母親と、とあるオンラインビジネスを立ち上げてみた。
今年の1月に、僕は自分の母親と、とある「オンラインビジネス」を立ち上げた。
それは、すでに自分の母親がプロとして27年活躍してきた「お母さん」という職業だ。
世界中の母親にとっても特別な日となる今日、僕が母親に「お母さん」と言う仕事をお願いすることになった経緯を、noteに残しておこうと思う。
《著者&母親紹介》
木村新:17年サイパンで育ったウクレレ奏者。早稲田大学卒業後、レバレジーズへ就職。24歳で独立、エンタメ関連事業を展開するFullestを経営している。
木村 母:新卒でアパレル大手ワールドに入社し、受付嬢に従事。当時付き合っていた木村父の夢がきっかけでサイパン島へ移住。英語圏で息子2人を育て上げ、現在は木村父とサイパン島で2人暮らし。サイパン島の滞在歴は30年近くになり、日本での生活年数を超えた。
(息子が勝手に書いたのでちょっと違うかもしれませんw)
※注意:文中に「尻叩き」という言葉が出てきますが、当記事は体罰を推奨している訳ではなく、あくまで「発破をかける」という意味合いとして「尻叩き」という言葉を使用しています。あらかじめご了承ください。
世界で最も過酷な職業
毎年、この時期になるとシェアされる動画がある。American Greetingsというギフトカード会社が製作した、母の日のキャンペーン動画だ。
「世界で最も酷な仕事」と書かれた求人を見て応募してきた方がありえないほど過酷な仕事の説明をビデオチャットで受け、最終的にこの仕事は「母親」のことだったと種明かしする内容となってる。
世界で最も過酷な仕事
職 種:Director of Operation(現場総監督)
勤務時間:基本24時間(週135時間以上/週7日)、徹夜あり、休憩はほとんど無し
必須能力:交渉力、交際力、医学、金融学、栄養学
特 徴:複数のプロジェクトを担う
立ち仕事で体力を使う仕事が多い
常に周りに注意を払う必要がある
備 考:休日やクリスマス、正月にはさらに仕事が増える
ランチはすべての同僚の後に食べることになる
すでにこの仕事を担ってきた人(先輩)が数十億人いる
給 与:0円(ボランティアのような感じで完全無給)
<産後夫婦ナビより和訳引用>
当然、各ご家庭それぞれ事情が違うので一概に「世の母親は全てこれをこなしてきた」とは言えないが(気分を害された方がいらっしゃたら申し訳ない)、この動画を見ただけで多くの母親に敬意を評したくなるのは僕だけではないはずだ。
口には決して出さないが、僕の母親も「世界で一番過酷」な業務を遂行してきた。海外で子育てをした僕の母親の努力は並大抵のものではなかっただろう。頭が上がらなくなるのと同時に、親孝行をしないといけないなと強く感じる。
僕の母親
母親の教育は、とても厳しかった。明文化されていた訳ではないのだが、木村家の暗黙の家庭ルールを一部を紹介すると、
木村家の家庭ルール
成果報酬:誕生日やクリスマスなどを覗き、欲しいものがあっても無条件には買い与えてくれない。何かしらの対価(家事の手伝い=労働力)を差し出すか、設定された目標(成績表で全科目90点以上など)を完遂するか、自力で稼がないといけなかった。なお、結果を出した時のインセンティブはすごかった。欲しいものは何でも買って貰えたし、家族全員でお祝いした。
ペナルティ制度:家庭内のルールを破ればペナルティ(=罰金)が発生。お小遣いが底を尽きている場合は負債を容赦無く抱えさせる。負債はお年玉などで相殺するか、自力で稼いで返済。
ノルマ制度:嫌いな食べ物がある場合はそれを「ノルマ」とし、「ノルマ」を全て食べ切ってからでないと、おかずに手をつけてはいけない。他の人が美味しそうにお肉を食べていても、大声で泣き喚いても、文字通り吐いても、ノルマをクリアするまでは絶対におかずを食べさせてくれない。(ちなみに僕はトマト相手に1時間近く格闘するのはざらだった。)
