藤野忍

しょーせつ 限界FJK

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    自作小説、悲しいメトロノームです。 いわゆる年の差百合

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月の下で香るモクセイ 第1話【創作大賞2024中間選考通過作品】

あらすじ 阪東花澄は、両親の虐待から逃れるため、四人の幼い弟や妹を抱えて懸命に働く19歳。だが両親は花澄から金銭搾取をし、弟や妹に暴力をふるい続ける。ある日、経済的苦境のために、ついに花澄は母親の浮気相手と肉体関係まで持ってしまった。自分を殺して、ただただ幼いきょうだいのために生きる。その後、何とか隠しておいた大金までも父親に奪われ、働く気力をなくした花澄は、弟や妹と心中しようとする。だが花澄だけは恐怖で死ねず、ただの殺人犯となってしまった。彼女が逃げ出した先の恵比寿で、宮崎

    • 【今更ながら】創作大賞2024中間通過→落選を受けて

       もう12月らしい。もう12月らしい。信じたくはない。  お疲れ様です。創作大賞2024、落ちました。いつかこのことについて記事を書こうと思っていたのですが、なかなか手つかずで……。最近いろいろあって忙しかったんです。というのは言い訳ですが。高校無理。  まずはこちら。  創作大賞2024恋愛小説部門に応募した作品です。正直かなり未熟な作品だと感じていますが、倍率170倍越えの中間選考を突破できました。本当に感謝でしかないです。  けれど、最終選考はやはり一筋縄ではい

      • ダブル・クリスティーヌ

        「シャンデリアが落ちるぞ!」  いやいや、そんなわけとも思ったが、本当だった。次の瞬間、精緻なガラスの塊が死ぬ、やたら華やいだ音が、大劇場内に響き渡った。  オペラ座かよ、と心の中で突っ込みながら、舞台監督である佐藤は、「劇場で走るな」という忠告も忘れ、ステージに走る。本日はよりによって新作の初日だ。  カンパニーは未曾有の危機にさらされた。ステージに出た佐藤が見たのは、顔を血まみれにしている主演女優、田中だった。シャンデリアの直撃は免れたものの、顔を掠めて、ガラスが刺さ

        • 創作大賞2024 中間選考通過を受けて

          通過いたしました!!!!!!!!!    正直通過させていただけるとは到底思えず、今でも信じられておりません。だから久しぶりにnoteを開いたときに、ふと結果発表が目に入って。どうせ……と思っていたのに、そこに私の作品と名前は存在していたのです。 月の下で香るモクセイ 第1話【創作大賞2024参加作品】|藤野忍 (note.com) こちらです。 52750作品から、305作品。倍率170倍。すごい確率ですね。 話は変わりますが、私は今年の春、約120人が受けて89人

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        月の下で香るモクセイ 第1話【創作大賞2024中間選考通過作品】

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          【観劇レポ】劇団四季アナ雪 2024.8.10マチネ

           アナ雪、すっごく気になっていたんですよ。でも、なかなかチャンスに恵まれず。そんなに遠方ではないのですがねぇ。ただお金がないもんで。バイトさせてほしいです。学校よ、許して。  というわけで、念願かなって観劇してきました。感激しました。世界でいっちばん美しい! 素晴らしい! 文句なし!(byヤングアナちゃん)  備忘録として書いていきたいと思います。興奮のままに書いているので、物書きの端くれとは思えないくらいに文章がグダグダ。 ネタバレあるよ  あらすじはまあいいでしょ

          【観劇レポ】劇団四季アナ雪 2024.8.10マチネ

          月の下で香るモクセイ 第9話

          『本来なら死刑となるところを、置かれていた家庭環境と犯行動機から情状酌量され、無期懲役となった。このニュースは全国で大々的に報じられ、私にはたくさんの罵詈雑言が浴びせられた。やはり、すべては自分に返ってくるのだ。また、心中をしようとして、私だけ未遂に終わって逮捕されたという少々変わった事件性から、この事件を創作に使うものも現れ、なんなら映画化もされるらしい。でも、同情の声も少なからずあった。私の家庭環境についても報じられたからだ。それでも私は、やっぱりあの時、両親を殺しておく

