昨今のラグジュアリーホテルのマネジメントトレンドについて
こんにちはあたらしい旅行をデザインしたい、令和トラベル篠塚です。NEWTという海外旅行サービスをがんばっています!
以前にふわっと以下のマニアックめな記事を書いたら思いの外、皆様に見ていただいたので今回は「ラグジュアリーホテルのマネジメント」考察をまとめてみたいと思います🤲ホテルや旅館が好きな方には楽しいと思いますが、そうで無い方には???だと思うので読み飛ばしてください。笑
なお、マネジメントというとちょっと幅が広いのですが、組織や事業ポートフォリオの話しというよりかは、宿泊部門におけるチェックインからチェックアウトまでの旅行者体験への工夫。みたいな観点で読んでいただけたら幸いです。
前段
2023年に入ってからだけでも、トータルでも2ヶ月近くは海外に滞在しており、延べ10カ国近くウロウロしています。なるべく多彩なホテルや観光地やらに訪問しようと、色々と巡っています。現地ではなるべく先端的なスタートアップ、ホテル、オペレーション、投資などを担当しているジャンルの方々とお会いし、世界中の最新情報を仕入れています。(なお、海外へ行けば行くほど、どんどん日本を好きになっていくので日本が一番大好きです。笑)
そこで、今回はラグジュアリーホテルの現場マネジメントにおけるトレンドを共有してみたいなと思いました!
ホテルマネジメントの特徴
先日の都市型ラグジュアリーホテルのトレンドについては、「100室前後 x ハイパーラグジュアリーxレストランは1つといった、小さな単位での開発ケースが明らかに増えている。」と結論を書きました。ホテルのマネジメント観点(現場での体験)ではどうでしょうか?
一言でいうと、圧倒的な引き算によるオペレーションの最省力化+独自価値を細部で構築していくという2つはトレンドであると言えそうです。具体的にどんなことになっているのか、色々なポイントから考えてみたいと思います。
予約前
Bookingサービスはとにかく全自動化、SaaSも大量にあり、チャネルマネージャー(在庫や料金を共通化するシステム)も世界シェアという観点では寡占化してきました。Booking.com、Expediaなどに提供しつつ、自社サイトのマーケティングをがんばる。というのがトレンドです。ここは正直、ここ10年くらいあまり変わらないのでサクッと。
チェックインについて
よく国内宿で問題にあがりますが、手書きでたくさんの情報を書かされるとかはかなり少ないです。パスポートを提出し、サイン1つして終了。シンプルです。まだまだNot A Hotelのようなアプリ(キーレス)エントリーや、フライトチェックインのようなQRで一瞬で終わるみたいなものは見たことがありません。良いホテルほど、スピードも早い感じはあります。
滞在中のやりとり
日本ではほとんど見ませんが、ここはかなりここ数年で変化を感じます。多くのホテルが客室電話が設置されつつも、SMS(ショートメール)やWhatsappなどChatでやりとりが可能です。これはめちゃくちゃ楽で便利です。
電話だと依頼したかどうかも曖昧になるし、英語が得意でも「電話は苦手」という方が多いように、結構何を依頼するにもむずかしいです。でも、ChatならDeeplのような翻訳サービスが使えるし、なんなら日本語のまま送っても相手が翻訳して理解してくれます。電話対応では1:1の対応までしかできませんが、1:他人数もChatならできます。ほとんどの問い合わせはシンプルかつよくあるものです。Chatで実現したほうが省力的だし、カスタマーメリットもあります。
滞在中のWifiサービス
当然あるわけですが、ここ最近は余計なネットワークに接続したり、パスワードを入れさせることのないノーパスワードが相当増えてます。ホテルフロントの方への電話で、「Wifiパスワード教えてください」というのはおそらくとんでもない量の電話がかかってくるもので、これを殲滅したもではないかと思います。利用者からしてもWifiパスワードが見つからなくてイライラすることはあるし、ホテル従事者の方からもしても「人生で何回言えばいいんだよ!!」だし、正しい流れだと思います。
キー(鍵)デザイン
特段、テクノロジー的なイノベーションを感じることはありませんが、これもホテルの色をかなり出すようなデザイントレンドはあります。基本はどこでも電子キー(物理キーは皆無)ですが、今までのよくある名刺型プラスチックカードのみならず、木だったり、鍵そのものの形だったり、正方形だったり、ちょっとしたキーホルダーみたいなものまで本当に様々です。また、鍵にメッセージがあったり、TEXT MEと書いてあるQRがあったり、はたまた注意事項を並べているようなパターンもあったり、まさに十人十色です。(これは省力化とは関係ないのですが)
レストランサービス
これは前回書いた通りですが、1ホテル1レストランの原則が大変増えています。これはサービス観点よりかは、投資観点での意思決定が大きいと思います。
アメニティキットについて
