これからの学術総会 新見正則
現地開催が復活しています
新型コロナ感染で翻弄された3年間がほぼ終了しました。2020年4月には緊急事態宣言が発出され、その年の日本東洋医学会学術総会は1年後に延期となりました。2021年と2022年の日本東洋医学会学術総会はすべてweb配信となりました。
今年の学術総会は現地でのリアル開催とweb配信のハイブリッド形式でした。参加者は地方開催としては最大で3,800人に迫りました。Web視聴だけに参加する人があと200人増えると4,000人の大台に乗るそうです。
僕達漢方jpの仲間で精一杯応援した甲斐があります。
皆さん、マスクで参加してます
僕がリアル参加して驚いたことは、マスクを着用している参加者が相当多かったことです。漢方がコロナ感染症の発症や重症化の防止に有効だといった発表も多数ありましたが、多くの参加者は、そんな漢方の効果には懐疑的なのだと思ってしまいました。ちなみに、僕は以前からマスク着用必須の場所以外ではマスクは一切着用していません。
反省会でより良い学会開催へ!
先日、漢方jpのライブ配信で会頭の栗山先生、実行委員長の田原先生、そして運営に実際に関わった飯塚病院の先生方も参加して、第73回日本東洋医学会学術総会の反省会が行われました。来年以降の総会に反映されることを願っています。
視聴者が現地に集まる意味?
さて、僕は学術総会というリアルの場で勉強する時代は早晩終了するという気がします。ネットが普及した今日、すべての参加者が一同に会してリアルの場で演者の講演を拝聴するという時代は終了です。
ネットでどこからでも視聴でき、リアルで質問が可能で、そして録画が残ります。シンポジウムのように演者が複数の場合には、リアルに一同が集まって、ディベートすることは確かに熱量が高まるので良い感じです。しかし、視聴者がその場に集まる必要性はまったくありません。
偶然の出会いがリアルの魅力
リアルで集まることの意味は、壇上でも、または会場の外でもいろいろな意見交換ができることでしょう。オンラインでは偶然の出会い(セレンディピティ)は基本的に生まれません。そんなセレンディピティを醸し出す会場の雰囲気の有無が、今後の学術総会の存在意義になると思っています。
知識の共有が新しい世界へ
そして総会の知恵や情報がお金を払った参加者だけしか得られないと、これからは検索エンジンから仲間外れにされます。Googleなどの検索エンジンは参加費を払わないので、検索エンジンには拾われない情報になるからです。学会の会員や参加者という「井の中の蛙」的な知識の共有になります。
知識はこれまでも、これからの時代も人類共通の財産になります。つまり、だれでもアクセスできる人類共通の財産にしないと広まらないのです。そんな発想の転換がそろそろ必要に思えます。
僕の希望はオープンアクセス!
僕の勝手な願いは、web視聴は無料にして、翌年の総会まで視聴可能にします。そして抄録は無料でホームページにアップします。それだけでも検索エンジンが興味を持ってくれますよ。そして検索エンジン経由でたくさんの人が東洋医学会に興味を持つようになるでしょう。
学会も淘汰される時代で進化が求められています。進化していけなければ、若い人は特に勉強の場としての学術総会を含めて学会そのものに興味を持たなくなるでしょう。
オンデマンドならまだ間に合う
僕が主宰している漢方jpに「ヘルプ」のお願いがあった第73回日本東洋医学会学術総会は6月16日から18日、大盛会で終了しました。オンデマンド配信は6月30日から7月23日まで、PC、スマートフォンで視聴できますよ。