【神宮】2024 第55回明治神宮大会結果まとめ & 観戦記 & 2025センバツ「神宮枠」の行方
こんにちは!
11/20~11/25の間に開催された第55回明治神宮大会が閉幕し、今年の学生野球シーズンも終了しました。今回は大会の結果を振り返り、僕の観戦備忘録も兼ねて感想を述べるとともに、気になるセンバツの「神宮枠」を予想していきたいと思います。どうぞ宜しくお付き合いください。
大会結果
今大会の出場校と勝ち上がり表は、下図の通りとなりました。
見事優勝を果たしたのは、関東王者の横浜でした。あの松坂大輔を擁して優勝した1997年以来、27年ぶり2回目の神宮制覇です。おめでとうございます!
観戦記
今大会、僕は11/22、23の二日間神宮球場に赴き、高校の部4試合、大学の部1試合(と少し)を観戦することができました。ここで、観戦記も交えて今大会の感想や注目選手について語っていきたいと思います。
東洋大姫路の戦いぶり
まず記しておきたいのが、我らが近畿代表・東洋大姫路の見事な戦いぶりです。近畿大会では他を寄せ付けない強さで優勝した東洋大姫路ですが、全国の舞台でも他地区の王者相手に堂々としたプレーを見せてくれました。初戦で東北王者の聖光学院に圧勝すると、続く準々決勝では東京王者・二松学舎大附にも快勝しました。
投げてはエース・阪下くんが今大会も好投を見せ、登板した試合ではタイブレークを除くと計17回2失点と、十分にその実力を発揮しました。特に準決勝では、早くも2024-25シーズンの全国トップチームと評される横浜相手にも臆することなく、11回150球を投げきり、被安打6、10奪三振を記録する快投で、その名を近畿のみならず全国に轟かせました。阪下くんは自身の投球が現時点で全国トップレベルでも通用するということを証明したことで、自信を深めてさらに今後も飛躍することでしょう。
また、二松学舎大附戦で先発した左腕・末永くんも、ピンチを作りながらもうまく要所を締め、6回無失点という好投でチームの勝利に貢献しました。末永くんもストレートに力のある好投手ですので、今後変化球により磨きをかけ成長すれば、阪下くんの負担が今よりもさらに減り、東洋大姫路にとって大きな戦力となるでしょう。横浜と同様、左右の二枚看板体制の構築が待たれます。
東洋大姫路は、その打棒も全国レベルであることを見事に示してくれました。初戦では10安打10得点、準々決勝でも11安打6得点を記録し、持ち前の打撃力を発揮しました。特に近畿大会で大活躍した白鳥くんは今大会でも奮起し、準々決勝では2安打を放ち、代打で出場した準決勝では好投手・織田くんの初球ストレートを思い切り振りぬき、同点の起点となる貴重な二塁打を放ちました。この一打を観た瞬間、やはり白鳥くんは素晴らしいバッターだということを改めて感じました。来年もチームの主軸となることは間違いありません。
東洋大姫路はさらに伝統の鉄壁の守備力も綻びを見せず、今大会も3試合で無失策と、守りのミスがなかったのも非常に素晴らしかったと思います。全国的に見ても総合力が非常に高く隙のないチームであることを、十分証明できたのではないでしょうか。
このように攻守ともに好調だった東洋大姫路ですが、準決勝では横浜のダブルエース、奥村頼人くんと織田くんに封じられ、4安打1得点しか奪えず惜敗してしまいました。しかし、今大会で全国トップレベルの投球を体感できたこと、強豪と僅差の試合を演じたことは非常に貴重な経験になったことと思います。この敗戦をバネにしてもらい、センバツでも是非とも上位進出を期待したいところです。
目の当たりにした驚異の横浜投手陣
今大会最も印象的だったのは、やはり横浜のダブルエース、奥村頼人くんと織田くんの投手力です。左腕・奥村くんは現時点で既に完成度が高く、伸びのあるストレートとキレのある変化球で巧みに相手打者の芯を外し、凡打の山を築いていました。また、奥村くんは準決勝でも貴重なタイムリーを放つなど打者としても活躍し、”二刀流”選手としても優れていることを示してくれました。
一年生右腕・織田くんも評判通りの怪物投手でした。ストレートはアベレージ140台中盤、この日はMax147キロをマークするほどの速球を投げ、そこに110キロ台の変化球を交えて緩急を巧みに使うなど、打者のタイミングを完全に狂わせる”怪投”は圧巻でした。初見で打つのは相当難しいだろう、というレベルです。まだまだ伸びしろもありそうな投手ですが、現時点で既に世代No.1投手と言っても過言ではないでしょう。他チームにとっては非常に脅威となる投手であることに間違いありません。
この2人の投球をセンバツ前に早くもこの目で確認できたことは、僕自身にとって今大会の最大の収穫でした。
その他
その他印象に残った選手としては、東海大札幌の矢吹くんが挙げられます。背番号7をつけた左投手で、準々決勝の対広島商戦でのリリーフ登板を観たのですが、144キロの速球を投げ、コントロールも良く、変化球のキレもあるように見受けられました。特に左打者の膝元への速球が非常に素晴らしかったです。試合には敗れたものの、矢吹くんは3イニングを投げて被安打1無失点の好投を見せており、甲子園での活躍も期待できそうな好投手だと感じました。個人的にセンバツでの登板が楽しみな要注目選手です。
大会ハイライト
