今年も運気を上げていこう! 新見正則
30年前の僕
30年前の1995年の1月17日、僕はオックスフォードに留学中でした。BBCで阪神大地震の映像が繰り返し流されていました。僕がオックスフォード大学博士課程に留学していた1993年からの5年間ほどは、まだインターネットがない時代でした。テレビ、ラジオ、そして新聞だけが情報源でした。金銭的に余裕があれば、日本の新聞を電子版で手に入れることができましたが、オックスフォードに集まっている日本人で電子版の新聞を手にしている人は僕の周りにはいませんでした。
電子版の日本の新聞を読むために、時々80km東にあるロンドンまで出向き、当時で2,000円以上するラーメンを食べて、そのラーメン屋さんにある電子版の新聞をむさぼり読むことで日本での出来事を知るという生活です。
いまからではちょっと信じられない時代
世界中の情報が、簡単に、そして瞬時に手に入る現在ではまったく考えられないことです。こんな時代を家内とオックスフォードで一緒に過ごしました。いまから思うと、新婚当時だったこともあってとっても貴重な時間に思えます。こちらから情報を探すということが本当に困難な時代でした。いわゆるテレビや新聞などのオールドメディアの全盛期でした。
イギリスからみると日本は超危険
イギリスでは地震がほとんどありません。阪神淡路大震災が起こった当日に、研究室に行くと、同僚が口を揃えて「まさのり、こんな危ない日本に帰らずに、ずっとイギリスにいるといい」と励ましてくれました。彼らにとっては日本の、そして大都会の神戸の惨状は想像できないものだったのです。
そして、2ヵ月後の3月20日、今度はサリン事件が起きました。この時もBBCは頻回に映像を流していました。同僚にはまたまた「危ない日本には帰るな!」と諭されました。
ある程度の危険はどこにでもある
そのとき僕が思ったのは、日本では地震は頻回に起こるもので、ある程度地震は想定内で生きている、ということでした。そして、日本全土を襲うほどの強烈な地震は起こっていません。阪神淡路大震災の死者はおよそ6,500人、2011年に起こった東日本大震災での死者は約16,000人でした。
人生を決めるのは「運」
最近、僕は「運」が人生を決めていると思うようになりました。運が良ければ、阪神淡路大震災でも、サリン事件でも不幸に見舞われません。その時間にそこにいなければ災難を避けられた人も、最小限の被害で収められた人もいるのです。本当に「運」次第と思えるのです。
そして、運を決めるのは「徳」
リスクを減らすことも大切ですが、それならば、イギリス人の同僚が言い放ったように地震のある国に住まなければいいのです。それを受け入れざるを得ないのが人生です。これからは益々運気を高めて生きていこうと思っています。そのためには、徳を積むことが運気につながると思っています。僕の考えている徳とは、人を助ける、人をつなぐ、人の役に立つことです。
エビデンスはありませんが、そう思って生きることが徳を積み、運をよくすると自分では腑に落ちるのです。