単語を覚えることが英語の勉強か?
ちょっと英語学習者には耳の痛い話になるかも知れません(が、わたしの話は大体そうか、と思いましたので、思い切って書きます。)
単語集のどこどこまでは完全に覚えました
たとえばTOEFLで言えば「3800」の Rank 3までは完璧にしています、という感じなのだけど、Readingのスコアが上がりません、というご相談を頂きます。(スコアが上がっていれば問題ありません。)
Readingの能力を矮小化していることが
実はその原因かと思います。Readingのスコアが単語だけで決定されるかのようなイメージがあるわけですね。決してそんなことはありません。もしそうだとしたら、「3800」語って少なすぎませんか?そんな少ない語彙数で、潜在的に(派生語含めずに)20,000とも30,000語とも言われる語彙数のあるネイティブスピーカーの高校3年生と机を並べて勉強をするというのでしょうか。ちょっと恐ろしいですね。
しかも、そういう受験生がわからない、と質問される英文は「知らない単語が入っていない英文」であることも多いです。Listeningでも同様で、言っていることがわからない、という英文は、単語が問題のこともありますが、全て中学生が知っている語なのに、そしてその意味で使われているのに、内容がわからわないわけです。
Reading Sectionで、測定される能力には
● 文脈の中での具体例の働き
● 指示語が指す内容
● パラグラフとパラグラフのつながり
● main ideaとdetailの分類
● ややこしい文の言い換え
● 正しく推論する
● 意見なのか事実なのかを区別する
● 長いパッセージを読みつつ、ポイントを記憶しておく能力
などなど、がありまして、
これらが、一定の時間内に「全て自分の知っている単語だけで作られたパッセージでもできるか」が大切です。
その中で単語を知っていると
やりやすいものもあるかと思いますし、もちろん、ダイレクトに「この単語の意味はなに?」と質問されることもあります。だから、単語を覚えることは必要だし、ある意味当然です。けれど、逆は成り立ちません。単語を知っているからと言って、上のことはできません。実際、現代文のテストで100点満点を取れる人は珍しいはずです。
TOEFL の Reading Section でも
「英語の勉強=単語の暗記」という図式を超えたところにスコアアップの鍵があると思います。猛勉強をした結果「あとは単語を増やすだけ」になったら良いかと思います。でも皮肉なことに、そうなる頃には「まあ、単語は自然に身についた分だけでいいかな」とも思えてくるかも知れません。その後に、余裕を持って、日々の勉強を通して、単語の数を自然と増やしていくのが理想です。
英語(外国語)の勉強をしているのだから
単語に関心を持つのは当然ですし、新しい語に出会ったら、記憶しておきたくもなります。ただ、英語の勉強はそれだけではないことはさまざまな経験から理解できることと思います。だから、単語を無視して英語の勉強を完成することはできません。ただ、英語の勉強=単語の記憶、とはならないということです。(もちろん、単語を「記憶」するためには、幅広い基礎的知識があった方が記憶もしやすくなりますから、ある意味「単語の記憶」ができることは、英語の勉強が順調に進んでいることの証でもあります。)
例外
ただ、本番のテストが迫っているのに、知らない単語が多すぎて太刀打ちできないような場合には、もちろんですが、単語集などで詰め込むことも一つの方法です。ただ、上にお話した「幅広い基礎的知識」がない状態では、その効率も悪くなりますから、もはやその方法でスコアアップを期待することはできないかも知れません。