「勝負に情けは無し」精神:大富豪でも人生ゲームでも、家族4人で行う遊びは真剣な勝負事とし、「負けた人が勝った人にアイスクリームを奢る」ことが徹底された。なお、お小遣いが底を尽きている場合は、お金を借りて(=負債を抱えて)アイスクリームをご馳走せねばならない。
・・・などなど
と、小学校低学年の頃から実力主義のようなルールがいくつもあった。(父親が発端のルールがほとんどだと思うが、母親はそれを僕たちに徹底させてた。)
当時は「●●ちゃんは言えば買ってもらえるのに、なんで買ってもらえないの?」「罰金制度ってうちだけ?しかも負債まで抱えさせるのはうちだけなのでは・・・?」と不思議に思っていた。
この教育方針のありがたみに気が付いたのは、大人になってからだ(特に起業したての頃)。気を抜けば殺させれるような完全実力主義の世界でも、さほど抵抗なく、「昔と変わらずやるだけ」「結果を出せばいいことがある」と思えた。
気になって、母親に当時のことを聞くと「厳しくしすぎてていつも辛かった」と教えてくれた。そこで始めて僕は、母親が誰よりも愛に溢れている人間だと気が付く。愛がなければ、ここまで厳しくできない。きっと、甘えが生じていたはずだ。
世界で最も過酷な職業を20年以上続けてくれた母親のおかげで、僕は今会社を経営し、世界が激変している中でも変わらず食べていくことができている。今も昔と変わらず、母親は変わらず愛を持って僕に接してくれている。
受験当時の仕送りに貼ってあった付箋(クリアファイルに入れて大事に保管してます笑)↓
僕が解決したかった課題
そんな僕の母親は、今はサイパンと日本を行ったり来たりしている。高齢になった祖父祖母の介護が理由だ。
まだ比率としてはサイパンの方が多いので現地で仕事がこなせるが、それが半々または逆転した場合、日本での働き口を見つける必要性が出てくる。
30年海外で暮らせるぐらいの英語力はあるので何かしらの仕事は見つけられるんだろうな・・・と思いつつも、2拠点生活をしながら祖父祖母の介護を行うのはかなりハードルが高い。
大人になった今、母親の力になれるチャンスがきた。そう感じた僕は、母親が「オンラインでお金を得られる」仕組みを何かしら作ろうと思った。
・ライティング
・事務作業
・日英翻訳
などなど、とりあえず母親がすぐできそうなことで色々考えてみた。
でも、どれも「ちょっとできる」程度でビジネスにするほどのことではなかった。また、タイトな納期が突発的に発生しうる業務は、二拠点生活や介護生活に合わないため、全て省いた。1年近く、アイデアをひたすら書き出すことをしていたが、見合うビジネスプランは何も無かった。
そんな中、エストニアで働いている親友から「最近リモートワークが中心で自己管理ができずにだらけてしまう。何かいい解決方法はないか。」と相談がきた。
そのとき、気が付いた。答えは、もっと単純だった。
それは、すでに自分の母親がプロとして27年活躍してきた「お母さん」という職業だ。僕は、母親に「お母さん」と言う仕事をお願いすることにした。
「第二のお母さん」になり、尻叩きをする。
※注意:体罰を推奨している訳ではなく、あくまで「発破をかける」という意味合いとして「尻叩き」という言葉を使用しています。
「お母さん」は、子供に成果を出させるプロフェッショナルである。自分が辛い思いをしたとしても乗り切れるぐらいの愛を持って、子供に宿題をやらせ、嫌いなものを食べさせる。子供がより良い未来に進めるよう、心身ともにコミットする。
「世界で最も過酷な業務」を経て子育てしてきた経験を、活かさない手はない。
誰かにとっての「第二のお母さん」になり、息子や娘の成長を見守るようにクライアントへ寄り添い、人生相談に乗り、時には心を鬼にして「尻叩き」をし、タスクを完遂させる。
これが、僕と母親が行っているオンラインビジネスだ。
"母ちゃんの尻叩き" サービス内容
・リマインド:終わっていないタスクは確認をし、必要に応じて「尻叩き」をする。度合いはクライアントの要望によって調整する。
