鉄則4 :企業文化の健全性に真正面から向き合う
(ⅰ)安心・安全レベルに着目せよ
■企業文化は経営力の増減幅器
広辞苑で「企業文化」を引くと「企業の構成員によって共有・伝承されている価値観・行動規範・信念の集合体」と出ていますが、茹でカエル状態となった社員は、その共有・伝承されたモノが、例え理不尽なモノであっても疑問なく受け入れてしまう点に、企業文化が持つ特異性と不合理性があります。
それ故、多くの経営者は、「企業文化が、経営力を増幅も減幅もする厄介なシロモノであること」を、経営を揺るがす大きな出来事(大幅な減収減益、重大なコンプラ事件など)が起きるまで気付きません(下段 図表4-1参照)。
この見え難く捉え難い企業文化を見える化する有効な質問が3つあります。
社員の1割に確認すれば自社の企業文化レベルを概ね把握できます。
① 社内に異論、反論も含め意見を本音で言いあえる雰囲気はあるか?
② 社内にファクトを探求し、ファクトベースで議論する雰囲気はあるか?
③ 社内にチャレンジを奨励する雰囲気はあるか?
3つの中で経営力に最もインパクトが大きいとのは①です。
自分の意見や考えを述べることに対して「安心・安全のセーフティーネット」がなければ、誰もが保身のために、口をつぐみます。
図表4-1【アナタの会社の企業文化は増幅器?減幅器?】
■安心・安全のセーフティーネットで企業を再生する
2019年12月、当期純利益が66%減の1100億円に陥った日産自動車の 内田新社長は、記者会見席上で、「反論が許される風土の浸透」と「できないことを“できる”と言わせる負の企業文化の一掃」を断行して、日産の再生を誓いました
2020年3月、関西電力役員らの金品受領問題を調査した第三者委員会は、記者会見席上で、「組織として思考停止していた」「関電経営陣の責任は重大で、ガバナンスは一切働かなかった」と関西電力の経営陣を断罪しました。
さて、両社が掲げていた経営ビジョンを下段 図表4-2に掲載しました。
「上下の別なく意見を言いあえる文化の構築」。
これは会社が蘇る鉄則です。
図表4-2【日産自動車と関西電力が掲げている経営ビジョン】
(ⅱ)ファクトベース(前提と事実)に着目せよ
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