『宝石の国』インターミッション
『宝石の国』考察の完結編の前に、インターミッションです。
この作品は各単行本のキャラクター紹介ページも楽しく、見開きでその世界観が存分に発揮されています。それぞれのキャラクターに添えられた簡潔な紹介コメントも、物語が進むにつれて少しずつ変化します。
それぞれ見ていきましょう。
※画像はタップすることで拡大できます。
1巻
なし。
2巻
まずは2巻。序盤の平和な「学校感」がそのまま出ています。
キャプションは「名前、硬度、作者の一言コメント」という構成になっていて、フォスのコメントは一貫して「主人公。」から始まります。確かに絵だけだと主人公が誰とかわかりませんね。
3巻
3巻はフラットな角度の構図。フォスの足が貝殻のアゲートになっています。カラフル。
フォスのコメントは「体が大変なことになってきた」。
4巻
蝶が舞い、花飾りをつけ、野原に座っているような雰囲気。アンタークが物語の進行に合わせて「欠席した子」のような扱いになってますね。フォスのコメント「こちらからは以上です」。
あと、物語の中での宝石たちは喪服のような服装なのですが、ここでは明らかに学校の制服を着ています。
5巻
こちらも制服バージョン。約数名、顔を見せないという割り切りが見られ、楽しんで描いているなと思わせるところです。「引率」という言葉が浮かびます。ボルツは髪の毛をめっちゃ引き摺り、フォスは「ズタボロ」らしいです。
6巻
物語中の「冬眠」がモチーフと思われます。寝巻きと、柔らかそうなベッド。あと、分裂した「しろ」がもふもふ感をかさ増ししています。フォスは腕をちょうどなくし、合金の腕に差し代わったあたりのようです。アンタークのコメントに遊びがありますね。探してみてください。
7巻
フォスがベッドに寝ている回。コメントからも本体を失っている感が見えます。全体的には趣味紹介。
8巻
なんとなく「ペア」の関係性でまとめられている感じの紹介。フォスのルックスが変わっています。「今回もご期待ください」というメタコメント。
9巻
舞台は月なのでしょう、右上に月人のセミが半身を覗かせています。フォスは「がんばっている」と一言。この頃になると皆のコメントにもそれぞれ苦悩が見られるようになります。ただ一人、「毎日楽しい」というウォーターメロン・トルマリンを除いて。
10巻
10巻ともなると、物語は佳境を迎えています。フォスは月にいて、立場的に「追い詰められた」となっています。右下の3名は毎日楽しいようです。ずっとポツンとしていたシンシャは友達ができました。
11巻
最終巻を前にして、ここまでで一番不穏かつ風雲急という感じのページです。右と左に分かれた構成は、対立の構図をいよいよ明確にします。フォスの造形はやばいことになっており、ボルツの長い髪も短髪に。シンシャは地球側の一員として戦闘します。
12巻
12巻、最終巻です。あの宝石たちはどこへ行ってしまったのか、という寂しさです。フォスは完全に異形の者となり、物語中でも最後に戦うユークレース、ジェード、シンシャ、金剛先生と対峙しています。エクメアたち月人サイドも登場しています。エクメアの「公務員」がニクい。カンゴームは「姫」として紹介されます。
紹介ページの紹介は以上です。
世界観の反映と、物語世界とのシンクロを見ると、作者の作品愛が見て取れるようです。ただの登場人物リストではなく、この見開きページだけでも一つの表現として楽しめるのがわかります。
なお「兄機」や「博士」は出てきていませんね。
さて、インターミッションは終わりです。
次回は作品考察「完結編」を書きましょう。なるべくほとぼりが冷めてしまわないうちに、と思っていますが…さてさて。
それでは。
完結編はこちらです↓
前編・中編・後編