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「思索の羅針盤」 ~情報洪水の中でも思考の方向性を見通せるよう、Difyでアプリを作ってみた~

抽象的なお題を前にして「どこから考え始めたら良いのか…」と頭を抱えた経験、日々供給される情報洪水に埋もれて、自分は何を判断したかったのか迷子になってしまった、という経験はありませんか?
何かを考え始める際、とりあえず検索から始めてしまうことはやりがちなのですが、『アウトプット思考』という本によると、これはあまり良いやり方とは言えないようです。

「まず、なるべくたくさんの情報を集め、整理する」というスタンスでは、差別化が難しいどころか、時間もお金も無駄になる。つまり、競争力を失う要因ともなり得るのだ。
(中略)
情報にかける時間は必要最低限にして、本当に大事な「考える」時間を増やすべきではないだろうか。

内田和成「アウトプット思考」

では、頭の中にあるふわっとした問題意識をどのように深めていけば良いのでしょうか?
我々のふわっとした要求を掘り下げ、思考過程の道筋に見通しをつけてくれる「思索の羅針盤」アプリを作ってみたので、ご紹介したいと思います。

この記事の構成

以下のような章立てで書きました。第3章の、実装方法の概説まで無料部分に記載し、DSLファイル(今回のアプリをあなたのPCで動かすためのファイル)は有料部分に掲載させていただきました。プロンプトの書き方を見てみたい、自分のPCですぐにアプリを動かしてみたい、という方はぜひご購入いただけますと幸いです!

  1. 「思索の羅針盤」アプリの設計思想

  2.  LLMを使うのは1回ではダメなのか?

  3.  DifyのChatflowでの実装方法

  4.  所感・今後に向けて考えていること

DSLファイルを使ってDifyのアプリを動かすには?
コミュニティや他の人からテンプレート(DSLファイル)を受け取った場合は、スタジオから「DSLファイルをインポート」を選択し、インポート後に元のアプリケーションのすべての設定情報を直接読み込みます。

https://docs.dify.ai/v/japanese/guides/application_orchestrate/creating-an-application

1. 「思索の羅針盤」アプリの設計思想

このアプリは、LLMに4種類のタスクを実行させることで動いています。
➀ ユーザーの要望をもとに、仮想的なペルソナを生成させる
② ユーザーの要望をかなえるために検討すべき論点・質問事項を複数個生成させる
③ 仮想的なペルソナを踏まえて、各質問に対する回答を生成させる
④ Q&Aの結果を踏まえて、ユーザー要望を実現するために考えるべき論点・実現方法の仮説・深堀方針を生成させる

アプリの設計方法

2. LLMを使うのは1回ではダメなのか?

冒頭のデモで投げかけた要望を、ChatGPTにそのまま聞いてみた場合と、LLMを複数回呼び出す「思索の羅針盤」アプリに聞いてみた場合の出力を比較してみましょう。

同じ質問をDifyアプリとChatGPTに投げたときの出力内容比較

ChatGPTの場合(ユーザーの質問を、思考プロセスのステップを踏まずに処理する場合)は、ユーザーの要望に対する解決案そのものを提示してきます。一方、「思索の羅針盤」アプリの場合は、要望に対する解決案を考えるための観点や、次に深堀すべき方向性を提示しているのがわかると思います。
私がこのアプリに求めているのは「自分の代わり考えてもらうこと」ではなく「自分の壁打ち相手になってもらうこと」なので、自分主導で考える際の観点出し機能を重視し、このような仕様にしました。
チャットボットが提示してくる仮説はあくまで仮想ペルソナに基づいた仮説なので、それが自分の悩みとは合っていない可能性もありますが、それに気づくことさえできれば「自分はこういう点に悩んでいるのでその方向性で再考したい」と要求しなおせば良いのです。

3. DifyのChatflowでの実装方法

それでは、DifyのChatflowでの実装方法を解説します。WorkflowではなくChatflowを選んだ理由は、ユーザーと何度も対話する形式のボットを作りたかったからです(何度も対話することでユーザーの「考えたいこと」はより明確になっていくはず)。

DifyのChatflowでアプリを実装

複数個の質問群について、対応する回答群を作らせるために、Difyのv0.6.9で追加されたイテレーション機能を使いました。また、質問群をArray[String]にするためにコードブロックを、回答群をStringにするためにテンプレートブロックを使いました。
DSLファイルは以下の通りです。

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597字 / 1ファイル

¥ 2,500

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