ここに独自性を見出すケースは、世界中でもかなり増えているように思います。ブルガリホテルなら完全自社ブランドだし、AmanならAmanを冠した化粧水なども開発していたり、グローバルチェーンであるフォーシーズンズやリッツカールトンなら提携ブランドがあるし(プロパティによって違いがあるからグローバルルールがないのかもしれない)、はたまたNY発のNOMAD、ACE、Equinox、日本ならTrunkホテルのようなポップカルチャーを引き継いだ素晴らしいホテルには、見たこともないアメニティがセレクトショップのように並べられていたりします。すべて有料ですが、客室係がカウントするのでホテル内にセレクト店舗を持つよりもはるかに省力的です。
これがある種、無人コンビニ的に機能しているわけです。
ブランド横断的なセレクトだったり、単一ブランドの統一だったり品揃えのトレンド自体に共通点は全く無いのですが、共通していることとしては無料アメニティは減り、歯ブラシや髭剃りなどを含めて今や全て有料提供ということでしょうか。とはいえシャンプーとかは無料ですが、最高級ホテルですら小分けシャンプーがなくなっています。これらはSDGsの流れを踏襲しているものであるし、ホテルからはコストダウン(なんなら販売するから利益)にもなるし、カスタマーからも無駄はなく良いモノ・必要なモノだけを買えるから、三方良しな仕掛けです。(まぁ最初の頃は持っていく面倒臭さはもちろんあったのですが。笑)
バスルーム周辺
タオルやバスローブは質感やブランドへのこだわりは当然あるものの、「カラー」へのこだわりはなかなか色濃く出るのかなと感じます。私の場合は家で使っていないグレー系とか、ブラック系の色だと「おおっ」となるし、シンプルにホワイトならやはり清潔感を感じます。
思うに、家っていうのは自分のこだわりや好きなものばかりを使ってしまうのですが、ホテルっていうのは生活デザインにおける外れ値(自分だったらまず選ばない家具やアメニティのチョイス)と出会えることに楽しさがありますよね。
ドライヤー
ドライヤーは結構おもしろいです。ある時はレプロナイザーがいろんなところでありましたが、最近は一周回ってDysonがやっぱ多いなという印象です。作る側の気持ちとして、「Dysonなんてどこにでもある、あれじゃ面白くない!」という感覚はよくわかるのですが、結局落ち着くところに落ち着いている感があります。
コップとか室内食器とかはまぁ刹那的な体験にすぎないから多少扱いづらくてもいいんですけど、ドライヤーって5分近く使ったり、髪の長い方ならばもっと時間がかかるとすると、やはりシンプルなところに落ち着くのかな。と感じる次第です。「おしゃれだけど、めっちゃ風弱いっす」とかたまにあるものの、やはり体験価値の毀損が大きすぎるのですよね。あと日本発、世界のドライヤーって意外とないですね。(海外で日本のドライヤーを置いてるホテルを見たことがない、日本製テレビとか最近だとトイレはTOTOとかがたまにありますが、電化製品はほとんど韓国に負けてしまった。)
冷蔵庫や電子機器など
よく考えると、ひと昔前の日本旅館に必ずあった「ジュースを引っこ抜くと課金される自動販売機みたいな冷蔵庫」ってのがもっともモダンテクノロジーなんじゃないかと思います。笑 子供の頃、適当にいじって怒られた記憶があります。
そこからみて今日まで、冷蔵庫それ自体にはイノベーションはあまり感じなさそうです。スタイルとしては、戸棚にインクルードされた一体型のものが圧倒的に多いと思う。しかしたまに、ちょっとおしゃれな独立冷蔵庫(だいたいはその国の電化製品ブランド)が置いてあることがあって、これもこれで部屋の装飾としてとてもかわいいし、何より大きいからちょっと長めの滞在には思っている以上に便利な存在である。
MP3プレイヤーもBOSEが定番的にあるものの、ちょっとこだわったところではマーシャルなんかが置いてあって、元々ギターをやっていた私からするとドキドキしてしまいます。笑
その他、電話機、電気ケトル、コーヒーメーカーなども工夫が散見されます。
テレビのソフトウェア
独自のアプリケーションを開発し、独自のホーム画面を作り、「Welcome to NAMEさん」みたいなパターンは今なおとても多いしなんならラグジュアリーホテルのほとんどがそうな気がします。が、一方でストリートブランドから来ているようなポップなホテルは、ごくシンプルなWeb TV。AmazonなりGoogleといった標準OS、NetflixとPrime Videoが見れればいいっしょ。みたいな感じも多い。
あとはApple TVをたまに見かけるかな、、くらいでしょうか。(これはまぁコスト的に大変だから優先順位を下げているという点も確実にある。)
チェックアウト
基本的にほぼ時間かからず一瞬で終了するし、チェックイン時にクレジットカードを出しているためそのままDoneできます。共通して聞かれることは、Billはメールでいい?紙欲しい? という感じ。ここは特にイノベーションが起こっている感覚はどこへ行っても感じません。強いていうなら、海外ホテルは最終精算額になんでこんなにミス多いの?というくらい多いから、そっちをちゃんとして欲しいところです。笑
まとめ
以上、ラグジュアリーホテルの現場の魅力・マネジメントポイントをちょこちょこと整理してみました。世界中のホテルを、多くのメンバーがぐるぐる回っており、観光地、レストラン、ホテルなどどんどん面白い情報を仕入れていますので、やっぱり海外旅行はNEWTをぜひチェックしてみてください!
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