空目のおもわぬ効用

昨日は、ひさしぶりにスタンダップコメディアンのナオユキさんのライブをききにいった。

その存在はオープン当時から知っていたものの、ややこしい場所にあるので
見つけられずにいた、「エンゲルスガール」というお店が会場だ。

行ってみると、一体がなにやらおしゃれな一角になっている。
想像していたよりもちいさなお店で、中古のアナログレコードやCD、古本に囲まれてライブをきくことに。

対バンの、ギターを弾いてうたうひとが先だったので、ぼんやり聴きながら周囲のCDや古本をチェック。音楽はもちろんのこと、本の趣味もかなり近いものを感じる。
立てて置いてある本の上に、横に押し込んである本もある。
そのうちの一冊が「殺しの川柳」。
へえ、殺しに関する川柳かな?
昭和初期の伝説の在日ヤクザの引退後の活躍を描いたもののようで、面白そう。
さいきん、またぞろそこらへんが懐かしくもなり
自分の暗黒部分、サブカルな部分に蓋するのや~めっぴ、と思っているところでもあったので購入。
「これをください」
とレジに持っていくと、店主が
「ああ、これはいいですね。読み応えありましたよ」

ナオユキさんとは、実はもう15年くらいの知り合いになる。
ちょこちょこ、ネタをききにいくのだが
地味に新しいネタがあったり、何度もきいたものでもやっぱり笑ってしまったり。
それぞれの、ハコにあわせてすっとなじんで周囲を自分の空間にかえてしまう。
絶妙な間、語りくち。
リズム、声色、トーン。
声の大きさ、小ささ。ささやき。
勢い。
ふいっと、場末の酒場に連れていかれてしまう。

そう言われたらそうなんだけど思いつかなかったことに噴き出したり
そんな解釈ですか!とゲラゲラ笑ったり
一瞬考えてクスリと笑ったり。

そのあとの、落ち着く店内=自分とウマがあう雰囲気のなかでの
おしゃべりもたのしかった。
なんというか、ナオユキさんのライブにいくたびに
わたしの感性もこれでいいんだ、やっぱり自分のできることを地道にやっていこう、と思える。

で、帰宅してあらためて買ってきた本を眺めてみると
「殺しの柳川」。
柳川さんという方のお話なのでした。

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