金魚カクテル
10年ちかく前に書いたらしい、「金魚カクテル」という話があります。
その話に登場するUさんの部屋で、南方熊楠の話をきくくだりがあるのですが、彼の本棚に並ぶいくつかある熊楠に関連する本のうち、水木しげるの「猫楠」を借りて帰りました。
「基本、ひとには大事な本貸さないんだ。返ってこないと困るし」
と渋るのを、
「ぜったい、返すし」
と言ってまんまと返しませんでした。
いや、ほんとは返そうと思っていたんですが、
わりとすぐ後に、友人から
「30歳代の彼女ができて、その彼女が嫉妬深いから近寄ったらコワい」という話をきいて連絡をとらずにいたら、いつのまにやら、Uさんを木屋町でさっぱり見かけなくなり、消息も聞こえないようになりました。
昨年からつきあうようになった現在の彼が、どっぷりUさんと関係あることがわかったのですが、数年前にガンだったけかな、で亡くなったそう。借りたままの「猫楠」の話をすると、「いいんじゃない?遺品として持ってれば」と言われて、勝手に遺品持たせてもらってます。
また、ほんのり辛くて後味さわやかな「金魚カクテル」が恋しい季節になってきました。
※「金魚カクテル」のリンクが有効でなかったので、編集しました。(2019.5.22)