マンホールの蓋はなぜ丸い?

有名な「ビル・ゲイツの試験問題」というものがあります。ちなみに本も出ています。

ビル・ゲイツの試験、つまりマイクロソフト社の入社のための問題で、それらは非常にユニークであることで知られていますね。例えば、タイトルにある問題もそのひとつ。

マンホールの蓋はなぜ丸いのか。

これはけっこう有名な問題で、答えは僕もたまたま知っていた。先に書いてしまうと、
 
●四角いと、蓋が穴に落ちてしまうから

がその回答。

蓋が四角いということは穴ももちろん四角いということになり、その場合、例えば蓋を外して縦にしたときに、蓋の一辺よりも穴の対角線の長さのほうが長くなって、穴の中に蓋が落ちてしまう可能性が生まれる。大体マンホールの蓋は車が通ったときの振動などで外れないように、かなり重く作られているので(平均44kgもあるそうだ)、下で作業している人の頭上に落ちたりしたら死亡事故に繋がる。もちろん、マンホールの穴が開きっぱなしだったら、地上を通る人々にとっても危なくってしょうがない。絶対に穴に落ちない、ということが重要なのだ。蓋が円形であればどのような角度になっても穴に落ちることはない。だからマンホールの蓋は丸いのだ…という話。

ビル・ゲイツの試験問題については、他にも面白い質問が目白押しです。

「世界中にピアノの調律師は何人いるか?」
「富士山を動かすにはどうすればいいか?」
「鏡が、上下でなく左右逆転するのはなぜか?」

などなど。

ピアノの調律師、の問題に関しては、科学者のエンリコ・フェルミの「フェルミ推定」が有名で、漠として掴みづらい物事を、ざっくり推定するのに使われるそうですが。フェルミは「シカゴにピアノの調律師は何人いるか?」として、

●シカゴの人口を300万人とする
 ↓
●1世帯5人とする
 ↓
●するとシカゴには60万世帯があると仮定される
 ↓
●20世帯に1つがピアノを持つ
 ↓
●ピアノの数は3万台
 ↓
●一年に一度調律が必要である
 ↓
●調律師は1日2台調律ができ年二百日働くとする

●上記仮定より 3万(台)÷( 200(日)× 2(台/日) ) = 75人
 シカゴには75人のピアノ調律師がいる

…となるそうです。事実かどうかはともかく、仮定の数字を推定できるかということでしょうか。

じゃあ、富士山を動かすにはどうすればいいか?について。これはとんち的に色々答えがあると思うけれども、

●今の富士山を「高尾山」という名前にして、高尾山に「富士山」という名前をつける。

とかね。どうでしょうか。>ビル
不採用ですか、そうですか。何も高尾山じゃなくてもという話もあるが。

次。

鏡が、上下でなく左右逆転するのはなぜか?について。これは、人間の目が横並びについているから…ではなく。

●鏡像は左右逆転してるのではなくて「表裏」が逆転しているから

ですよね。

単純な正答を求める問題というよりも、その発想の切り替え、思考のプロセスなどの、「知識」ではなく「知能」が求められる問題たちです。

それにしてもさすがはビル・ゲイツ、ユニークというか意地悪というか、根性が悪いというか…僕はマイクロソフトに入ることは幸いなさそうなので、いいですけど。

これらの問題を解くにはコツがあるそうで、前出の本によると、

1.どういう答えが期待されているかを決めること
2.最初に考えたことはたいてい間違っていると思うこと
3.複雑な問題は単純な解答に絞り、単純な問題は複雑な解答がありうると思うこと
4.壁にぶつかったら、自分が考えたいくつかの前提を捨てていく順番を決めること
5.絶対に問題が不備だとは思わないこと

だそうである。これって色んな考え方に応用できそうだ。

ところでマンホールの話に戻りますが、「日本グラウンドマンホール工業会」という酔狂な…いえ素敵な会社があって、マンホールのふたに求められる条件、という表記がありました。それによると、

1. 飽きがこない 
モチーフを生かした幾何学的模様など、長期間の使用に耐えるデザインであること。
2. 非方向性
一方向だけから見た場合に、意味のわかるデザインでなく、極力方向性のないデザインがのぞましい。
3. 耐久性
長期間の間に模様が磨滅されるが磨滅による味わいがでるようなデザイン。
4. 素材感
鋳物の重量感、暖かさを感じるデザイン。
5. 地域個性
単純発想でなく、表現工夫がなされたデザイン。
6. スリップ防止
道路と同等の走行性を持たせ、安全性を配慮したデザイン。

などなど。マンホールの世界も、なかなか奥が深いといえましょう。「マンホールデザイナー」とか、いるのかなあ。いるんでしょうねえ。むしろ「マンホール・アーティスト」という感じだろうか。

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