『夜の街で』3話【ー思いつき長編ー】
【始める前に】
この長編の1話はこちらになりますので、先にこちらを読んでいただけますと幸いです。
前回の話はこちら↓
【本編】
「まずは、相手の良いところを捻り出して、目が大きくてクリクリして可愛いねって褒めたんだ。これはとても反応が良かったよ。そこで調子乗っちゃたんだ。」
「なにしたの?」
「すぐにはなにもしてないよ。ただジャバがすごい量の酒を勧めてきてどんどん酔っ払ってきちゃったんだ。しかもちゃんとシャンパンも頼んでくれたりして、本当に犯罪帝国でも作ってるんじゃないかってくらいお金を使ってくれたよ。」
「ふーん。」
「でもついに聞かれたんだよ。芸能人で言うと誰に似てると思う?って。 そうしたらついつい言っちゃったんだ。ジャバザハット!!!って。」
「それは流石にダメだね。」
「そうしたらみるみる顔が歪んでいって、グラスをすごいい勢いでぶん投げてきたんだよ。幸い顔に当たらなかったけど、後ろの壁に当たってぶち当たって僕はシャンパンまみれ。それからすごい勢いで飛びかかってきて、圧死するかと思ったよ。最後は僕もジャバもシャンパンでベトベトになって揉み合っているところを店長に止めてもらったんだ。」
ここまで話すと女の子はフフッと笑い、こう聞いてきた。
「でも、この話は女の子を口説かなくなった理由にはならないんじゃない?」
「うん、関係ないよ。君が楽しんでくれそうな話をしただけだから。」
と男はあっけらかんと答えた。
「私はすっかりあなたの術中にハマっちゃったのか。」
「ここに来る前に悲しいことがあったって言ってたからね。そう言う話を打ち消すくらい楽しい話をしてあげようと思ってこの話をしたんだけど、喜んでくれて良かった。」
「うん、すっごく面白かった。でもこれって本当にあなたが体験した話なの?」
「そうなんだよ。本当にジャバは来たし、瓶を投げられたのも本当だ。
実はジャバは今では僕を指名してくれる数少ないお客さんなんだ。」
「え、そんな揉み合いの喧嘩した後にどうやって?」
「わからないよ、実はいじられるのが好きなんじゃないかな。今僕はジャバに支えられてこの仕事を続けられてるよ。」
「そうなんだ、まあ、人生なにがおこるかわからないもんだね。」
「そうそう、さあ、次は僕の方から質問させてもらうけど。君はよくホストクラブにくるの? さっき料金体系の話をしたときに知ってるって言ってたけど。」
(続く)