JUDY AND MARY「そばかす」でスウィングのロックを再現する
懐メロのレパートリーを広げたいと考えてまず最初に思い浮かんだのがこの曲でした。
実は学生時代にできていた楽譜なんですが、ショートバージョンだし見返してみたら結構間違いがあったしで、いろいろ書き換えて本作として仕上げたのです。
この曲といえばロック、そしてスウィング。
子気味良いカッティングと4分刻みのベースが作り上げる軽快なリズム感はなんとしても再現したい、と工夫をしてみました。
まず、ベースはほぼ原曲どおり。
盛り上がりや他の楽器との兼ね合いでところどころオリジナルのフレーズも入っていますが、全体の流れは基本エレキベースそのままです。
そしてギターですが
これだけはどうしても完全にはコピーしきれないので、あくまで「らしさ」を感じられるようにしてみました。
ロック曲でエレキギターを使うと、リズム感を表現するためにフレットを抑える指の力や弦を鳴らす腕のストロークで微細な調整を行います。
しかしこれをサックスで行うのは至難の技であり、完全に再現するためには楽譜で書ききれない膨大な注文をする必要が出てきます。
そこで今回は、音符と休符を効果的に織り交ぜることで、特に裏拍のリズム感が感じられるようにしてみました。
これによりギターそのものを目指すことなく、「その曲の持つ印象」を伝えるようにしたのです。
また実際のコード音の前に半音下の音を配置することでカッチリし過ぎず少し砕けたニュアンスも出すようにしてみました。
やはり弦楽器の表現能力というのは非常に高く、それをサックスでカバーするというのはとても難しいです。
他の曲でも言えることですが、元の楽譜をそのままコピーして貼り付けてはい完成、とするのではなく
そのフレーズが使われることでどのような効果があるかを推測し、それを実現するために編成に合った音を選ぶことが大事だと思っています。
この記事を読んでくださった方は、ぜひメロディーとベース以外の楽器が何をしているかを意識してもう一度聴いてみてください。
スウィングのロックを再現するための工夫、おわかりいただけると思います。
Shino's Studio