【長文】令和トラベル流 経営戦略の作り方をアップデートしてみた話し
どうもこんにちは、あたらしい旅行をデザインしたい令和トラベル篠塚です。
最近レイヤーXさんのnoteをたくさん読んで学ばせてもらい、私たちチームでも全然書けてないし発信できていないし、ここは私自身も先陣を切らなくては。。と焦りながら書いてます。YouTubeはもう諦めました。
さて、最近はこれまで培ってきたやり方を徹底的にアンラーニングし、令和トラベル式のあたらしい経営スタイルを確立していくためにも様々な改善サイクルを回しています。今回は「経営戦略の作り方」なることも新しくバージョンアップしてみたので、参考までにnoteで共有してみたいなと思いました。
ちなみに以前まではこういうやり方で経営戦略を立てていましたよ、というnoteがこちらになります。
なぜ、経営戦略が必要なのか?
ここではまずそもそも論から考えてみたいと思いました。会社が上場していたりすると株主・投資家とも対話をする必要があるゆえ絶対に必要と言えるし異論はないと思います。しかし、スタートアップは日々状況が目まぐるしく変わるため正確な経営戦略や予算管理なんていらない!目の前のことをやり続けた方がスピードが上がる!という意見は確かにもっともで、その通りな面があるなぁと思います。しかも経営戦略の策定に時間がかかりすぎると、何も前へ進んでいないし執行速度は遅れがちになってしまいます。特にはエンジニアやデザイナーチームなど物作りメンバーからしたら、1日でも多く開発していた方がよほど生産性が高まるなんてこともあります。しかし、そのデメリットはあってでも私は強く策定をおすすめしたいのです。
大きく、3つの理由があると思っているのです。
まず1つ目の理由は、経営陣とメンバーの脳内情報GAPをゼロに近づける意味で大切だと思うからです。経営戦略という柱が無いと「経営メンバーの脳内」と「組織が考える脳内」とのズレが少しづつ生じていってしまい、なぜやるか?がよく分からなくなっていき近い将来に組織の軋轢を生むことになったりします。経営戦略を策定し、それをメンバーみんなで理解し合うことによってのみ、情報を正しく整えることができるのであります。確からしい戦略にはいつも正しい情報共有と正しい判断が必要であり、セットで持ち合う必要があるのです。
2つ目の理由は、磨くプロセスに高い価値があるからです。
戦略を作るということは、どうやって下期を過ごすかという計画を立てることになります。全員で右だ左だと議論をし尽くすことによって、仮説や計画精度はどんどんと磨かれていき、組織全体の学習機会になっていきます。これはつまり、達成確率に良い影響があるということです。
登山に例えるとわかりやすいのですが、地図も持たずに時間の計画も立てずに登山をすると大変なことになるのは一目瞭然です。特にスタートアップ登山は道も全く鋪道されておらず、案内標識もほとんど全くないし、天候も変わりやすく真っ暗にもなるしで考えられる限り最悪な登山道です。
不必要なほど道に迷っていてはロスばかり生まれるし、誤ったタイミングで真っ暗闇に突入してしまうかもしれないし、これはつまりメンバーもキャッシュもどんどん細っていくことになります。
どの山をどう攻略するか?このチーム、お金でできるのか?などを考える時間こそがこの磨き上げになります。登山で言えば地図を用意し、ルートを決め、時間を設計しておくことである。チームみんなで磨いていくことで、次のQや半年が適切な最短ルートを登れる可能性が高まると思うんです。
3つ目の理由は、当事者意識の醸成です。
以下にも書いていきますが、経営戦略をメンバー含めたセッションで話し合ってたてることによって自身が作ったものが経営に反映されていくし、また経営視点で他部署のそれも隈なく見ることができるようになります。これはとても大きな価値です。経営戦略はこうだ!と、トップから発するだけではなく、みんなでも考えることによってのみ発揮されるポイントであり、このスタイルが良いなと思うようになったのでした。
どうやって立てていくべきか?
