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青春礼賛

新型コロナウィルスの猛威に襲われている中国。多くの人々の生活が強いストレス環境下にあるのに加え、中国経済への打撃も大きく、1日も早い終息を願うばかりです。そんな中国へのエールの気持ちも込めながら、最近観て面白かったと思う中国のリアリティ番組について、1記事をしたためたいと思います。

令人心动的offer

昨年10月から放送された全10回のリアリティ番組、『令人心动的offer』。法律を学び将来は弁護士を目指す8名の学生たちが、上海のある法律事務所で1か月インターンをする様子を追った番組。最終的に8名のうち2名、もしくは3名が正式に採用のオファーを受けると言うもので、8名がその座を勝ち取るべく奮闘する姿を見ることができます。

8名の学生たちは皆有名な大学に在籍しており、とにかく優秀。法律の知識はもちろん、論理的な物事の考え方、言語化能力、協調性、様々な面での能力が高く、まだ若いのにと感心します。優秀なのは皆同じですが、主体性の強いタイプや共感力の高いタイプ、熱意に溢れるタイプや冷静沈着タイプと、その個性は様々です。各自が自分の強みを活かしながら、毎回与えられる課題の中で最大のパフォーマンスを目指します。最終的に会社から選ばれ、採用されるという目標の為に。

僕たちは誰もが皆、かつては李晨だった

毎回与えられる課題に対して個人、ペア、或いはチームを組んで競い合います。そのパフォーマンスに対して評価が下され、順位が発表されます。
8人のインターン生の中の1人、李晨は、その正直で優しく周りを和ませる雰囲気のキャラクターから、番組のスタジオの出演者たちからも可愛がられています。その彼が、第1回の課題では8人中最下位の結果を得てしまい、第2回のチーム戦でも努力をしたにもかかわらず実力が発揮できなかったと人知れず涙を見せます。まだ未知の自分の能力に対する期待値も高いだけに、実力が発揮できなかった時の失望も大きいわけです。そんな彼にスタジオ出演者の郭京飛は、「僕たちは誰もが皆、かつては李晨だったんだ」と言います。誰もが皆悔しい思いをしてきて今があると言うこの言葉、こういう言葉をさらっと言える大人でありたいものです。

指導者であることの幸運

毎回全力で課題にぶつかる彼ら、それに対して温かく、時には厳しく指導していく4人の指導担当の先生たち。第7回、訴訟の可視化の課題の時に、全員が合格点に達することができなかったとその結果が発表されます。その課題担当であった柴先生が、自分が最初に皆に課題の意図をきちんと理解してもらうことができていなかった、自分が至らなかったとインターン生たちに謝ります。人を教える立場の難しさ、その責任の重さについて考えさせられます。

柴先生の様な指導者を持てたことは、インターン生たちにとって幸運なことですが、同時に4人の指導者の先生たちにとっても、こんなに優秀で勉強熱心な子たちを育てる機会を得られたことは、非常に幸運なことだったはずです。合格点に至らなかった彼らは自主的に課題をやり直して提出します。こんな教え子を持てるなんて指導者冥利に尽きますよね。

人生の春

8名の優秀な彼ら、悩みながら迷いながら仲間たちへの思いやりや優しさも忘れず前進します。1ヵ月と言う短期間の間にどんどん成長する彼らの姿に心打たれると同時に、青春だなと感じ入ってしまいます。そして、そんな彼らを羨ましく思うと共に、自分も経てきた同じような経験が思い出されます。

私はインターンこそしていませんが、社会人になりたての頃は、彼らたちの様に切磋琢磨し合える同期入社の仲間や、その仕事ぶりに憧れるような先輩、いつも気にかけてくれる上司がいました。仕事にただただひたむきに取り組める、そんな環境が与えられていたことへ、改めて感謝の気持ちが湧いてきます。

青春と言う言葉。人生における春の期間を表す言葉。新社会人となる時期はきっとそんな春の時。でもたとえ実年齢がその時期を過ぎてしまったとしても、心だけは春の心をいつまでも忘れないでいたいものだと思います。

ひたむきに真っ直ぐに、より良き明日、より良き自分を信じる、そんな心。

生涯青春、青春礼賛。

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