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ホンダジェットの成功からみる知の実践の勘所とは #ワイズカンパニー #SECI

どもっ、しのジャッキーです。本記事は、知識の創造の理論である「SECIモデル」に関する個人的な学びをアウトプットする一連の記事の第3弾です。

私は、去年(2021年)に、「世界標準の経営理論」を読んで、「すげぇ!」と思ったいくつかの理論の一つがSECIモデルでした。野中郁次郎氏と竹内弘高氏はSECIモデルを「知識創造企業」(日本語版1996年、リンク先は新装版)の中で描き、そこから約4半世紀たった2020年に続編として出版されたのが「ワイズ・カンパニー」になります。前著が知識「創造」について書いたのに対して、本書では知識「実践」について拡張したとしています。

本投稿は、「ワイズ・カンパニー」を読み解きながら、学びをアウトプットしていく連載記事となります。

<ワイズ・カンパニーまとめの過去記事>
第1回:世界唯一の知の創造の理論「SECIモデル」をまとめてみた
第2回:知の実践企業に立ちはだかる3つの問題の克服に必要なこと

前回のまとめ

前回は、知の実践の3つの問題と克服に必要なことについてまとめました。

ホンダ・ジェットの事例

知を実践していく上での3つの問題の一つに「リーダー」が挙げられています。ワイズ・カンパニーにおけるリーダー像をイメージするにあたり、本書では、ホンダ・ジェットを事例としてあげました。

ホンダ・ジェットの成功の2つの理由

ホンダは、ピストンリング、オートバイ、自動車、飛行機へとイノベーションの推進を通して、知識ベースを拡大した。ホンダが世界で最も速く、最も燃費が良く、最も高く飛べ、最も静かで、最も広いビジネスジェットを開発できたか?

  • 成功の理由1:創業者 本田宗一郎氏の少年時代からの「いつか飛行機を飛ばしたいという」の存在

  • 成功の理由2:夢を実現するため「いま・ここ」での行動を続けた藤野道格氏(ホンダエアクラフトカンパニー社長)の存在

の2つがあげられるとした上で、本書では「夢を描く人:本田宗一郎」と「実際家:藤野道格」という構図ではなく、藤野も夢を自己同一化していたことを強調します。

藤野の直接体験からの夢

藤野はアメリカでの生活を通して、広大なアメリカにおいてビジネスパーソンの移動時間を減らすことは、産業活性化という側面だけでなく、働く時間が減り家族との時間が増えるという側面もあり、ライフスタイルが変わるということである、ととらえていたといいます。このように藤野もプライベートジェットの開発を自己の夢として腹落ちしていたのです。

2人に共通する考え方

本田宗一郎と藤野道格の2人の共通する要素として以下の4つが挙げられています。

  • 達成には直接的な経験と人と人との相互交流が重要

  • 三現主義「現場」「現物」「現実」

  • 未来を築くことにこそテクノロジーの役割がある

  • 高次の目的を持つリーダー:自社の儲けのためだけではなく、共通善のためにイノベーションを希求

ホンダジェットからの3つの教訓

ホンダジェットの分析から、以下の3つを教訓として抽出しています。

  • 企業の長期的な存続には使命、ビジョン、価値観を明確化し、それに従って行動すること

  • 持続的なイノベーション:夢を描くだけでなく、行動と積極的関与、実践が必要

  • リーダーシップ:主体的な判断に基づいた行動

「ワイズ・カンパニー」の核をなす考え

ここで、本書の核をなす考えとなる3つのポイントがまとめられています。

  • 知識実践が持続的なイノベーションを支える

  • リーダーは理想主義的な現実主義者でなくてはならない

  • リーダーは理想を追い求めるだけでは不十分。リーダーは同時にプラグマティックである必要がある。現実と向き合い、状況の本質をつかみ、対局を見通すことができなくてはならない

Reviewer’s View(しのジャッキーの視点)

本書では、「いま・ここ」での行動へのフォーカスが頻繁に強調されます。個人的に、これがとても強い印象を感じています。それはアドラー心理学の考え方を描いたベストセラー「嫌われる勇気」と通じるものがあるからだと思います。

以前、学習・イノベーション・成長をもたらすという組織の「心理的安全性」について、「恐れのない組織」という書籍をもとに学びを深めました(総まとめ記事はこちら)。そこで重要視されていたのはリーダーシップでした。そして、恐れのない組織をつくるために重要なリーダーシップの考え方はアドラー心理学と通底していました(以下の記事ご参照)

ホンダジェットからの教訓と、本田宗一郎氏と藤野道格氏に共通する考え方に以下の2つがありました。

  • 「リーダーシップ:主体的な判断に基づいた行動」

  • 高次の目的を持つリーダー:自社の儲けのためだけではなく、共通善のためにイノベーションを希求」

アドラー心理学の考え方では、主観を非常に重要視します。なぜなら、究極的には相手がどう感じるかは、私にはわかりえないからです。あくまできっとうれしかっただろうといった想像をめぐらすことしかできません。

そのため、人は、他者への貢献「感」を目指すという北極星(=高次の目的=共通善)を見失わず、自分の主観に基づいて主体的に「いま・ここ」でできる行動をする、しかないのです。

嫌われる勇気」のフィナーレのあたりで、人生最大のウソとは、ありもしない未来や、変えることのできない過去にとらわれて、「いま・ここ」を生きることに向き合わないことだと、しています。

今回、「ワイズ・カンパニー」を読んでいて、ハッとしたことは「いま・ここ」に集中すると三現主義「現場」「現物」「現実」に向き合わざるを得なくなるんだな、ということです。

一方で、アドラー心理学では人の究極の目的として「共同体感覚」の獲得というものを掲げています。ワイズ・カンパニーの第2章では、「哲学における知識実践」というパートがあるのですが、そこの中でも、同じような概念として「相互主観性」「対化(ペアリング)」が出てきます。

ここのところ、「経営」という概念の学びを深めていく中で、急に、ビジネスと哲学の距離が近づいてきたと感じる今日この頃です。

今日のポイントのまとめ1枚

おわりに

このほか、当方の経営理論に関する記事は以下のマガジンにまとめていますので、もしよかったらのぞいてみてください。またフォローや記事への「スキ」をしてもらえると励みになります。

ということで「形のあるアウトプットを出す、を習慣化する」を目標に更新していきます。よろしくお願いします。

しのジャッキーでした。

Twitter: shinojackie

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