今回私たちは、研修によってトップダウンとボトムアップの良いところどりをしてみました。まずこの図を見ていただきたいのですが(これは先日noteにも書いたが)、これが弊社の上期の経営戦略MAPです。経営戦略MAPは、経営戦略を達成するために作られたプロジェクトをわかりやすく可視化したものになっています。(Twitterでも最新情報を発信しているので、ぜひご覧いただけたら嬉しいです👏)
こちらの記事にも詳細を書いてみています。
まずはご覧の通り、中心に大きな8つのテーマが書かれており、さらにそこから分岐した8つには各部署で達成すべきプロジェクトユニット(通称:PU)を描いてあります。つい先日、全メンバーで集まりこのプロジェクトユニットの下期最新版を1日で決め切り、誰がどうやっていつまでに登るのかを話し合った。研修の進め方は以下の通りなので、ぜひ皆さまにも試して見て欲しいところです。
STEP1:研修前の宿題
「アウトプット型の研修成否は宿題で80%決まる」というのが当社の考え方になっています。宿題をやっていない研修は、練習をしていない試合みたいなものであるため意味がとてつもなく薄まります。なのでまずは徹底的に宿題を取り組んでもらいます。
今回取り組んでもらった宿題は上期OKRの振り返りと、下期OKRの道標べをたててきてもらうことでした。上期 OKRの達成度、イシュー、改善点などポイントを整理してもらいつつ、下期はどのように乗り越えていくのか? それをリーダーや私とブラッシュアップし、当日に臨めるようにします。
STEP2:オリエンテーション
さて、そうして当日を迎えます。全員が上期の振り返りが完了しており下期にやるべきことはある程度明確化された状態で研修がスタートします。これらの解像度をさらにあげよう、というものが今回の戦略MAP研修です。
セッションその1のオリエンテーションは、私が作った8つのテーマの発表からです。なぜこの8つなのか、下期にやり切るべきことは何か、などを発表していきます。ここの最大の目的は、前述した「経営陣の脳内とメンバーみんなの脳内」をなるべく近づけることにあります。この8つのテーマについては完全にトップダウンで、私が考え抜いて決めちゃったものです。
オリエンテーションにて8つのテーマを共有
これらに対応する部署を共有(このチームで議論をする)
余談ですが、トップダウンとボトムアップはどっちがいいかみたいな議論は盛んに行われてきましたが私はそこはあまり重要視していなくて、どっちもやればいいし、成果が出るほうはその時のシチュエーションによって違うからそれを採択すべし。と思っています。今のこのスタートアップ立ち上げ初期については(あえて語弊を恐れずに言えば)私自身が一番戦略を理解しているはずだから全体のテーマは決めちゃいました。他方、スタートアップが初めてな大企業メンバーもジョインしてくれているから、双方をマージしながら体感してもらうことがとても重要だと思ってこのようなスタイルにしてみました。
STEP3:グループセッション
戦略MAPのテーマごとに部署のゾーニングをしましたので、ここから更なる区分を全部署ごとに考えてもらうワークを実施します。TOTALで120分くらい使って、ワールドカフェなども取り入れながら横断的認知にしていきます。なお、ここからは完全なボトムアップ式です。私からは横槍こそ入れるものの具体的な提案はせず、全部署全メンバーが内訳を考えていくことになります。
まずは、部署ごとにテーマに対峙する8つプロジェクトユニットのタイトルを考えてもらいました。8つのタイトルは文字数やフォントなどを変えずに、とにかく削ぎ落としを意識して欲しいので中に入るようにリーダー中心にグループワークを行なって決め切ってもらいました。(この1つ1つをプロジェクトユニットと呼びます)こうして、プロジェクトユニットが全面で56個完成しました。これを半年かけてやり切ればいいだけなので簡単です。笑
さらに、プロジェクトユニットの意図を互いにシェアし合うため、ワールドカフェ形式で部署を横断してグループセッションを行いました。これによって、他の部署がどういうPUを保持しているのか、下期注力したいことがなんなのかが全員が分かり合えることになります。
設計時の意識すべきポイントはいくつかありますが、MECEにはこだわり過ぎなくて良いこと、粒度を整えること(1日で終わるようなプロジェクトユニットは立てない)、OKRとの接続性を必ず検討すること、8つに収めきることです。強制的に8つになってしまうため確かに使いづらいところもあるんですが、戦略を削ぎ落としたり、マージする訓練にもなるのでとても便利です。視認性もバッチリです。
STEP4:プロジェクトユニットの解像度上げ