          月の下で香るモクセイ 第9話

          月の下で香るモクセイ 第8話

           気づけば、隣の隣の県の田舎に来ていた。海のよく見える、穏やかな街だった。無人の改札をくぐって外に出ると、恵比寿には吹かない風が私たちを出迎えた。  もう日が暮れ始めている。その街の海岸は、断崖絶壁のすぐ下に大海原が広がっていた。夕日に染められて、美しく色づいた海。その色を永久に忘れたくないと思いながら、私は地面に座り込む。  崖に腰かけて、足を海風にさらす万里。彼女はすでに、すべてが終わることを悟っていた。  今日の万里は、いつものブラックコーデではなかった。真っ白なワンピ

          月の下で香るモクセイ 第8話

          月の下で香るモクセイ 第7話

          夜の都会を歩く。今日は熱帯夜ではなかった。涼しい風が二人の頬を撫でる。  あの後、万里さんにも指輪をはめてもらった。華やかになった右手の薬指。万里さんにも同じものがついていると思うと、やっぱり恥ずかしい。 「いやあ、いい誕生日だなあ!」  万里さんはそう言いながらスキップする。私はここで大事なことを思い出した。そもそも、この指輪だって本当は誕生日プレゼントだったはずなのに。 「あ、お誕生日おめでとうございます……」 「え?! まさか忘れてたの?!」 「告白のことで頭がいっぱい

          月の下で香るモクセイ 第7話

          月の下で香るモクセイ 第6話

           八月二十二日。あれから特に進展はなく、いつも通りに店を手伝っていた。掃除をして、接客をする。特に変わらない業務をこなす。よく考えれば、人生なんてこんなことの繰り返しなのだと思う。毎朝同じ電車に乗り、何も考えずに変わらない業務をこなし、同じ時間に大体同じものを食べて、また変わらない業務をして、同じ電車に乗って帰る。尤も私は電車通勤ではなかったが。  そんな人生でも、誰かが色を付けてくれていたのは確かである。前の私だったら、それは子供たちだった。彼らの笑顔を見ればなんでもできる

          月の下で香るモクセイ 第6話

          月の下で香るモクセイ 第5話

           充電が百パーセントになっているスマホ。さっきLINEを交換してもらったのだ。名前は「宮崎万里」で、誕生日は八月二十九日。今日は、八月十三日。万里さんからのお給料で、何かしらの誕生日プレゼントは買えるのかもしれない。尤も、それまでここにいられればの話ではあるが。  隣でスヤスヤと寝息を立てる万里さんが美しい。疲れたのだろう。いつもは私の方が早く眠りについてしまうから、初めて見る寝顔。私はそれに夢中になっていた。  私は彼女の手を取ってみる。美容師というだけあって、爪は短く整え

          月の下で香るモクセイ 第5話

          月の下で香るモクセイ 第4話

           ずいぶんと長く眠っていた気がする。 ゆっくりと眠れたことに対する幸せを味わう。もう聖也と聖奈の夜泣きに起こされることもなければ、早く起きて子供たちの世話をする必要もない。   とっても嬉しいはずなのに、私の罪の重さを再認識する。  窓から入り込んでいる朝陽は柔らかく、私の人生においてはじめての優しい朝を演出していた。  太陽に優しく笑いかけながら、私は自分の身を起こす。  体の重さは消えていて、フワフワと身が軽い。やはり休養とは人間にとって大切なことだったのだ。  万里さん

          月の下で香るモクセイ 第4話

          月の下で香るモクセイ 第3話

           十八時。夕暮れの街を歩いてアパートへと帰る。  共用部分の廊下に入り、私たちの部屋のドアが開け放たれているのが見えた。中からは鈍い物音がする。  嫌な予感がし、私は走って部屋に飛び込む。 「姉ちゃん……」  ダイニングに倒れこんでいる日向。そして彼を痛めつける大柄の男……私の父親。  どうやら夏美と双子は避難済みらしい。ということは、日向が父親の暴力を受け止めてくれているのだ。  私の存在に気付いた父親は、こっちにものすごい勢いで近づいてくる。そして私の腹部を蹴り上げた。床

          月の下で香るモクセイ 第3話

          月の下で香るモクセイ 第2話

          「大型免許を取ってみないか?」  喜多川課長にそう持ち掛けられたのは、ある日の昼休み。営業所での休憩室でコッペパンをかじっていると、愛妻弁当を持った課長が隣に座ってきた。よく「うちのカミさんが作ってくれてるんだぞ」と自慢している。 「大型免許ですか」  最近考えていたことなので、タイムリーだなと思いつつも、私は食べかけのコッペパンを置き、課長の方を向く。 「ああ。阪東は優秀だからな。取得したら、手取りは二万五千円上げられるかもしれない」 「二万五千円ですか?!」  私は思わず

          月の下で香るモクセイ 第2話