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僕は今、何者か?  新見正則

僕を知らない人から質問されました

大学の教員を約20年務めて数年前に退職し、個人事業主となりました。そして65歳を越えて今は年金を貰っています。僕は週2回朝、トライアスロンの仲間と泳いでいます。コーチの指導の下、90分で3kmぐらいを泳ぎます。今日、泳ぎ終わって、新しい仲間から「何をされているのですか?」と聞かれて、ちょっと返答に戸惑う自分がいました。

いままでは、大学教員で医師だったけれど

以前は大学から給与を貰っていましたので、そんな質問には躊躇せず「大学の教員で、そして医師です」と答えていました。ところが、セミリタイヤして、ボツボツと個人事業主としてクリニックをやって、ときどき講演をして、書籍を書いてなどを行っていると、なにが本業か自分でも解りかねることがあります。

いまは何、と言われると答えにくい

ひとり娘も巣立、子育てというお金がちょっと必要な任務も終了しました。家内との老後をノンビリと過ごしている身としては、人の役に立つこと、社会貢献をボツボツやることがこれからの使命と思っています。

幸い、お金稼ぎを目的として生きることが必要ない人生を送ってきました。医師という免許を取得し、人助けを精一杯やっていると、毎月お給料を頂くことができ、そして有意義な人生でした。お金は自然と後からついてきた感じです。

研究と臨床に明け暮れてきました

オックスフォード大学の博士課程に5年間も留学し、幾ばくかの奨学金を頂くことはできましたが、まったく貯金などがない生活でした。そんな生活も別に苦になることもなく、日々新しいことを学ぶことが楽しく、留学後もあっと言う間に年月が過ぎ去ったイメージです。研究と臨床に日々明け暮れる毎日でした。そして時々朝まで、結構頻回に深夜まで病院や大学の研究室にいても残業代をつけたことはありません。今から思うと、「あり得ない」生活をしていました。

60歳を超えて、ミニマムで開業してみました

60歳を越えて、なんとコロナ禍になり、大学に定年までいるよりもちょっと開業でもしてみようかと思い立ったのが61歳の時でした。好きなことをして生きてきた人生なので貯金はあまりなく、開業はミニマムなものにせざるを得ませんでした。幸いにも漢方に興味があり、そしてがんに有効な生薬フアイアとの巡り会いもあり、日本には存在しない生薬フアイアを基本処方として、がんや難病・難症を治すクリニックを開院しました。検査器機など一切なく、血圧計も体温計もありません。採血の道具もなく、ただただお話を聴いて、そして生薬フアイア+漢方薬を処方するクリニックです。ですから開業資金は賃貸料を除けば100万円でした。この100万円は生薬や漢方エキスの分包器の費用でした。

本当にやりたかったことは商売ではありません

開業してみると本当に暇でした。ボツボツと患者さんは増えましたが、なんと漢方診療(腹診、舌診、脈診など)を行わないので、電話や遠隔診療で対応可能と解りました。その結果、患者さんは全国、または海外在住の日本人にも広がりました。

お金儲けが目的ではなく、社会貢献が目的なので、ガツガツと働く必要もありません。しかし患者さんには24時間対応にしていますから、休日や夜でも仕事をすることがあります。

いろいろなことをやって、感謝される。それで満足

で、結局、何が本業なのかわからないのが現状です。好きなことをやって、そして人並みの生活(お金持ちでもなく、貧乏でもない)を送ることができることは何より幸せです。新見正則医院は僕と家内の2人しか従業員がいないので、またノンビリと過ごすことができます。従業員としての誰かの人生の責任を幸いにも背負っていないからです。

「何をやっているんですか?」と聞かれて、戸惑った自分ですが、「社会貢献をしています」がいまはシックリする答えなのです。


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