ここで総仕上げです。プロジェクトユニットを単に定めただけでは、「富士山に登ろう」「キリマンジャロに登ろう」と決めているだけに過ぎません。ここからどういう地図、仲間、時間軸でやるかを定義して初めて戦略と呼べるようになります。そこで次のワークはプロジェクトユニットの戦略を各プロジェクトユニットオーナーが決めていくグループ&個人ワークです。ここでもフォーマットをあえて固定化してしまい、今回はGoogle Slidesを用いてまとめてもらいました。Notionで見える化しても良いかもしれません。
こんな感じです。(これそのものだけどいいのかな、まぁいいか。笑)
※GET DONEは下期のスローガンです。GDと呼んでる。
これによって得られることは3つあります。まずPUリーダーを任命することで責任の範囲を明確化すること。2つ目はPUリーダーを中心に、下期の行動計画や乗り越える上で解決すべきイシューを明確化しあえること。(例:この機能をローンチするには明らかに人が不足している。あと2名採用しないと実現困難だから採用頑張る。など)3つ目に、行動計画がとてもクリアになりそれが相互共有されることです。
こうしてさらに時間を使右ことで、PUの解像度は各メンバーや部署の中で大幅に上がっていきTOTAL56枚からなるプロジェクトユニットを達成するためのシートが完成です。つまり、下期は戦略MAP+この56枚のプロジェクトを完遂すれば私たちは成長するはずだ。ということを、全体で共有しあえたこととなりました。
プロジェクトユニットのローリング作業
この下期からは、毎月行っているわたしとの1on1や、各部の定例MTGにおいてもプロジェクトユニットの進捗を互いに話し合っていきます。ここで重要な作業は進捗が良いものは達成をサポートしあいつつ、課題があるPUを適切に把握することになってきます。なぜ遅延しているのか、何があれば解決するのか、予想とのGAPは何か。などです。そこをきちんと埋めることを経営でもサポートしてあげれば、少しづつ達成には近づいていくはずですから。
また、前述したとおりスタートアップは著しく状況が変わるところもよくあります。資金環境、採用環境、また弊社の場合は各国が定めた海外渡航に関するルールなども激しく変化しています。なので今回決めたPUに固執し過ぎず、途中でAを外してBを入れようといったところは、かなりフレキシブルに変えていく必要もあります。今後重要な作業であり、大胆に断行していきたいと思っています。
このようにしていくことで、プロジェクトユニットの達成に向けた回転性が生まれていき、結果的に経営戦略をぐるぐると回していけるのだと思っている感じです。
一緒にチャレンジする仲間を大募集
ということで、恒例のオチですが。笑
現在は、各部門幹部候補、経営企画室、Bizdev職、バックエンドエンジニア、フロントエンジニアの方々を特に募集中です!また問い合わせ増加に伴って、総合旅行業務取扱管理者免許を持っているトラベルコンシェルジュ職もそろそろ募集をスタート予定です。
余談。ところで最近、候補者さんの皆さまから本当に素晴らしい誰もが知る企業さんと迷っていただいているようなケースがとても増えてきました。すでに上場をして時価総額も数千億円、数兆円あるような会社さんや、我々は到底及ばないようなスーパーなスタートアップさんなどなどです。
そんな素晴らしい会社と、令和トラベルというまだ創業半年のよく分からない弊社とを迷ってくださるのです。これはとても光栄なことでありますが、いつもそのような皆様にお話しをしていることがあります。それは、「わたしたちははっきり言って社会にとってまだ全く無価値で、これから(転職先で迷われているような)偉大な会社を目指していく段階のスタートアップです。そういう会社をこれから一緒に作るか。またはそういう会社に入ってその会社をより大きくするか。どっちがやりたいコトですか?」と。この問いに正しい答えはないし、どっちも素敵な意思決定だと思っています。ただ、我々のメンバーはこれから作るを選んでくれた仲間たちで溢れており、今まさにそれを作っている最中なのでゼロからイチをやり切りたいならば確実に楽しんでいただけると思います。
そして今回のキックオフ研修を通じてプロジェクトユニットがたくさん下期に出てきましたが、まずそもそも達成に向けてもメンバーが足りないし、さらにその先までを考えると到底仲間が足りないことが判明してしまいました。わたしたちはこれから戻ってくるであろう海外旅行マーケットで、あたらしいサービスを作っていきます。ぜひ、海外旅行に少しでも興味ある方、または令和トラベルに興味をお持ち頂けた方いましたらエントリーしてみていただけたら嬉しいです!
毎月、社員との緩いオンラインミートアップも定期的に行っていますので、ぜひご参加ください!サービスもいよいよローンチ間近、登録まだの方いましたらぜひLINE@でお待ちしています。