20220522 ドラゴンタトゥーのソーシャルネットワーク
土曜日の夜は「ドラゴン・タトゥーの女」を観てた。そして金曜の夜は「ゾディアック」を観ていたので、デヴィッド・フィンチャー監督の映画を立て続けに観ていたわけである。
なんでいきなりフィンチャー祭りなの?と言われると答えに窮するが、理由の一つは、以下の鼎談動画でSSこと佐藤くんがこう言っていたのを思い出したからでもある。
「デヴィッド・フィンチャーは、基本的にハズレがない。1本もない」
彼のこの強い言い方がなんとなく心に残っていて、そう言えば観てない作品もたくさんあったナァ、ということで私的フィンチャー祭りが開催されたのだった。(まだ2本だけど)。ちょうど佐藤くんの一言のところでリンクを貼ったのでどうぞ。
なお、
デヴィッド・フィンチャーのフィルモグラフィをリストにするとこうなる。
エイリアン3 Alien³(1992年)
セブン Seven(1995年)
ゲーム The Game(1997年)
ファイト・クラブ Fight Club(1999年)
パニック・ルーム Panic Room(2002年)
ゾディアック Zodiac(2007年)
ベンジャミン・バトン 数奇な人生 The Curious Case of Benjamin Button(2008年)
ソーシャル・ネットワーク The Social Network(2010年)
ドラゴン・タトゥーの女 The Girl with the Dragon Tattoo(2011年)
ゴーン・ガール Gone Girl(2014年)
Mank/マンク Mank(2020年)
映画監督作品のみのリストだが、計11本。この週末に2本観たので、自分がまだ観ていないのは「パニック・ルーム」と「Mank/マンク」の2本だけとなった。なかなか網羅できてきたわけだ。
ちなみに、映画デビュー作となる「エイリアン3」については、Wikipediaにはこうある。
「この作品は撮影中から様々なトラブルに見舞われ、完成した作品もスタジオ側に再編集されていることから、本人は自作として認めていない。また、長編デビュー作が批評家から酷評され興行的にも失敗したことで意気消沈し、「新たに映画を撮るくらいなら、大腸癌で死んだ方がマシだ」と述べて、1年半の間に送られてきた脚本を全く読まなかった」
そのぐらい不本意だったらしい。売れっ子MTV監督として「マドンナ、ジョージ・マイケル、エアロスミス、ローリング・ストーンズなどのミュージックビデオや、数多くのCMを手掛けた」フィンチャーにとって、非常に苦いデビューだったというわけだ。しかし1995年、あのセンセーショナルな「セブン」によって世界から大注目を浴びることとなり、おまけに大腸癌にもならず、彼は名監督のキャリアを歩き始めるのである。
で、上にリンクを貼った「俺たちの映画夜話」でも挙げたように、フィンチャーの「ソーシャル・ネットワーク」はマイベスト9に入るくらい好きな映画である。MTV・CMクリエイター上がりというキャリアも納得の端正な映像美。お家芸とも言えるダークなライティング。その中で繰り出される、シナプスの伝達速度の超速そうなIQ高いマンたちの速射砲のようなダイアローグ。抑制的で気の利いた音楽。大好きだった。
「ソーシャル・ネットワーク」は言うまでもなくマーク・ザッカーバーグを中心とした、Facebook誕生についての映画である。ザッカーバーグはかなりのナード(つまりオタク)で、ちょっと人の感情の動きに無頓着というか、コミュニケーションに難があり、人の傷つくことを平気で言ってしまったりする男として描かれてる(映画だけでなくザッカーバーグ本人にもいろんな話があるが、割愛)。
それを象徴するのがオープニングのBARでのシーン、ザッカーバーグとガールフレンドのエリカの会話である。話はめちゃくちゃに飛ぶわ、彼女の大学と彼女自身を差別した発言はするわで、会話を楽しむどころか彼女をイライラさせ、その場でフラれてしまう(この5分ほどのシーンは99テイクも撮られたと言われている。マジか)。このエリカ役の女性がルーニー・マーラである。
冒頭のザッカーバーグとエリカの会話はここ↓が詳しかった。
ここでようやくタイトルに繋がる(やっと…!)
そう、ルーニー・マーラの話をしたかったのである。最初に書いたように、先日「ドラゴン・タトゥーの女」を観て、その主演クレジットで「どっかで聞いた名だな…」と思っていたのだが、どっかで聞いたじゃあない、ランドセルの名前を見ろ(feat.空条承太郎)…じゃなかった、自己ベスト9にも挙げた「ソーシャル・ネットワーク」のエリカ役の女優こそが彼女だった。
ちょっと検索で見つけたツイートをお借りするのだが(すみません)、このルックスの違いですよ。わかんないよこれ。わかりません。普通に美しい女性というルックスから、かっこいいんだけどパンクというかなんというか…形容しにくくてしょうがない。いや、「ドラゴン・タトゥーの女」を観れば、このパンキッシュな鼻ピアスな彼女も実はたいへんいじらしくて可愛いということがわかるのですが、この女性・リスベットは戦闘力と行動力と超人的な記憶力とハッキングの腕を併せ持つ23歳のスーパーな女で、見た目だけじゃなく行動も「ぶっ飛んだ天才」といった風情なので、「ソーシャル(略)」のエリカとはちょっと結びつかなかった。
というか、「ソー(略)」(どんどん短くなる)のエリカが、もしリスベットだったらどうか?という妄想までしてしまう始末。ジェシー・アイゼンバーグ演じるザッカーバーグは瞬殺でしょう。きっと「君はあのドアマンと寝たろ」のあたりでスタンガンをスピーディに喉に当てられ気絶させられるのではないかと予想します。
ちなみに、「ドラゴン・タトゥーの女」はすごく良かったですね。特に物語の中盤以降、ダニエル・クレイグ演じるミカエルとリスベットが組んで動き始めるあたりから物語が加速するようで、あとはラストまで一気でした。それからタイトルにもなってる「ドラゴン・タトゥー」はリスベットのタトゥーの柄ですが、物語に直接関係なかった…これが原作だときっと何かポイントになってるのかもしれませんね。
ちなみに、また「ソ(略)」に戻ると、冒頭でエリカが「アカペラなんてモテない」と発言しているけど、映画本編38分のシーンで、ボート部のウィンクルボス兄弟の友人・ディヴィヤ・ナレンドラが女性たちとアカペラグループの歌をホールで聴いてるシーンが出てくるんですよね。
クレジットで調べたら、All-4-Oneの「I Swear」だった。
ドラゴン・タトゥーの女がなんか言ってますよー。
モテないってよー。