今大会のハイライトと言えば、なんと言っても東洋大姫路-横浜の準決勝でしょう。ともに甲子園優勝経験のある両校ですが、これまで公式戦での対戦はなく、この一戦は試合前から高校野球ファンの注目を集めていました。土曜日ということもあり観客は多く、試合中盤頃に内野席は満員となり、外野スタンドが開放されました。試合は前評判通りに両校の投手陣が素晴らしいピッチングを繰り広げ、手に汗握る投手戦となり、延長11回のタイブレークで決着がつくという激闘となりました。球場は初回から最終回まで終始緊張感が張りつめ、観衆の誰もが固唾を呑んで試合を見守っており、選手のプレー一つ一つに興奮し、魅了されました。また、延長10回の東洋大姫路の攻撃時、一死満塁のピンチで横浜の村田監督が内野5人シフトを敷き、球場中がざわつくシーンもありました。
試合終了時には球場中から両者の健闘を称える万雷の拍手が沸き起こり、最高の雰囲気に包まれていました。まさにどちらが勝ってもおかしくない、互角の名勝負でした。
甲子園とは違い、神宮大会と言えばどうしてもチームの腕試し、現在地の確認、選手個々の経験の上積み、スター候補のお披露目会的な要素が強いのですが、神宮でこれほどまでに緊迫し、両校の勝利への執念を感じ、熱気に溢れる試合を観たのは初めてじゃないかと思うほどのナイスゲームでした。この一戦はきっと多くの人々の記憶に刻まれ、後に神宮史を振り返る際、必ずスポットが当てられる名勝負となったことは間違いありません。僕にとっても素晴らしい観戦体験となりました。やはり、高校野球は面白いですね。
気になる「神宮枠」の行方は
さて、横浜が優勝したことにより、気になる「神宮枠」の行方はどうなるのでしょうか。
前回の記事(【全国】2024 各地区秋季大会結果まとめ & 2025 センバツ出場校予想(一般枠))で述べた通り、関東地区の一般枠は横浜、健大高崎、浦和実、千葉黎明が当確となっており、東京2番手との比較となる当落線上の最後の枠を東京農大二(群馬2位)、つくば秀英(茨城1位)、山梨学院(山梨1位)、佐野日大(栃木1位)が奪い合う構図となっています。
そして熟考の結果、この枠には優勝校の横浜に惜しくも競り負けた、好投手擁する東京農大二が滑り込むものの、結果的に東京2番手の早稲田実が選出されると僕は予想しています。
しかし今回横浜が神宮枠を関東にもたらしたことで、関東5番手が選出されることになるため、僕は神宮枠として東京農大二が選出されると予想します。(関東6枠・東京1枠の可能性もあるにはありますが、今回においては極めてその可能性は低いと思います)
ただし今回の関東5枠目の比較は難航が予想されるため、つくば秀英や山梨学院が選出される可能性も大いに有り得る点は、注視しておく必要があります。
大学の部の楽しみ方
11/22は大学の部も観戦し、青山学院大-福岡大の一戦と、富士大-創価大の一部を観ることができました。
神宮大会の楽しみの一つとして、これから甲子園で観ることになるであろう選手と、かつて甲子園や地方大会で観た選手を、高校の部、大学の部でそれぞれ同日に観られる点が挙げられると思います。神宮大会まで勝ち進むほどの大学でレギュラーを張っている選手は名門校出身者ばかりで、甲子園出場経験者も多数在籍しています。
当然、覚えている選手よりも忘れた選手の方が多いのですが、出身高校と学年から甲子園出場経験の有無を割り出し、自分の観戦歴を思い出して「あ、この選手、あの時甲子園で観ていたんだな」となることもよくあります。もっとも、今の大学生世代は高校時代にコロナ禍の憂き目に遭っているため、総数としてはどうしても少なくなるのですが、例えば青山学院大の西川史礁(龍谷大平安・2019春)、初谷健心(関東第一・2019夏)、青山達史(智辯和歌山・2022夏)、山口将梧(龍谷大平安・2023春)、福岡大の幸修也(明豊・2021春)、秋元悠太(神村学園・2023夏)などは、皆甲子園で観ていた選手たちでした。中でも初谷はこの試合でホームランを放つ活躍ぶりを見せ、チームの勝利に大きく貢献していました。こういった選手たちのプレーを再び観ることができるのも、神宮大会の大きな楽しみです。
また、ドラフト選手を一気に観ることができるのも、神宮大会の魅力の一つです。上記2試合だけでも、青山学院大の佐々木泰(広島1位)や西川史礁(ロッテ1位・出場なし)、富士大の麦谷祐介(オリックス1位)、佐藤柳之介(広島2位)、渡邉悠斗(広島4位)、坂本達也(巨人育成1位)を観ることができ、これからプロの世界に飛び込む選手たちの勇姿を見届けるという、神宮大会の醍醐味を存分に堪能することができました。時間が許せばもっと観たかったです。
おわりに
明治神宮大会も閉幕し、2024年の野球シーズンが終了しました。僕自身、今年は高校野球を計94試合現地観戦することができました。これは、ようやくコロナ禍前の水準に戻ったといった感じです。来年も、より多くの熱い試合を生で観戦できればいいなと切に願っています。
さて、野球シーズンは終わりましたが、高校野球の話題は尽きることはありません。12月には21世紀枠の最終候補が出揃い、年明けの1月下旬にはセンバツ出場校が発表されます。次回は21世紀枠について見ていき、最終的な32代表校予想を改めて発表したいと思います。
では!