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別離【詩】

悲しみの音の色は響き
力尽き果てし旅人を哀れむ
山風は多少冷ややかなれど
うららかな春の如き陽気なり

君の笑顔と木々の枝間に
吹き寄する風は優しく
柔き頬を撫でては去りゆき
煌めきて日溜りの如き温もりなり

悔いても避けられぬ別れに
鳴く山雀の声は淋しく
奇しくも岩の隙間から
流れ来る湧水の如き潔さよ

穢れ無き君との恋に
明け暮れぬ若き日々を想い
おおけなき出逢いを胸に
まさに今朝 再び旅立ちにけり

これは しかし夢
真にあらずと 望む故
その声は 別れの夢か幻と
想うことこそ 微かな救いなりけれ

風吹きて聞こゆる 優しき音の色は
険しく流れ来る瀬の響きに
今まさに掻き消されにけり


(20221117/私之若夜=しのわかや)
※これは以前投稿した記事の再掲です。
 写真はcanvaからいただきました。