Johann Pachelbel 「Canon」であえて原曲から離れる工夫をする

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2019年のレパートリー拡大企画として取り上げることにしたクラシック音楽。
第一弾は本当に誰もが聴いたことがある曲にしたい、と考えてこの曲を選びました。

1.アレンジで意識したこと

アレンジを参考にするにあたりネットにあった原譜も見てみたんですが、
これをそのままサックス四本に置き換えるのは流石に厳しいと判断し、オーケストラや弦楽四重奏の音源を参考にすることに。

Canonといえば、ご存知の通り一定のコード進行が延々と続く曲です。
そこで今回は、とにかく一つ一つの和音の充実性を意識し、今まで以上に縦割りで和声の音が揃っているかを意識しました。

ただ、和声が成立することだけに注目し過ぎると音の遊びがなくなってしまい、内声が本当に音を伸ばすだけになってしまうので
ある程度のオリジナルフレーズを入れつつ、コードの音がしっかり鳴るように配置をしてみました。

結果、他のアレンジにないオブリガードのようなものを複数作ったので
ある意味原曲から離れて個性的な作品を作ったような感覚です。

2.こだわりポイント

・一番の盛り上がり部、最初はあえてアルトに任せる

サビ、という言い方はそぐわないとは思いますが、まぁそんなような場所。
この曲で誰もが最初に最高潮を感じる場所を、あえて内声楽器にお願いしました。

まず、この19小節目は上のDで華やかに伸びる音が欲しかったのです。
そのためここでソプラノはメロディーではなく、響を作る担当を任せました。
また2小節後に同じフレーズが続きますが、ここではバトンタッチをしてソプラノが主旋律、アルトがハーモニーとすることでその前との対比を作ったという形です。

・テナーにしかお願いできない場所を探す

本来であれば、このアレンジの31小節目からはヴァイオリンなどの高音を担当する楽器が低音域でメロディーを演奏する場所です。
が、同じ音域であればその音域を高音域と捉えるテナーで演奏した方が必ず映えるだろうし、
何よりこの曲をフルで聴かなければ知らないようなマニアックな旋律を、普段主旋律を担当しないテナーが奏でるということに無類の魅力を感じたのです。

3.最後に

誰もが楽しめるポップな編曲、というよりは我流アレンジで作品としてどこまで突き詰められるかを試したような結果になりました(笑)
テンポは非常にゆったりで演奏はかなり神経を使うことと思いますが、いい響きを作ることができる音並びになったのでは、と考えていますので
サロンコンサートやイベントなどで、ぜひ使ってみてください!


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