・やること確認:クライアントから毎日の「やること報告」を受け、完遂を励ます。タスクを代理でこなすことはしない。
・人生相談:仕事だけでなく、人付き合いや家事のことなど、生活全般のことについて相談にのる。
・ポジティブフィードバック(褒める):いいことがあったら、成果を共に喜ぶ。実の母親のようにたくさん褒めてくれます。
・ペナルティ制度:任意の約束を守れなかった場合、罰金500円を課す。罰金は双方にとってメリットのあることに使い、金銭のやり取りは行わない。
・月例ミーティング:振り返りを行い、翌月以降の改善をしていく。
※ 連絡は基本的にLINEで完結。難しいツールは使用しません。
似たような業種で秘書をイメージされるかもしれないが、明確な違いがある。違いで言うと下記の通りだ。
秘書
・クライアントのタスクを巻き取ることで、アウトプットを最大化させる
・主軸の担当範囲は業務関連であり、必要に応じてプライベートに関わる
・タスクをこなす必要があるため、高額
第二の母
・クライアントのモチベーションをあげることで、アウトプットを最大化させる
・主軸の担当範囲はなく、人生全般を見守る
・タスクはこなさないため、低額
"尻叩き"がもたらす効果
第二のお母さんによる「尻叩き」を提供し始めて数ヶ月。
課題やタスクを宣言をすることで履行力が高まるという「パブリックコミットメント」の研究データがあるように、第二のお母さんにやることを共有することによって、仕事のアウトプット量が増えるという感想を多く頂いた。
このサービスを始めるきっかけを与えてくれ、そして今現在も継続して契約してくれている親友がnoteに感想を事細かに書いてくれたので、詳細はこちらを読んでいただきたい。
"尻叩き"の効果
①仕事のアウトプット量が増えた
・「宣言した時間内に、宣言したタスクを終わらせないと」という適度なプレッシャーが働くようになった
・一日に行うタスクの範囲が明確になった
・チェックの数を少しでも増やしたいがため、退社直前の追い上げ力が上がった
②自分の課題や維持したいことを、確実に意識できるようになった
・Keep,Try,Problemを定期的に報告するため、日々改善ループが回っている状態になった
・定期的にKeepやTryのリマインドをしていただけるため、「そうだ、意識するんだった」という機会が増えた
③タスクの構造化が進み、仕事の精度が向上した
・毎日タスクを整理するため、自分が何をやっているのか視覚化できるようになった(ただ、ここは割と元々できていた)
・タスクの見積もりと、実際の成果の差を毎日ベースで見られるため、タスク見積もりの精度が上がった
・定期的にリマインドしてくれるため、タスクの抜け漏れが減った
④飽きっぽい自分に、習慣ができた
・毎朝毎晩の報告が習慣となり、仕事にリズムが出てきた
・お金を払って「尻叩き役」をお願いしている分、自分としてもその対価を得たいから、ちゃんと報告する習慣ができた
・加えてペナルティがあるおかげで、モチベーションが低い日もちゃんと報告するようになった
⑤自己肯定感が上がった
・以前はダラダラしている自分に嫌気がさす瞬間が多かったが、ダラダラしている時間が減ることで、「自分ちゃんと頑張ったな」と思える日が増えた
→特に予定していたタスクをすべてチェックして退社するときの気分は格別で、最高に満たされた気分になれる
・また"お母さん"自体も一緒になって喜んでくれるため、ダブルで嬉しい
また、このサービスを提供することによって、母親側にもポジティブな変化がみられた。本人が言っていたことをまとめると、下記の3点があがった。
母親の感想
①誰かの役に立てているという自己肯定感が上がった
②ビジネスに関する知識がアップデートされた
③「尻叩き」や「応援」という自分が持っている才能に気づけた
本サービスを始める前の母親の意気込み↓
サービス開始後の感想↓
"尻叩き"、試してみませんか?
