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夫礼賛
ふとベランダに目をやると、ああ洗濯物取り込まなくちゃ。
おっと、夫にお願いしなくちゃ。
我が家では夫が洗い物、洗濯もの干しと取り込み、ゴミ出しを担当してくれている。
わたしは料理、たまに気が向いたら掃除を担当。
洗濯を開始するのは、その時々。
たまに「気をきかせて」「ヒマだから」「たまにはわたしも」洗濯物を干したり取り込んだりしようと思うのだけれど、夫がその作業にヨロコビを感じているのに気がついて、あえて夫にお願いするようにしている。
もう20年ちかくまえ、夫が
「僕の仕事はこの家にはないんだね。僕の居場所がこの家にはないみたい」
と寂しそうに言うのをきいてハタと気づいたのだ。
男尊女卑のきびしい時代、場所に育って
「女は夫をたててナンボ」
「家事は女の仕事」
というのが嫌で実家の土地を飛び出して、日本の価値観に縛られていない、男と女は性差はあれ、平等に働くという文化のある国のひとと一緒になったというのに、言われて気がつけば
「夫に迷惑かけないように」
「家事の負担をかけないように」
と、連れ子がいるという負い目もあるといえ、それが「良いこと」だと思っていた自分にビックリすると同時に、かれにとっては「家族とは、お互いが協力してあれこれをしていくもの」で、むしろ参加することに、自分が必要とされていることにヨロコビを見出していることを知った。
実家の感覚からすると
「男の人を大事にしないで、そんな風に振舞ってたら離婚されるわよ!」
と母に言われるくらいのわたしでも、ついつい、日本人にとっての「よい妻」になろうとしていたんだ、とビックリ。
カッコよくて頭もよくて優しい夫
日々話をしていて飽きないし
毎日新たな発見があって勉強させられる。
一緒になって25年、山あり谷ありの一筋縄ではいかない道のりではあったけれども、彼と一緒になれてほんとによかったなあと思う。
そんな彼は、日本ではまだまだなじみが薄いけれど
ロシアでは普通に祝われる「国際婦人デー」で
彼の世話をしてくれていたおばあちゃんが
(彼の時代は、両親共働きでおばあちゃんが世話するのが普通)
「この日だけ女性に感謝するのって笑止だわ。いつもはこき使ってるのに」
と言うのをきいて、女性に毎日協力すべしと刷り込まれたみたい。
一緒に住み始めた日、結婚記念日、わたしの誕生日…
なにかあるごとにロシア男性らしく、茎の長い薔薇やカーネーションをプレゼントしてくれる(ロシアでは、プレゼントする花の茎は長ければ長いほど良いのです)彼は、今年も「国際婦人デー」に花を贈ってくれました。