4万枚近く写真を撮ったそうで、
周りの方からもちょっと引かれるくらい、自分でも取り憑かれたように撮っていたと仰っていたので、そこまでしてしか辿り着けない境地だったのかもしれません。
07 | おまけ KITCHEN BAR 新目黒茶屋
ランチに行くまでが展覧会探訪の醍醐味ということで毎回紹介している、展覧会近くのカフェ・ランチです。
今回は目黒駅から徒歩5分、庭園美術館からでも徒歩5分ほどの、
ちょうど間くらいにある新目黒茶屋さんです。
何と言ってもこの特徴的な西陣織の壁が異世界感。
全体的な装飾も素敵です。
茶屋さんという名前ですが店内に入るとすぐにわかる美味しそうなスパイスの香り。
ランチでは色々な種類のカレーが選べます。
キッチンバーということなので、
夜に来るともっと幻想的な感じかもしれません。
最後までご覧いただきありがとうございました!
また次回の展覧会でお会いしましょう!