さて、今日は母の日だ。
このnote自体もプレゼントにはなるだろうし、もしサポートが頂けたら、それももちろん最高のプレゼントになる。(もちろん全額母親に渡すので、よければぜひ!!笑)
ただ、、
僕の目標は母親に「サイパンと日本を行き来しながら」「祖父祖母の介護に時間をさけられて」「社会に役立っていると実感でき」「必要最低限のお金を稼ぐ道筋を作ること」である。
その目標に1mmでも近づくべく、僕はこの記事を書いている。このnoteを通じて、新しいクライアントから問い合わせがあれば、母親にとって忘れられない母の日になると思っている。
このnoteを読んで興味の湧いた方は、僕のTwitterを通じてぜひご連絡ください!相談ベースでも大歓迎です!
「母ちゃんの尻叩き」契約条件
契約形態:業務委託
契約期間:初月は試用期間、以降3ヶ月更新制
※NDAは必要に応じて締結します
報酬:月額1.5万(税抜)〜
募集人数:5名まで。
その他:「普通のお母さん」に尻叩きをお願いするということについて理解のある方
例:リアルお母さんも、栄養士では無いけど「ちゃんと栄養とってる?」と声かけしてくれるのと同じようなイメージです
★こんな方へおすすめ!
・20~30代の社会人
・ついだらだらしてしまってタスクが終えられなかった経験のある方
・習慣化させたいけどできない方
・頑張りすぎてしまう方
★対象としていない方
・組織体制の整った大企業で勤めているなど、タスク管理がすでに仕組み化されている方
・マスキングしないといけない機密情報が多すぎて、タスク報告の効率が落ちる方
・すでに習慣化する能力のある方
また、すぐにお力になれるかわかりませんが、いつか僕の母親と共に「第二のお母さん」としての尻叩きをやってみたいお母さんがいたら、お気軽にご連絡ください!
「母ちゃんの尻叩き」に協力してくれるお母さん募集!!
契約形態:業務委託
契約期間:初月は試用期間、以降3ヶ月更新制
報酬:応相談
募集人数:2名まで。
★こんな方へおすすめ!
・子育てがひと段落し、何か新しいことを始めたい方
・実の息子や娘と同じぐらいの世代の方と話すのが好きな方
・新しいことを学ぶことに積極的な方
★対象としていない方
・出社が伴うお仕事をすでにされていて、時間の確保が難しい方
・LINEを使用されていない/できない方
最後に
ここまで読んでくださってありがとうございました。僕と母親の挑戦は続きますが、楽しく、無理のない範囲で長く続けていけたらいいなあと思ってます。
このnoteは実際に母親へのプレゼントとして送るので、最後に、自分の母親へのメッセージを書かせてください。
ではでは!
母の日おめでとう!!
24歳で起業してから自分の事業に精一杯で、サイパンになかなか帰れてなくてごめんなさい。コロナが落ち着いたら、ゆっくり帰ろうと思います。
僕は、「息子」であると同時に、身近な人の課題も解決する「起業家」でもありたい。この取り組みが今後も上手くいくかどうかは正直わからない。でも、実の母親をはじめ、1人でもこのビジネスで助かる人がいるなら、頑張って続けていきたい。家族の中でも課題があるなら、僕は僕のできる形でそれを解決していこうと思う。
これからも家族として(そしてビジネスパートナーとしても笑)、仲良く過ごしましょう!実の息子達はもちろん、これからたくさんの"息子"や"娘"がオンライン上でできて、みんなの成長を見守れますように。
新より
▼サポートしてもらった翌日に起こること ①朝ごはんのおかずが1品増える ②カルピスをいつもより濃いめ目に作れる ③銭湯でサウナと岩盤浴にも入れる