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年末年始にオススメの漢方薬 新見正則
今年もラストスパート!
2021年も残りわずか!
オミクロン株が世界を席巻しても、日本は運良く乗り切れるのでしょうか?
それともイギリスと同じようにもの凄い感染者数になるのでしょうか?
今回は、そんなドキドキする年末にお勧めの漢方薬をご紹介します。
疲れて疲れて、寝た気がしないという人へ
まず、日頃、仕事や家事、子育てなどで疲れて、熟眠感もない人には、
加味帰脾湯(かみきひとう・137番)ですよ。
朝鮮人参が入っている漢方薬です。
朝鮮人参だけでも元気を回復させますが
朝鮮人参に黄耆という生薬を足して、朝鮮人参の効果を増強させているのです。
そんな漢方薬を参耆剤と呼びます。
参耆剤は保険適用漢方薬148種類の中で10種類もあります。
その10種類の参耆剤のひとつが加味帰脾湯137ですよ。
この漢方薬は疲れも取れて、熟眠感も増します。
お正月に日頃の疲れをゆっくり癒やそうと思っている方は
是非ともトライしてみてください。
保険適用医薬品ですので、病院やクリニックで処方してもらうこともできますが
薬局でも売っています。
保険適用の漢方薬も薬局で処方箋なしでもらう漢方薬も
製薬メーカーが同じなら内容は同じです。
漢方薬の理屈は足し算だよ
漢方薬は生薬を足して効果を増し、副作用を減らし、新しい作用を作り出します。テレビなどでは「足し算の叡智が漢方薬です」と教えていますが
じつは「引き算ができない時代だから、致し方なく足し算をしたのだ」
と内心で思っています。
1804年、初めて阿片からその主成分が分離されました。
そしてその精製された主成分にモルヒネと名前を付けたのです。
つまり、1804年は現代西洋薬学元年ですよ。
江戸時代の後期、なんと華岡青洲がチョウセンアサガオなどを使って
世界初の全身麻酔に成功した年でもあります。
日本の漢方のバイブルは傷寒論
日本漢方のバイブルは傷寒論です。
なんと約1800年前の後漢時代に編纂されたものです。
現在保険適用となっている漢方薬の多くがこの傷寒論に載っています。
葛根湯(かっこんとう・1番)も傷寒論に載っていますよ。
ちなみに卑弥呼の時代です(フミクレヒミコ 239年)。
漢方は生薬を足して作られています
生薬には天然の薬効を有する植物が多くありますが、鉱物や動物もあります。
遙か昔から、人類はいろいろな症状に苦しめられてきました。
そこで、天然の植物などで症状が軽快するものを探し求めました。
そして、生薬の足し算の叡智として漢方薬が約1800年前
完成していたのです。
もう、驚きですよね。
漢方薬は、西洋薬と食品の間です。
西洋薬は飲もうか、飲まずに頑張ろうかと迷ったら飲まない。
漢方薬は飲もうか迷ったら、とりあえず飲むというイメージです。
もう1つ、疲れ果てた人にお勧めの漢方薬があります
もう1つのお勧めは補中益気湯(ほちゅうえっきとう・41番)です。
こちらも参耆剤なのですが、感染症の予防に有効と思われています。
実際に2009年の新型インフルエンザ流行時に、
僕は補中益気湯㊶を予防的に179人に飲んでもらいました。
飲んだ179人の中で1人だけが新型インフルエンザに感染しました。
一方で、補中益気湯㊶を飲まなかった179人のなかでは
7人が新型インフルエンザに感染したのです。
そんな僕の臨床研究があります。
ですから、今回の新型コロナウイルス肺炎にも効きそうだと推測ができます。
漢方ファンの医師や薬剤師の先生は
補中益気湯㊶を新型コロナウイルス肺炎の予防でご自身が内服しています。
予防投与は保険適用では処方できないので、薬局で買って下さいね。
年末年始、発熱したらどうする!?
もしも発熱したら漢方の対処はある程度決まっています。
今のようなウイルスという概念はまったくない時代、急性発熱性疾患という括りで処方を決めていました。
僕のフローチャート(新興医学出版社)では、
急性発熱性疾患でがっちりタイプには麻黄湯(まおうとう・27番)ちょっとがっちりタイプには葛根湯(かっこんとう・1番)
ちょっと華奢なら麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう・127番)
そして相当華奢なら香蘇散(こうそさん・70番)または桂枝湯(けいしとう・45番)となっています。
もしも年末年始にちょっと発熱したら試して下さい。
上記の漢方薬で軽快しないときは、ちょっとドキドキしますが、
新型コロナウイルス肺炎の可能性も否定できないので医療機関を受診しましょう。