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僕の対談への臨み方&ファシリテーションの仕方  新見正則


中西医結合医学 対 モダン漢方 全面対決

先日、漢方jpで岩﨑鋼先生とのライブ対談がありました。
録画でご覧になれますので、是非見て下さい。


初めてのアンチ モダン・カンポウが登場したよ!

お題は「中西医結合医学 対 モダン漢方 全面対決」です。タイトルは岩﨑鋼先生に決めて頂きました。

そもそもは、僕が岩田健太郎先生の老害に対するFacebookの投稿にちょっとコメントし、その僕のコメントに対して、岩﨑先生から老害とはまったく無関係な「アンチ モダン・カンポウ」の投稿が行われ、その結果としてライブ対談が実現しました。

ライブで話しているのを聞くとよくわかる

異なる意見があるときはライブ対談でお互いの意見を聞くと、視聴者自身が自分なりの判断を下せると思います。コロナ対策でX(旧ツイッター)を賑わせたホリエモンvs 西浦先生のライブ対談を望んでいましたが、まだ実現していません。

今回は僕がライブ対談に登場する立場になり、また漢方jpでの対談ですから、漢方jpの主宰者としてファシリテーターも兼ねることになりました。そして多くの方に「大丈夫ですか?」といったご意見を頂きました。岩﨑先生の投稿コメント(文末に載せます)がちょっと過激だったこともあって、多くの方に心配をお掛けしたようです。

ライブ対談で試されるのは素の自分

昔は発表でも、講演でも、相当の準備をして臨んでいましたが、最近は素で臨むようにしています。そんな発表の仕方は「スターのプレゼン 極意を伝授!」(新興医学出版社)を御一読ください。

岩﨑鋼先生について、じつは僕はほとんど知らないのです。学会で立ち話をしたこともないし、岩﨑先生の講演を聴いたこともありません。抑肝散が認知症のBPSDに有効だという論文は読んだことがありますが、「その著者だったんだー」といった感じです。

岩﨑先生についてネットでいろいろ調べて対談に臨んでも良かったのですが、むしろ色眼鏡を付けて臨むのは避けたく、まったく調べず、詮索もせず、当日を迎えました。

ファシリテーターのお仕事

ファシリテーターの仕事は、先方に不愉快な思いをさせずに、言いたいことを話して頂くことです。そして僕はいつも「もう一度出演したいと思ってもらえること」をゴールにしています。

僕は常に自分は間違っているかもしれないと思っています。これはオックスフォード大学大学院の5年間で学んだことで、人の意見を否定するには相当なエネルギーと多数の確実な証拠が必要です。通常、それらは揃いませんから否定することは相当難しいのです。

ですから、僕の立ち位置は、先方の意見は基本的に正しいとして対応するようにしています。しっかり勉強している人が相手であれば、僕が知らないことを教えてもらいたいという気持ちで臨むようにしています。

オックスフォード仕込みの「Gentle & Polite」で

オックスフォード大学大学院で学んだもうひとつのことは「Gentle & Polite」です。気品があって丁寧な対応です。オックスフォード大学大学院には世界のエリート中のエリートが集まっていました。彼らの多くは本当に「Gentle & Polite」でした。正しい物の考え方を学んだ5年間ですが、その発信方法や、人を説得するに必要な素養も学びました。簡単に言うと「賢い人は格好いい!」ということです。

僕のめざすファシリテーション

先方の意見を受け入れて、そして対談があまりにも脱線しないように、ファシリテーションをします。自分の正当性を主張するよりも、先方の主張を受け入れて、そして教えてもらうことが重要です。そこに自分の疑問を加えて、共通の意見を導き出したり、平行線が続いたりします。それを視聴者が聞きながら、それぞれの視聴者が頭で情報を整理して、いろいろな結論を出せばいいのです。

勝ち負けはありません。また出演してくださいね

勝ち負けはありません。視聴者が決めることです。それがファシリテーターの役割です。幸い、今回の対談は上手く終わったと思っています。岩﨑先生が賢くて、そして正直な先生だったからです。また、漢方jpに出演して頂けることを願っています。本当に楽しい1時間でした。


岩田健太郎先生のFacebookで、
岩﨑鋼先生からの僕へのコメント


あなたには漢方を医学として学ばないでフローチャートで漢方が処方できるかのようなデマを振り撒くのを直ちにやめていただきたい。あなたはそれで儲けまくっているようだが、あなたは今日本中に蔓延する漢方の不適切処方、はちゃめちゃ使用の元凶の一人だ。

西洋薬を医学基礎理論、解剖、薬理、病理、病態学、臨床各論などを学んで初めて患者に処方することができるのは自明の理なのに、あなたのような世を惑わし金儲けに走る輩によって漢方薬は系統的な基礎概念、診断学、生薬学、処方学などを一切学ばずに下らぬチャートで患者に処方して良いと言うとんでもない誤解が世に溢れている。漢方薬が医薬品である以上、そんなことはあり得ないのに!葛根湯の構成生薬が何か、それぞれの生薬の効果は何で、どのような処方構造なのか知らないのに葛根湯が適切に処方できるなどと言うことはあり得ない。

いったい、感染症学を学ばず、耐性菌が生じるメカニズムも知らないまま、全く無知な人間がフローチャートで適切な抗生物質を選択できるだろうか?
糖尿病について学ばず、それぞれの薬の効果、エビデンス、副作用を理解しないで糖尿病治療薬をフローチャートで処方できるか?!

そう聞かれたらそんなことはできないとわかるはずなのに、なぜ漢方薬だけは全く無知なままフローチャートで処方できるなどと思い込んでしまうのか?

そんなことはあり得ないのだ。

かくして今、日本中でしっちゃかめっちゃかな漢方使用が蔓延し、それが無効なのはもちろん、有害事象が多発している。

新見の如き唾棄すべき、金儲けのためなら医学をなんとも思わぬ詐欺師に医者が引っかかり、多くの患者に不利益が生じている。

漢方薬が漢方医学を学ばなくても薬そのものについてすら学ばなくても患者に処方できるなどと言うのは妄説であり、内海聡にも等しいトンデモ医学だ。新見の如き輩は実は金儲けしか考えていないのであって、こうした妄説に惑わされてはならない。

私は抑肝散がBPSDに有効であることを世界に初めて報告したものだが、同時に中医学を学び、生薬学、処方学を何年もかけて習得して漢方診療を実践している。およそ医学である限り、医学として基礎から臨床まで体系的に学ばない限り、治療などできないし、またそんなことはしてはならない。医師として患者を治療すると言うことは医師の責任と権限に基づくものであり、それは正しく医学を習得することによってのみ担保されると言う当たり前のことを、世の医師たちは再認識していただきたい。

                                                            元東北大学附属病院漢方内科臨床教授
                                                                                                                            岩崎鋼


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